2013年4月23日

タイバニはオッサンの自意識を満たすことに特化したアニメ

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■タイバニファンとアメコミファン 11/10/12

す…すんません。7月頃から『うみねこのなく頃に』にどハマリして、ブログの方に常軌を逸した量のテキストを書きまくる日々を送っておりまして…お陰で諸事滞りまくりでございました。

本サイトのほうにも考察まとめページを作りましたので、同好の士は宜しければドゾ(ネタバレ満載につき未プレイ者は閲覧禁止!あと、私は手品END派なので、身も蓋も無い考察で夢を壊されたくない人にも閲覧はお勧めいたしませんです)。

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アストロシティ:コンフェッション
バットマンの再話、古典アメコミの総括と再構築、父と息子のイニシエーションの神話、「アメリカン・ヒーローコミックの精神性とはいかなるものか」を知るにはこの一冊を読めばOKなんだが、ただ今版切れ中
戻り新参高齢腐女の大暴れに辟易して「もう、タイバニとは一切関わりたくねぇ」と思っていたのですが、先日、よそさまのブログの北米におけるVIZのタイバニ売り込みに関するエントリに刺激されて、コメ欄で腹にたまっていた事の一端を書き込んでしまいました。

お陰で忘れかけてたアレヤコレヤが吹き返してしまったものの、よそさまのブログに長文連投するのも美しくないので、自分のとこで処理しとこうかと。

アメコミ者で横山光輝信者で、海外でのアニメビジネス展開に興味のある私は当然のように『THE ビッグオー』のファンで、さとうけいいち監督に対しては以前から相当な好意を持っていました。

そして、桂正和先生のヒーロー系作品については、長らく机の前に『ウィングマン』の森本桃子ちゃんの自作セル画を飾っていたくらいの大ファンでもありました。
ですから 、このお二人が組んでアメコミオマージュもののオリジナル作品を制作すると耳にしてからは、ずっと放映を楽しみにしていたのですよ。

で、キャラや世界設定を見て「なるほど90年代イメージコミックス系を踏まえつつ、『アストロシティ』的な名作アメコミ再解釈・再構築をやるつもりなんだな」と非常に好感と期待を持って視聴を始めたわけですよ。

本編が放映開始されてからも、キャラクター造形や配置は先の展開が楽しみになる要素が満載であるし、セットアップ時は非常にわくわくしながら視聴していました。物語の折り返し地点(過去のNEXT差別時代、Mr.レジェンドの過去話)、後半へ向けてのセットアップ(虎鉄の能力減退)も、いくつか不満はあったものの、期待しながら見守っていたんですよ。

参考:タイバニと'90年代アメコミの話 23/07/11
参考:タイバニと俺ユニバースの話 21/09/11

アメコミ者として、タイバニ前半から展開部までのようなものを見せられたら、当然クライマックスから結末までは、

幼児期のトラウマと生育環境の影響により成人後も潜在的に強度のファザーコンプレックスをかかえるバニーと、「大人になりきれない中年男」である虎鉄が擬似父息子関係を結び、双方が父親として男として精神的に成長する。

バニーは「己の成長と自立を妨げる悪しき父」であるマーベリックを、虎鉄は「失敗した旧世代の理想像としての父」であるレジェンドを乗り越えるイニシエーションを経て自立し、対等のパートナーとなる。

更にバニーは虎鉄をも乗り越えて、レジェンドも虎鉄も届くことのかなわなかった、本物の「ヒーロー」が誕生する。

…というカタルシスを期待して当然。

それがまさか、単にバニーが依存先をマーベリックから虎鉄に乗り換えて心の傷を慰撫されるだけの話になるとは。

*

アメリカン・ヒーローコミックというのは、良くも悪くも「男らしさという神話」をめぐる物語なんですよ。

父殺し、父越えというイニシエーションを経て、男の子が男として自立し、社会的存在になるという話。

無論、アンチテーゼや古典パターンの批評的再話、パロディというアプローチもありますし、アラン・ムーアが神格化されて以降は「解体・再構築」方向がもてはやされる傾向になったりもしてますが、アンチやパロディは本道が厳然としてなきゃ成り立たん訳で(マーク・ミラーやベンディスは嫌いじゃないけど、センターにいて欲しくはないんだよなー)。

「傷ついた孤独な少年が父性によって癒され、『ファミリー』に回収される物語」ってのは、少なくともヒーローアメコミの主題にはならない。そんなん過去エピソードとして本編開始前に済ませとけよ、って話。

