プルトニウム海外輸送関連 国会主意書

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平成十一年八月十二日提出
質問第四七号

東京電力海外プルトニウム移転に関する質問主意書
提出者  辻元清美

東京電力海外プルトニウム移転に関する質問主意書

 東京電力株式会社(以下、「東電」という)は、プルサーマル計画に基づきフランスにおいて回収されたプルトニウムをMOX燃料加工するために、フランスからベルギーへプルトニウムの移転を行った。プルトニウムの移転に際しては、保障措置及び核物質防護上最も厳しい管理を要求されている。フランスからベルギーへのプルトニウム移転に係る手続き及び管理において疑義があるので以下、質問をする。
一 移転量について
 1 日仏原子力協定に基づきフランスから一九九六年六月、プルトニウム移転の同意依頼があった。その内容は、清水澄子参議院議員質問主意書に対する答弁書(一九九八年七月二八日付)によれば『ベルギーに一九九六年十月以降及び一九九八年一月以降、それぞれ二〇〇キログラム以上の一定量を移転』とある。
   フランスから実際に移転されたプルトニウム量の通知はあったのか。あったとすれば、いつ、どのような内容か。
 2 東電によればフランスからベルギーへ移転されたプルトニウムは、一回目(福島一 ― 三号機分)核分裂性一四五キログラム、プルトニウム総量二二〇キログラムを一九九七年五月移転し、二回目(柏崎三号機分)核分裂性一三七キログラム、プルトニウム総量二〇九キログラムを一九九八年六月移転したとのことである。移転した年月日とプルトニウム量は、東電の説明で間違いないか。
 3 いつ、どこから、どの様にして、この実際の移転量を知ったのか。また、二回の移転年月日はいつか。
 4 一九九八年版原子力白書には、フランスからベルギーへの移転された量が表されていない。フランスから報告を受けた年末在庫にベルギーへの移転量が記載されているのか。
 5 あるとすれば、どうして白書にはその旨記載しなかったのか。また、ないとすれば、第三国への移転が行われたにもかかわらず、ベルギーでの在庫量を記載しなかった理由は何か。
二 欧州共同体委員会(以下、「EC委員会」という)及びベルギーとの交換公文について
  一九九七年二月一〇日付けEC委員会及びベルギーとの交換公文(以下、「取極」という)の附属書において、プルトニウム二二一キログラムを一九九七年九月以前に、二六二キログラムを一九九八年七月以前に移転するとの国際約束をしている。「取極」において、約束した二回目のプルトニウム移転量は二六二キログラムであったが、実際に移転されたプルトニウム量は二〇九キログラムと五三キログラムも少なかった。
  「取極」におけるプルトニウム移転量を決めた根拠は、清水澄子議員質問主意書に対する答弁書(一九九八年七月二八日付)によれば『政府が我が国関係事業者から、EC委員会及びベルギー政府が先方関係事業者からそれぞれ確認した核物質の移転予定量、移転予定時期等を踏まえて附属書に記載することとした。』とある。
 1 実際の移転前に事業者から移転量変更の届出等の連絡はあったか。あったとすれば、どこの事業者から、いつ、どのような説明があったのか。また、移転量変更の理由は何か。
 2 この移転量の変更について、実際の移転前にEC委員会及びベルギーへ連絡をし、なんらかの変更手続き等対処をしたか。連絡したとすれば、その年月日と内容を明らかにされたい。何もしていないとすれば、その理由は何か。
 3 清水澄子議員質問主意書に対する答弁書(一九九七年七月一八日付)で「取極」について
  (1) 核物質等我が国から国外へ移転される場合には、移転先国等における平和的利用等についての保証(「平和的利用等の保証」)を得ることとしている。
  (2) 「平和的利用等の保証」は、二国間の原子力協定(長期的、包括的)及び個々の移転ごとの移転先国政府等との取極等により得る。
  (3) 今回のMOX燃料加工に関しては、EC委員会及びベルギー政府との交換書簡の取極により「平和的利用等の保証」を得ているので、ベルギーとの原子力協定を締結する必要はない。
  としている。
   また、同じ清水議員の質問主意書に対する答弁書(一九九八年二月一七日付)によれば、『政府は我が国とベルギー王国との間において予定された原子力の平和利用における協力が限定的かつ短期的であること等を勘案し、平和的利用等の保証を得るために、包括的かつ長期的な枠組みである原子力協定を締結するのではなく、個別の取極を締結することが適切であると判断した。』とある。
   今回の移転の根拠は、原子力協定と同等である国際約束の「取極」により、移転量と時期を定め、保障措置及び核物質防護が「保証」されたことにあったと理解している。しかし実際には、その移転するプルトニウムの量が五三キログラムも変更された。保障措置及び核物質防護の「保証」は、厳格な数値を定めることで成り立つのであり、移転量の変更は「取極」移転量の変更によって担保されるのではないか。したがって、「取極」移転量の変更がされていないとすれば、「取極」による「保証」は不確かなものとなるのではないか。
三 日仏原子力協定の解釈について
  日仏原子力協定第四条3の規定によれば、フランスからベルギーへのプルトニウム移転に際しては、フランス政府が移転先の保障措置・核物質防護等の保証を得ると解釈すべきではないのか。何故、フランス政府が保障措置・核物質防護等の保証を得ず、日本政府がEC委員会及びベルギーから保証を得ることになったのか。その経緯と理由は何か。
 右質問する。
http://www.shugiin.go.jp/itdb_shitsumona.nsf/html/shitsumon/a145047.htm


