茂木健一郎(@kenichiromogi)さんの連続ツイート第909回「さりげなく、歩きだそう」
- toshihiro36
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さあ(1)CNNのニュースで、歩きながらミーティングをするのが流行っているというのがあった。(http://t.co/PgfA0VjOab)スティーヴ・ジョブズや、マーク・ザッカーバーグ、TED talkを引き合いに出して、歩くミーティングの効用を論じている。
2013-04-14 05:56:18さあ(2)Walter Isaacsonが書いた伝記Steve Jobsで、印象的だった記述の一つが、ジョブズがとにかく歩くということだった。しかも、マイクロソフトがWindowsを出す前にビル・ゲイツと持ったミーティングなど、重要な話し合いの時に、「歩こう」と言って外に出る。
2013-04-14 05:57:46さあ(3)ギリシャに逍遙学派(Peripatetic school)があるように、歩くことは物事の本質を突き詰める上で有効であることが経験的にわかっている。アリストテレスは、弟子たちと歩きながら講義をしたり、議論したようだが、歩きながらの話し合いの質は、机上よりも高い。
2013-04-14 05:59:48さあ(4)歩きながらの対話は、ジョブズとゲイツのように、一対一が最適な人数だろう。机に座っているよりも、ぐっと集中できる。外界から、適度な刺激が入ることが、かえって脳の感覚遮断の最適化をもたらし、今問題になっている本質的な事柄に、対話者を集中させることができる。
2013-04-14 06:01:07さあ(5)歩きながらの対話は、オープン・エンドで、本質的な事柄がよい。ゲイツがジョブズに会いに来が、Mac OSに似たWindowsをマイクロソフトが出す件だったように(ジョブズは、最後に、わかった、でもあんまり似たものにするなよと言ったそうだ)、岐路や転機がふさわしい。
2013-04-14 06:03:29さあ(6)歩きながら話すことは、魂の探求(soul searching)であり、二人が、資料や携帯端末なしに、裸の人間として向き合うことである。ジョブズが、重要な決定事項を前に相手を散歩に誘ったということは、つまり、彼の対話というものに対する姿勢を示しているのである。
2013-04-14 06:04:46さあ(7)ところで、歩くのが大切だからといって、「形」から入る必要はない。確かに一つのエキササイズだが、専用のシューズやウェアなど要らない。よく、がちがちの格好で歩いている人がいるが、それでは歩くことに居付いてしまっている。突然、さりげなく、無造作に歩き始めるのがよい。
2013-04-14 06:05:50さあ(8)コースや時間なども決めずに、いい加減に歩くのがいいのであって、とにかく話に集中する。最近はマップのよいアプリがあるから、迷うことなど気にしなくても良い。歩くということは、考えることや、対話についての、一つの態度(attitude)である。さりげなく歩ける人は、よい態度。
2013-04-14 06:07:13さあ(9)CNNのニュースにもあったように、歩くことには健康上の利点や、ストレス解消といった効果もあるが、そこから入る人は居付いてしまっている。さっと歩き始めるという態度の方が重要なのだ。生真面目に歩行ミーティングを押しつけるのは態度が悪い。あくまでもさりげないこと。
2013-04-14 06:08:46