だから、(国籍を問わず)ヒーローアメコミを好んで読む人間にタイバニを見せても、「なんだこのバニーとかいうオカマ野郎は」にしかならない。…「バニーというヒーロー」に憧れる小学三年生男子(国籍問わず)はリアルに存在するか?と考えると分かりやすいかも。

素であの展開が「良い着地点」と信じてやってるのか、「日米精神文化批評」としてやってるのか、第二期が決まったせいで「自立という結末」を先送りせざるを得なかったのか、腐女子人気のせいで日和ったのか…少なくともアメコミマニアのさとう監督の本意とは思えないんだけど、なんでああなったのか。

外形は非常に良くできたヒーローコミックオマージュなのに、その精神性は「去勢されたヒーローコミック」というのは、アメコミ好きとしては、ぶっちゃけものすごく気色悪いシロモノなんですよ。

*

だから、VIZが当節めずらしく吹き替え版を用意して英語圏に売り込みをかけても、ヒーローコミック方面からはスルー、OTAKU方面にしろ男性ファンはつかず、寄ってくるのは腐女子ばかり…という戦績は、そりゃそーだろーとしか思えませんがな。

私も向こうでの評判はそれなりに気にしていたのですが、腐方面以外ではフェミニズム系の論者がヒーローコミックのマチズモ・女性排除を批判する際に比較対象として持ち上げていたケースを何度か見たくらい。…てか、こういう取り上げ方をされるってこと自体、タイバニがド真ん中なヒーローコミックファンの愛するイズムと大きく外れてる証拠でしょう。

私もねぇ、放映前~初期には、「クレイバン・ムーアが原型担当したような怖い顔のフィギュア(当然パッケはブリスター型)を出して欲しいな~。そんで『全然キャラ表と似てない!』って怒る奴らをわき目にニヤニヤしたい♪」とか思ってたんですけどねぇ…。

まー、私みたいなのはタイバニの客じゃないってことなんでしょうな。
そんな訳で、後は腐の皆さんで存分にお楽しみ下さい。

付記1)つーか、萌えだカップリングだ以前に、キャンベルの式に当てはめると「共同体から一旦放逐され、死と再生を経験し、悪竜を倒すorその父の課した試練を乗り越えて姫をめとる英雄」は虎鉄、「英雄に救済され、獲得される姫君」はバニーという事になるのだが。制作者側は初めからバニーを「ヒーロー」として描く意図はなかったという事?

付記2)「マチズモは自分も世界も幸福にしない」とか「家父長制的価値観が社会のあり方を歪めている」とかいう思想の許に、アンチテーゼとしてアメコミネタをこういう風に料理して世に問うているというなら話は別。でも、どう見ても社会性ゼロの「無邪気という名の野蛮」の結果としか思えないんだよね。劇場版のサブタイトルを「ライジング」とかつけて平気でいる神経に至っては、不快度MAX。

瀬尾はやみ @hayamiseo

この記事の内容すべてに賛同できるわけでもないんですが、なるほどなあ……と思うことも多かったタイバニ批評。http://t.co/TKza9mLPNB

2013-04-21 00:03:30
ユンダ @y00black

望んでいた展開については完全に同意。自立したバニーちゃん見たかったよ。マチズモ排除は腐女子関係なく、本来のターゲット層である日本の30代男性のニーズでしょ、男らしさとか疲れちゃうもんね。ついでに後輩が自分を超えるのも癪だよね、でバニーの成長は描かれなかったと推測

2013-04-21 00:22:52
ユンダ @y00black

以前のタイバニオフで、バニーは虎徹さん(に感情移入するであろう30代男性)の承認欲求充足装置であるって結論が出たのだけど、考えたら周りの登場人物みんなそうなのね。こんなにオッサンの自意識を満たすことに特化したアニメ、そうそうないと思います。アメコミとは制作意図から全部違いますから

2013-04-21 00:35:08
ユンダ @y00black

というわけで、元ブログの主にはタイバニのマチズモ不在を腐女子のせいにするのはやめて、自分の大好きなビッグオーの監督の自己愛と向き合うことを勧めたい

2013-04-21 00:40:51
このツイートは権利者によって削除されています。
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cloe @Jelly_fish_cloe