平成十一年九月二十八日受領
答弁第四七号

  内閣衆質一四五第四七号
    平成十一年九月二十八日
内閣総理大臣 小渕恵三

         衆議院議長 伊※(注)宗一郎 殿
衆議院議員辻元清美君提出東京電力海外プルトニウム移転に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。

衆議院議員辻元清美君提出東京電力海外プルトニウム移転に関する質問に対する答弁書

一の1について
 御質問のフランス共和国からベルギー王国へのプルトニウムの移転に関し、実際に移転されたプルトニウムの量についてのフランス共和国政府から政府に対する通知はなかった。
一の2及び3について
 御質問のフランス共和国からベルギー王国へのプルトニウムの移転に関しては、東京電力株式会社(以下「東電」という。)による許可申請、届出等の法的手続は必要とされていないが、政府は、当該移転に関して、一回目については平成九年五月に、二回目については平成十年七月に、それぞれ東電から電話連絡等により事実関係を聞いている。
 東電によれば、一回目の移転はプルトニウム総量二百二十キログラム(うち核分裂性プルトニウム百四十五キログラム)について平成九年五月中に完了したとの報告を、二回目の移転はプルトニウム総量二百九キログラム(うち核分裂性プルトニウム百三十七キログラム)について平成十年六月末までに完了したとの報告を、それぞれフランス共和国の事業者であるフランス核燃料会社から受けたとのことである。
一の4及び5について
 「千九百七十二年二月二十六日に東京で署名された原子力の平和的利用に関する協力のための日本国政府とフランス共和国政府との間の協定を改正する議定書」(平成二年条約第五号)を締結するための交渉において到達した了解を記録した合意された議事録2(d)に基づき、フランス共和国政府から政府に対して、フランス共和国内にある「原子力の平和的利用に関する協力のための日本国政府とフランス共和国政府との間の協定」(昭和四十七年条約第九号。以下「日仏原子力協定」という。)の対象となる核物質の在庫の状況等に関する情報が施設ごとに一年単位で提供されるが、フランス共和国外へ移転された核物質の量に関する情報については提供の対象とされていない。
二の1について
 御質問のフランス共和国からベルギー王国への二回目のプルトニウムの移転に関しては、事業者による許可申請、届出等の法的手続は必要とされておらず、政府は、事業者から、具体的な移転量についての事前の連絡は受けていない。しかしながら、政府は、東電から、プルサーマル計画の進ちょく状況について適宜話を聞いており、平成九年十二月に、当該プルトニウムの移転量が政府と欧州共同体委員会との間の平成九年二月十日付け書簡の交換による取極(以下「日・欧州共同体委員会取極」という。)の附属書及び政府とベルギー王国政府との間の同日付け書簡の交換による取極(以下「日・ベルギー取極」という。)の附属書Aに記載されている移転予定量を下回る可能性があることが判明した。
 この移転量の変更については、政府は、平成十年七月に、東電から、プルサーマル計画の具体化により混合酸化物燃料(以下「MOX燃料」という。)加工に用いられるプルトニウムの組成が確定したこと等に伴うものと聞いている。
