茂木健一郎さん連続ツイート第920回「アップルの、生みの苦しみ」

脳科学者・茂木健一郎さんの4月25日の連続ツイート。
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茂木健一郎 @kenichiromogi

ただ今、午前8時15分です。滞在中のハワイ州ホノルルから、連続ツイート920回をお届けします。本日は、昨日のニュースに接して考えたこと。

2013-04-25 03:16:05
茂木健一郎 @kenichiromogi

あう(1)アップルの業績が10年ぶりに減益に転じたと報道され、同社の株価も低迷している。iPhoneの売れ行きが伸びなやんでいることや、サムスンなどの競合する機種のシェアが伸びてきていることなどが背景にあるという。iPadのうち、miniの割合が増えたことも利益率を下げた。

2013-04-25 03:20:41
茂木健一郎 @kenichiromogi

あう(2)創業者であるスティーヴ・ジョブズ氏が亡くなったのは、2011年10月5日。以来、アップルの業績は好調だったが、いつかは、ジョブズ氏不在の影響が現れ始めるのではないかという懸念もあった。ジョブズ氏がもし生きていたら、今回の業績悪化も避けられたという見方もあるだろう。

2013-04-25 03:22:14
茂木健一郎 @kenichiromogi

あう(3)ジョブズ氏のカリスマ性は、顕著なものであった。周囲の現実がゆがむReality Distortion Fieldの中で、人々はインスパイアされ、革新的なイノベーションを起こした。ジョブズ氏がかけがえのない人だったことは確かであり、不在をどう乗り越えるかは課題である。

2013-04-25 03:24:07
茂木健一郎 @kenichiromogi

あう(4)一方で、アップルの減速が何によってもたらされたかを、冷静に考える必要もある。iPhoneは、今までにない商品カテゴリーを定義する、画期的なものだった。革新的商品は、市場において先行者利益をもたらし、高い利幅を確保することができる。アップルの業績は急上昇した。

2013-04-25 03:25:28
茂木健一郎 @kenichiromogi

あう(5)サムスンなどのアンドロイド携帯の作り手が登場することによって、かつては革新的だったiPhoneも、いわば「コモディティ化」することで、利益率を確保することが難しくなった。今日のアップルの減速は、ジョブズの不在ではなく、このような市場原理に由来すると見ることもできる。

2013-04-25 03:26:49
茂木健一郎 @kenichiromogi

あう(6)重要なことは、アップルの競争相手であるサムスンは、革新的な商品を生み出しているわけではないということである。進化の過程で言えば、それはiPhoneの変化物であり、かつてのMac OSとWindows 95の関係に似ている。サムスン以外のアンドロイドフォンも、同様。

2013-04-25 03:29:16
茂木健一郎 @kenichiromogi

あう(7)結局、アップルは、再びiPhoneやiPadのような革新的な商品を生みだし、市場に新しいカテゴリーを定義して先行者利益を得るしか、業績向上の切り札はないということになる。これは、スティーヴ・ジョブズが生きていたとしても、難しいことだったろう。

2013-04-25 03:30:43
茂木健一郎 @kenichiromogi

あう(8)想像してみよう。スマホやタブレットによって占められている私たちの生活スペースに入る、新しい商品カテゴリーは何だろうか? 時計型は未知数。テレビは、各国の事情が違いすぎて難しい。Google glassも、どれくらい市場でマスを得るか、現時点ではわからない。

2013-04-25 03:32:46
茂木健一郎 @kenichiromogi

あう(9)アップルの、生みの苦しみ。全てのイノベーターの課題でもある。スマホでネットにもつながるし、音楽も聴けるし、動画も見れるし、写真も映像も撮れるし、メールでもツイッターでも何でもできる今、革新的な商品で新しいスペースをつくるチャレンジ。ジョブズが生きていたら何をしただろう。

2013-04-25 03:34:40
茂木健一郎 @kenichiromogi

以上、連続ツイート920回「アップルの、生みの苦しみ」でした。

2013-04-25 03:35:00