こてつさんの服や鞄や時計だっけ? が全部監督の私物だか好きなブランド物だって聞いて「うわぁ…」ってなったのを思い出した。

2013-04-21 00:36:08
cloe @Jelly_fish_cloe

タイバニは途中まですごく楽しんでたんだけどこのへんの監督秘話を見て熱がしゅっと冷めたんでした。http://t.co/058zmhQBfK さっきつぶやいた時計とかの元ネタを監督自ら語ってらっしゃる。

2013-04-21 00:55:19
まとめ TIGER & BUNNY 監督のさとうけいいち氏のタイバニネタまとめ TIGER & BUNNYの監督さとうけいいち氏のTwitterに裏話や制作秘話があったのでその部分を抜き出してまとめ。随時修正してましたが誰でも編集可に変更いたしました。 97219 pv 847 15 users 6
あけ(日本海) @ake_91

なんつーか定期的に「中年男が主人公の○○アニメがあったっていいのに」みたいなRT回ってくるけど、単に主人公の年齢が高いってだけならともかく、中年男であることを主人公のアイデンティティにしちゃったら間違いなく面白くなくなると思う

2013-04-21 00:39:57
あけ(日本海) @ake_91

あと海外に比べて日本の主人公は年齢が低いとかそういうの、日本のアニメのキャラってある程度の年齢になったらよっぽどのことがない限りふらふら悩んだり考え激変させたりしないみたいな風潮あるじゃん多分

2013-04-21 00:57:32
まつざわ @mtzw1004

女がブランド品にこだわるとやたら叩かれるけど男にもブランド(服はもちろん車や文具多岐に渡って)にこだわる人はたくさんいるのに、そっちは叩かないのかな。

2013-04-21 00:45:40
まつざわ @mtzw1004

ブランドもの=贅沢という思考でとらえいて、その「贅沢」に「無駄」「浪費」というマイナスイメージを抱く人は「ブランド」をやたら叩く。

2013-04-21 00:50:03
まつざわ @mtzw1004

贅沢って言葉を調べてみたら「ふさわしいとされる程度を超えた」というマイナスの意味もあるけど「沢」の文字には「うるおう」の意味もあって、その「うるおい」のおかげでなんとか日々やっていけるのです。

2013-04-21 01:22:20
まつざわ @mtzw1004

自分にとっての楽しい買い物が誰かから見たら「贅沢」だったりするわけですが、贅沢と叩いてくるやつらの金銭感覚が正しいとは限らんのです。

2013-04-21 01:24:52
まつざわ @mtzw1004

漫画や小説で作者の自己投影が激しいキャラが出てくるとげんなりするのは私だけじゃないはずだ。

2013-04-21 10:55:05
まつざわ @mtzw1004

さらにそのキャラが作者を代弁して演説しちゃうようなシーンが出てくるとげんなり感が3倍くらい跳ね上がる。

2013-04-21 10:55:11
kagaseknight @thekagaseknight

タイバニな…ほんと後半不満たらたらだったな…

2013-04-21 00:48:18
kagaseknight @thekagaseknight

タイバニはさ、あれじゃヒーローモノじゃないじゃん。ヒーローって言ってる連中が出てるだけやんって感じだったよね。途中でちゃぶ台を1万回くらいひっくり返したくなった。

2013-04-21 00:54:37
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コメント

関屋 @Seki_yuki 2013年4月23日
前にも書いたけど7割くらいは同意。バニーが成長してないとは思わないけど、それでももう一歩見たかったよね、とは思う。世代交代の話にはならなかったよなー。2期イラねは時々聞くけど、2期こそが監督の主題だったんだろーなーという。
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関屋 @Seki_yuki 2013年4月23日
おじさんが気持ちよくなるためのお話だから、カリーナの恋愛が報われることは絶っっ対にない、っていうのは、劇場版で尚更強く感じた、監督変わったけど。
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関屋 @Seki_yuki 2013年4月23日
あとは友達のよく言う「タイバニはアメコミと桂正和の皮をかぶった典型的8~90年代のサンライズアニメ」っていうのがあって、それはなおさらおじさん世代には受ける要素がるよね、という。
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関屋 @Seki_yuki 2013年4月23日
なんかすげー虎徹さんdisのように見えるかもしれないけどそうではないのです……それ(物語の中の話)と、これ(物語の外の話)は別なのです……
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ユンダ @y00black 2013年4月27日
主題と関係ないツイートは削除したよ。全く油断も隙もねえな
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夜更至ヒルネスキー @hiruneskey 2013年4月29日
《贅沢って言葉》《「沢」の文字には「うるおう」の意味も》  人の為の贅沢なら潤沢と呼べるから許されるのかな。
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