二の2について
 MOX燃料加工のためのフランス共和国からベルギー王国への二回目の移転に係るプルトニウムに関し、政府は、平成九年十二月十二日に欧州共同体委員会との間において、また、同月十六日にベルギー王国政府との間において、当該プルトニウムは、その量が日・欧州共同体委員会取極の附属書及び日・ベルギー取極の附属書Aに記載された移転予定量を超えない限り、日・欧州共同体委員会取極及び日・ベルギー取極の対象となることを口頭で確認しているところである。
 なお、日・欧州共同体委員会取極及び日・ベルギー取極は、日・欧州共同体委員会取極の附属書及び日・ベルギー取極の附属書Aに記載された核物質がベルギー王国に移転された場合に、当該核物質について、欧州共同体委員会が平和的非爆発目的にのみ使用されることを確保する等の義務を、ベルギー王国政府が適切な防護の措置が適用されることを確保する義務をそれぞれ負うことを内容とするものであって、政府が当該核物質をベルギー王国へ移転する義務を負うものではない。
二の3について
 二の2についてで述べたとおり、MOX燃料加工のためのフランス共和国からベルギー王国への二回目の移転に係るプルトニウムに関し、政府は、欧州共同体委員会及びベルギー王国政府との間において、当該プルトニウムは、その量が日・欧州共同体委員会取極の附属書及び日・ベルギー取極の附属書Aに記載された移転予定量を超えない限り、日・欧州共同体委員会取極及び日・ベルギー取極の対象となることを口頭で確認しており、御指摘のような問題はないものと考えている。
三について
 御質問のフランス共和国からベルギー王国へのプルトニウムの移転は、日仏原子力協定上、ベルギー王国において、当該プルトニウムが平和的非爆発目的にのみ使用されること、当該プルトニウムについて国際原子力機関による保障措置が適用されること及び当該プルトニウムについて日仏原子力協定の附属書Aに定める水準の防護の措置がとられることについての保証をフランス共和国政府が適切な方法で得る場合であって、政府の事前の文書による同意があるときに行われ得るほか、このような保証をフランス共和国政府が得られない場合であっても、政府の事前の文書による同意があるときには行われ得ることとなっている。
 政府は、本件MOX燃料加工のためのフランス共和国からベルギー王国へのプルトニウムの移転については、ベルギー王国において、当該プルトニウムがMOX燃料加工という平和的非爆発目的にのみ使用されること、当該プルトニウムについて国際原子力機関による保障措置が適用されること、当該プルトニウムについて適切な防護の措置がとられること、当該プルトニウムがMOX燃料に加工された後にフランス共和国に移転されること等を確保するため、これらについての保証を政府自らが欧州共同体委員会及びベルギー王国政府との国際約束によって得た上で、事前の文書による同意を行うことが適切であると判断したものである。
http://www.shugiin.go.jp/itdb_shitsumona.nsf/html/shitsumon/b145047.htm


