第3回twitter小説大賞に応募した１０作品

Kazue @kazue555

「履歴書に吸血鬼とありますが、諜報部に入ってみますか」「いえ、事務職希望です。僕、特殊能力はないですし血も吸いませんから」「ではどこが人間と違うのでしょうか」「歳をとらないことです」「違いはそれだけですか。今の時代何かアピールできる特技がないといけませんね」 #twnovel

Kazue @kazue555

「先生、今回も素晴らしい作品ばかりですね」個展を開くと破格の値段で売れて行く私の作品。不器用な私は未だ自分がイメージした作品を作り出せたことはないというのに。所詮芸術とはこれが芸術だと世間が評価したものということだろうか。自分の頭にある作品が知られることが怖い。 #twnovel

Kazue @kazue555

人の命なんてあっけない。ちょっと階段を踏み外しただけで終わってしまった。死に際にこれまでの人生の走馬灯は見られず、代わりに頭に浮かんだのは、戸棚の中に残したパン。ずっと続くと思っていた日常生活が、今終わってしまったことが何とも不思議だ。 #twnovel

Kazue @kazue555

この地球にはエラーがある。地球は一度滅んだが、滅ぶ寸前にコピーが作成された。時間がなかった為バックアップに失敗、修正できずにエラーが発生。エラーが滅びとコピーを延々繰り返す無限ループであることは、地球に暮らす人々には永遠に気付かれることはないだろう。 #twnovel

Kazue @kazue555

全く悪気はなかったんだ。身体洗いたくなってしまって。やっぱり垢が溜まると痒くなるでしょ。そうしたら、どばーって雨が降ってきて、創世記以来の大洪水になってしまったというか。自浄作用だったんだよ。今度は残った人達で、自浄作用なんて働かなくていい社会を作って欲しいな。#twnovel　

Kazue @kazue555

防衛隊が暇を持て余して無害なものを攻撃していたので、寄生虫ロボを作って送り込んでやった。見たことが無い敵に防衛隊が色めき立つ。一斉攻撃開始。いい訓練になるはずだったのに防衛隊が予想以上に強い。あっという間に寄生虫ロボを破壊、除去。これじゃ花粉症が治らないはずだ。#twnovel

Kazue @kazue555

私の可愛い心臓ちゃん、最近駄々をこねるようになった。冷たくなったり、青紫になったりして怒り出す。時にはギュって笑えないこともしてくる。君のことを忘れているわけじゃないんだよ。大切にしてあげたいけど、無理な時もあるんだよ。だからもう少しだけ我慢しておくれ、お願いだ。

Kazue @kazue555

欲しくて堪らない彼女は奴のもの。それでも構わないさ。彼女は俺のものになるって決まってるのだから。彼女、俺にお願いしたんだ「彼を下さいって。勿論、代償は彼女の魂さ。だから俺は待っているだけでいいんだ。彼女の魂が俺のところまで堕ちてくるのを。#twnovel

Kazue @kazue555

猛烈な睡魔に襲われる。卵が産まれたに違いない。早く獏を探してこないと。孵ることができる卵はほんの僅かだけれど、孵った後には沢山の夢が必要だ。卵に渡す夢を見るため私は眠り、私の傍らに座る獏は、そんな私を見守り続ける。悪夢を卵に渡さぬように。#twnovel

Kazue @kazue555

私の心は風船のよう。あの人を見る度ドキドキして膨らんでいく。「好きだよ」というあの人の言葉に、ばっと膨らんだ風船は空高く飛んで行ってしまった。風船は何処まで飛んで行っただろう。行先が分からなくなった風船が暫く戻ってこなかった。#twnovel