4.15企画

4月15日の記念に書いてみた赤黒です。
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黒子っち愛でbot @krkbs_bot

【4.15企画①】テツヤが突然天から降ってきた。腕の中に抱き止めたテツヤは僕が知るテツヤよりも小さい。それに、よく見慣れた懐かしい制服を着ている。「テツヤ」「…赤司君、ですか?」「そうだよ。怪我はない?」「…大丈夫です。それより…赤司君が、大きいです」

2013-04-15 20:59:44
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【4.15企画②】驚くのも無理はない。帝光の制服を着ているし、この小ささから考えてもこのテツヤは中学生のテツヤだ。運命は随分と懐かしいことをさせる。「テツヤは中学生だよね?」「…はい」「ここに来る前は何してたの?」「学校から出たところでした。そこから先は…」「なるほどね」

2013-04-15 20:59:57
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【4.15企画③】質問には答えるけれどテツヤは今にも泣きそうだ。無理もない、いきなり時間軸が違う知らない場所に来たうえに高校生の僕が現れたのだから。「テツヤ、泣かないで」「え…」髪を撫でそっと抱き寄せるとテツヤは目を丸くして僕を見た。でもよかった、溜まった涙は消え去った。

2013-04-15 21:00:08
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【4.15企画④】「どうしたの?」「…赤司君に、こんなふうに触られたの初めてで…」ああ、そうか。中学生の頃はまだこんな触れ合いができる関係じゃなかったね。「ごめん、嫌だった?」「そんなことないです!」「この時代のテツヤはね、これが好きなんだよ」

2013-04-15 21:00:21
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【4.15企画⑤】「…僕が?」「そう。不思議?」「考えられないです」「考えられないことが起こるのが未来だよ」「…そうですね。その方が楽しいです」初めて笑って見せてくれた。どんな劣勢な状況でも笑ってくれる、テツヤのそんなところを僕は昔から愛してた。

2013-04-15 21:00:32
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【4.15企画⑥】「赤司君は、中学生の頃と違うところばかりです」「どうしてか知りたい?」「いいえ。この時代の僕が知っていれば充分です」「そう、テツヤらしい答えだね」「…今日」「ん?」「…初めて赤司君とバスケ以外の話をしたんです」あどけなさの残る顔が嬉しそうに、綻ぶ。

2013-04-15 21:00:42
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【4.15企画⑦】「本を借りる約束をしました」「そうなんだ、確かテツヤが好きな作家の本だったかな」「覚えてるんですか?」「もちろん」「探してるって言ったら、赤司君が貸してくれるって言ってくれたんです」その時のことはよく覚えている。僕にとっても、忘れられない記念日だから。

2013-04-15 21:00:52
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【4.15企画⑧】「未来がどうであろうと、僕は赤司君や皆との今の日常を楽しみたいんです」テツヤの身体が消え始めた。どうやら別れの時が来たようだ。「…テツヤ」「はい」「昔の僕には、この出来事を話さないで」いくら未来の自分自身とはいえ、未来を指図されることを昔の僕は許さないだろう。

2013-04-15 21:01:05
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【4.15企画⑨】「約束だよ、テツヤ」「はい。絶対に守ります」完全に消える手前、手を伸ばせばテツヤはくすぐったそうに笑いながらも握ってくれた。「また会えますか?」「この掌がもう少し大きくなったとき、また会えるよ」「約束です」

2013-04-15 21:01:18
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【4.15企画⑩】テツヤが完全に消えた。残ったのは夕日に照らされた暖かい空間だけ。「…赤司君、どうかしました?」この時代のテツヤが顔を出す。ほら、また会えた。手を伸ばせば昔より大きくなった掌に触れる。「ねぇ、テツヤ」「はい」「僕が初めて貸した本のタイトル覚えてる?」【終わり】

2013-04-15 21:01:30