平成十六年六月十五日提出
質問第一八八号

プルトニウム利用政策に関する質問主意書
提出者  吉井英勝

プルトニウム利用政策に関する質問主意書

 一九九五年の「もんじゅ」事故で高速増殖炉開発が頓挫し、使用済み核燃料の全量再処理路線をとってきた日本は、利用計画が未定のプルトニウムを大量に保有することになった。このプルトニウム過剰をとりつくろうため、政府の政策でプルトニウム利用の主役として九七年に急浮上したのが、「プルサーマル計画」である。しかし、九六年一月の福井、福島、新潟の三県知事提言が、核燃料サイクルのあり方について国民的合意形成を求めたことに見られるように、プルサーマルなど核燃料サイクルには、国民的合意はなかった。実際、東海再処理工場事故、JCO臨界事故、さらに東京電力などの不正事件などが相次いで発生し、原発「安全神話」が崩壊し、国民の中で原発への不信が高まる中で、「プルサーマル計画」は事実上の中止状態になっていた。こうして、政府の原子力長期計画の破綻も明らかになった。
 ところが、最近、関西電力の高浜原発三・四号機、日本原電の敦賀二号機・東海二号機、九州電力の玄海原発三号機、四国電力の伊方原発三号機など電力各社は、「プルサーマル計画」の実施にむけて具体的に動き出した。これは、昨年十月に政府が「エネルギー基本政策」の中で「プルサーマルを着実に推進する」とした方針に力を得てのものである。
 政府が全量再処理とプルサーマルによるプルトニウム利用に固執するならプルトニウム過剰と原発事故の危険性はさらに深刻な事態に陥ることになる。
 政府がこの破綻したプルトニウム政策を根本的に転換することが必要であり、この立場から政府の方針を改めて問うものである。
 従って、次の事項について質問する。
一 プルトニウム過剰について
 各電力会社がプルサーマル計画をすすめる背景には、海外再処理した使用済み核燃料の返還プルトニウムの問題がある。
 1 海外再処理委託の七一〇〇トンはすでに搬出済みだが、再処理が完了する時期とプルトニウム回収量はどう見込まれているか。
 また、再処理量とプルトニウム回収量の現状と今後の見通しはどうなっているか。
 2 海外再処理以外の使用済み核燃料の現在量、今後四〇年程度の推移及びそこに含まれるプルトニウムの量はどうなっているか。
 3 六ヶ所再処理工場が予定通り稼動した場合のプルトニウム回収量は毎年どれくらいと見込まれるか。また、それに対応したプルトニウム消費計画はどうなっているか。
 4 1~3をまとめると、プルトニウムの累積生成量(使用済燃料のものも含む)、累積回収量、累積消費量、及び過剰量について、現状及び今後四〇年程度の推移はどうなるか。
二 内外のプルサーマル実証例について
 海外の総てのプルサーマル利用の原発について、発電所の規模(何万キロワット)、炉心を構成する燃料体の総数、その中でMOX(ウランと核分裂性プルトニウム八%の混合酸化物)燃料の数とその割合、燃焼度について示されたい。
 さらに、前記の海外の事例と比較した時、計画中の日本のプルサーマル利用とどこが違うところかを説明されたい。
三 使用前後の組成と放射能の変化について
 一〇〇万キロワットの原発の軽水炉で低濃縮ウラン燃料を燃やす通常の場合と、MOX燃料を燃やすプルサーマル利用の場合について、それぞれ(ア)燃焼する前、(イ)四~五万MWd程度燃焼させた後の使用済み、この二つの場合に、燃料中の核分裂性プルトニウムの組成はどのようになると考えているのか。
 また、この場合に、長寿命で高レベル放射性物質であるアクチノイド系物質の蓄積量・放射線量はそれぞれどのようになるか。これを低濃縮ウランの場合と比較すると、それぞれ何倍になるか。
四 事故時の放出放射線量予測について
 1 前記の三の一〇〇万キロワット原発で、仮想事故、重大事故、過酷事故を想定した場合に、低濃縮ウラン燃料使用とプルサーマル利用のそれぞれについて、α線、β線、r線、中性子線の放出量は幾らになると見込んでいるのか。
 2 各原発にMOX燃料を装荷した際の「重大事故」または「仮想事故」時の放射能の想定放出量について、どのような検討がなされたのか。低濃縮ウラン炉心の場合とどのような違いがあるのか。もし、この件が検討されていないとすれば重大であるが、その理由を明らかにされたい。
 3 米核管理研究所は、高浜四号機(PWR八七万キロワット)の周辺一一三キロメートルの地域での「過酷事故」時の低濃縮ウラン炉心とMOX炉心について、プルトニウム放出割合がH(高)、M(中)、L(低)の三ケースで「潜在的がん死」、「急性死」の影響について比較検討し、四分の一MOX炉心の場合、潜在的がん死は四二~一二二%、急性死は一〇~九八%も高くなる、フルMOX炉心の場合、潜在的がん死は一六一~三八六%、急性死は六〇~四八〇%も、低濃縮ウラン炉心の場合と比較して高くなるとして、MOX燃料使用のリスクを厳重かつ正直に行うよう警告している。この米核管理研究所の警告をどう受け止めているか。
五 バックエンドコストについて
 原発バックエンドコストが幾らになるのかが大きな問題になると指摘してきたが、電気事業連合会の一八兆八千億円という数字などが示されている。
 1 電気事業連合会などは約一〇兆円は回収制度があるとして、残りの約九兆円は新たな国民への直接・間接の負担増を求めているが、国民に負担を求める額とその根拠を示されたい。
 2 家計負担は一世帯当たり一二六〇円から一四〇〇円、一月当たりに直すと一一七円という試算値などが示されているが、政府が考えている原発の後処理コストについて、単位発電量当たり幾らか、家計負担としては一世帯当たり幾らかを、また、その計算根拠を示されたい。
 3 いかなる形であれ国民に新たな負担増を求めることは絶対に許されないと考えるが、政府の見解はどうか。
六 直接処分コストと再処理コストの計算等についての政府の比較研究について
 1 最近、アメリカのMIT(マサチューセッツ工科大学)やハーバード大学の研究報告の中で、使用済み核燃料の再処理コストは、直接処分と比較して著しくコスト高になると試算されている。こうした試算に反論できるだけの合理性のある試算や研究成果物はあるのか。
 2 使用済み燃料の再処理と直接処分とで、比較検討することが必要な段階にきている。政府として、どのような検討をしているのか。
 また、民間事業者である電力会社が、経営判断として直接処分を選べるようにすべきとの意見もあるが、どのような見解をとっているのか。
七 全量再処理方式について
 使用済み核燃料の「全量再処理」方式は、プルトニウムを総て使い切るということが前提になっている。しかし、このおおもとにあった高速増殖炉(FBR)路線が失敗したもとで、再処理に固執すればプルトニウム過剰が深刻になり、世界各国から「日本は核武装するのではないか」と不信の目でみられかねない。中間貯蔵というバッファーを設けても、再処理を前提とする限り本質的には同じである。原子力先進各国の多くは、核不拡散政策、技術的困難あるいはコスト面から再処理など核燃料サイクルから撤退している。
 1 日本でも、これ以上、原発の危険を増大させないためにも、国際的不信を招かないためにも、プルサーマル利用と使用済み核燃料の「全量再処理」は止めるべきではないか。
 2 また、全量再処理方式の見直しも視野に入れた原子力長期計画改定の議論が行われようとしているときに、六ヶ所再処理工場の劣化ウランを使った試運転は再検討すべきではないか。さらに、本格運転もやめる決断をするべきと考えないのか。
 右質問する。
http://www.shugiin.go.jp/itdb_shitsumon.nsf/html/shitsumon/a159188.htm


平成十六年七月六日受領
答弁第一八八号

  内閣衆質一五九第一八八号
  平成十六年七月六日
内閣総理大臣 小泉純一郎

       衆議院議長 河野洋平 殿
衆議院議員吉井英勝君提出プルトニウム利用政策に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。

衆議院議員吉井英勝君提出プルトニウム利用政策に関する質問に対する答弁書

一の1について
 電気事業連合会を通じ実用発電用原子炉を有する十社の電気事業者(以下「本件電気事業者」という。)から聴取したところ、お尋ねの点については、次のとおりであるとのことである。
 本件電気事業者が海外の再処理事業者に再処理を委託した約七千百トン・ヘビーメタルの使用済核燃料(以下「海外再処理核燃料」という。)については、本年三月末現在、そのうち約六千八百トン・ヘビーメタルの使用済核燃料について再処理を終了しているところであり、これまでに回収されたプルトニウム二三九及びプルトニウム二四一(以下「核分裂性プルトニウム」という。)の量は、約二十七トンである。残りの約三百トン・ヘビーメタルの使用済核燃料については、平成十八年ごろまでに再処理を終了する予定であり、今後、約五トンの核分裂性プルトニウムが回収される見込みである。
一の2について
 電気事業連合会を通じ本件電気事業者から聴取し、また、日本原燃株式会社(以下「日本原燃」という。)等国内の再処理事業者から聴取したところ、本年三月末現在、本件電気事業者が有する実用発電用原子炉から生じた使用済核燃料(海外再処理核燃料を除く。)の量は、約一万二千トン・ヘビーメタルであり、これに含まれる核分裂性プルトニウムの量は、約七十一トンであるとのことである。
 電気事業連合会を通じ本件電気事業者から聴取したところ、本件電気事業者が有する実用発電用原子炉から生じる使用済核燃料の量の「今後四〇年程度の推移」については、当面は年間約九百トン・ヘビーメタルから約千トン・ヘビーメタルで推移し、その後、現在計画中の実用発電用原子炉がすべて運転を開始した段階で年間約千二百トン・ヘビーメタルから約千三百トン・ヘビーメタルとなる見込みであるとのことである。また、これらの使用済核燃料に含まれる核分裂性プルトニウムの量については、燃料集合体の種類等により、燃料集合体ごとに大きく異なるものとなることから、これを長期間にわたり推計し、お示しすることは困難である。
一の3について
 日本原燃の六ヶ所再処理工場が本格的に稼働すると、同工場において、年間約五トン弱の核分裂性プルトニウムが回収される見込みである。
 また、同工場で回収される核分裂性プルトニウムについては、当面、プルサーマル(軽水炉におけるウラン・プルトニウム混合酸化物燃料の利用をいう。以下同じ。)及び高速増殖炉等の研究開発に係る利用が想定される。プルサーマルについては、本件電気事業者が公表している計画のとおり平成二十二年ごろ以降十六基から十八基の実用発電用原子炉においてプルサーマルが実施された場合、合計で年間約五トンから約八トンの核分裂性プルトニウムの利用が見込まれ、高速増殖炉等の研究開発については、高速増殖原型炉「もんじゅ」が運転を再開した後は、年間数百キログラムの核分裂性プルトニウムの利用が見込まれる。
一の4について
 本年三月末までに、本件電気事業者の実用発電用原子炉において生成された核分裂性プルトニウム(本年三月末時点で、実用発電用原子炉内に存するものを除く。)の量は、約百八トンであり、そのうち再処理により回収された核分裂性プルトニウムの量は、約三十二トン(核燃料サイクル開発機構東海事業所の再処理施設で回収された約五トンを含む。)である。また、回収された核分裂性プルトニウムのうち約三トンが既に消費されている。
 核分裂性プルトニウムの「累積生成量」、「累積回収量」、「累積消費量」及び「過剰量」の「今後四〇年程度の推移」については、一の2についてで述べたように本件電気事業者の実用発電用原子炉において生成される核分裂性プルトニウムの量を長期間にわたり推計することが困難であること、プルサーマルを実施する実用発電用原子炉の数等に係る長期的な計画が明らかではないことなどから、お示しすることが困難である。
二について
 「海外の事例と比較した時、計画中の日本のプルサーマル利用とどこが違うところかを説明されたい」とのお尋ねについては、どのような観点からの比較を行うべきかが明らかでないためお答えすることは困難であるが、政府が把握しているウラン・プルトニウム混合酸化物(以下「MOX」という。)を使用している海外の実用発電用原子炉についてのお尋ねの事項及びこれらの事項に関する核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律(昭和三十二年法律第百六十六号。以下「原子炉等規制法」という。)第二十六条第一項に基づきMOX燃料を使用することを可能とする旨の許可を行った我が国の実用発電用原子炉のデータは、別表第一のとおりである。
三について
 我が国には電気出力が百万キロワットの実用発電用原子炉が存在しないため、電気出力が百十万キロワットの東京電力株式会社柏崎刈羽原子力発電所三号炉(以下「柏崎刈羽三号炉」という。)を例に挙げてお尋ねの点にお答えすれば、東京電力株式会社から聴取したところ、柏崎刈羽三号炉において、標準的な組成のMOX燃料(燃料集合体平均核分裂性プルトニウム含有率約二・九重量パーセント)及びウラン燃料(燃料集合体平均濃縮度約三・七重量パーセント)を燃焼した場合における当該MOX燃料及びウラン燃料に係る燃焼前後の核分裂性プルトニウムの組成及びアクチノイド系物質(原子番号八十九から百三までの元素)の量は、別表第二及び別表第三のとおりであるとのことである。
 お尋ねのアクチノイド系物質からの放射線量については、MOX燃料及びウラン燃料から放出される放射線量からアクチノイド系物質に係る放射線量を分離して特定することが困難であることから、お答えすることができない。
 また、「低濃縮ウランの場合と比較すると、それぞれ何倍になるか」とのお尋ねについては、一般に、実用発電用原子炉で認められる最高燃焼度は、MOX燃料を使用した場合とウラン燃料を使用した場合で異なっており、お尋ねのアクチノイド系物質の量についても、MOX燃料に係るものとウラン燃料に係るものとでは、異なる燃焼度を前提として算定していることから、両者を単純に比較することは適切ではないと考える。
四の1について
 原子炉等規制法第二十三条第一項の規定に基づく原子炉の設置許可及び原子炉等規制法第二十六条第一項の規定に基づく原子炉の設置変更許可に係る安全審査を行うに当たっては、原子炉冷却材喪失等の事象(以下「評価対象事象」という。)について、重大事故(「原子炉立地審査指針及びその適用に関する判断のめやすについて」(昭和三十九年五月二十七日原子力委員会決定)における原子炉立地審査指針一・二aに規定する重大事故をいう。以下同じ。)及び仮想事故(同指針一・二bに規定する仮想事故をいう。以下同じ。)を想定し、ガンマ線及びベータ線を放出する希ガス等(以下「評価対象放射性物質」という。)について、環境中への放出量に関する評価を行っているところであるが、現在までにMOX燃料の使用が可能である旨の許可を行っているMOX燃料の炉心装荷率が三分の一以下の実用発電用原子炉については、MOX燃料を装荷した炉心に係る重大事故及び仮想事故発生時の放射性物質の放出量について、ウラン燃料を装荷した炉心に係る場合と違いがないものとして安全性の評価を行っているところである。柏崎刈羽三号炉における重大事故を想定した場合及び仮想事故を想定した場合の評価対象事象に係る評価対象放射性物質の放出量についても、ウラン燃料を装荷した場合とMOX燃料を装荷した場合とで違いがないものとして安全性の評価を行ったところであり、当該放出量は、別表第四及び別表第五のとおりである。
 また、お尋ねの「過酷事故」については、工学的には想定されないほど発生の可能性が低いことから、安全審査に当たってそのような事故を前提とした評価を行っておらず、また、アルファ線及び中性子線を放出する放射性物質の環境中への放出についても、重大事故及び仮想事故の発生時にかかる放射性物質が環境中に放出される可能性が極めて低いことから評価を行っておらず、これらの点に係るお尋ねの事項については、お答えすることが困難である。
四の2について
 「発電用軽水型原子炉施設に用いられる混合酸化物燃料について」(平成七年六月十九日原子力安全委員会了承)において、最高燃焼度が燃料物質一トン当たり四万五千メガワット日以下であるとの前提の下、MOX燃料の炉心装荷率が三分の一程度までであれば、MOX燃料を装荷した炉心とウラン燃料を装荷した炉心との核分裂生成物の蓄積量の差異は、「現行の安全評価手法の有する保守性の範囲内であることを確認した」とされているため、四の1についてで述べたとおり、MOX燃料の炉心装荷率が三分の一以下の実用発電用原子炉については、MOX燃料を装荷した炉心に係る重大事故及び仮想事故発生時の放射性物質の放出量について、ウラン燃料を装荷した炉心に係る場合と違いがないものとして安全性の評価を行っている。
 また、MOX燃料の炉心装荷率が三分の一を超える場合については、「改良型沸騰水型原子炉における混合酸化物燃料の全炉心装荷について」(平成十一年六月二十八日原子力安全委員会了承)において、核分裂生成物の炉心内蓄積量の計算に用いる核分裂収率(放射性物質が特定の核種の核分裂生成物を生じるような核分裂の数の全核分裂数に対する割合)に関し、「評価対象となる各事象(事故、重大事故、仮想事故、平常時運転時)及び核種(希ガス、よう素)毎に、ウラン二三五の核分裂収率を用いる場合とプルトニウム二三九の核分裂収率を用いる場合とを比較して、判断基準に対してより保守的な結果を与える方の核分裂収率をそれぞれ選択して評価すること」とされており、ウラン燃料を用いる場合と比較して、より保守的に放射性物質の放出量の評価を行うこととしている。
四の3について
 お尋ねの「米核管理研究所」の報告は、MOX燃料を装荷した炉心に係る事故の影響について、原子炉施設の閉じ込め機能が喪失し、プルトニウムが環境中に放出されるなど、極端な前提をおいて評価を行ったものであると承知しており、かかる事故の影響を評価するに際して、必ずしも参考とすべきものとは考えていない。
五について
 政府としては、いわゆるバックエンド事業は、原子炉の運転によって生じる使用済核燃料の再処理等に係る事業であることから、原子力発電の受益者がこれを支えていくことが基本であると考えているが、具体的に、どのような費用について、どのような主体が、どのような形で負担すべきかなどについては、本年六月十八日に総合資源エネルギー調査会電気事業分科会制度・措置検討小委員会から総合資源エネルギー調査会電気事業分科会(以下「分科会」という。)へ報告された「制度・措置検討小委員会における考え方について」(以下「小委員会報告」という。)を踏まえて、現在、分科会において審議が進められているところであり、お尋ねの「国民に負担を求める額とその根拠」並びに「単位発電量当たり」及び「一世帯当たり」の「政府が考えている原発の後処理コスト」及びその「計算根拠」について、現時点においてお答えすることは困難である。
 なお、小委員会報告においては、今後、バックエンド事業に要することとなる費用等について、次のような考えが示されているところである。
 電気事業者から示された約十八兆八千億円のバックエンド費用については、その内訳について費目ごとに検討すれば、現行の使用済核燃料再処理引当金及び特定放射性廃棄物の最終処分に関する法律(平成十二年法律第百十七号)第十一条の規定に基づく拠出金(以下「現行の引当金等」という。)の対象となっている費目に係る費用が約十兆千億円、現行の引当金等の対象とはなっていないが、今後、引当金の対象とすべき費目に係る費用が約五兆千億円、費用が発生した年度の当期費用として経理すべき費目に係る費用が約三兆七千億円と整理することができる。
 これらの費用のうち、費用が発生した年度の当期費用として経理すべき費目に係る費用を除いた約十五兆千億円の引当て及び拠出が料金原価に与える影響については、二パーセントの割引率を用いて仮に試算すれば、一キロワット時当たり三十六銭程度と見積もることができるが、この見積額については、今後、様々な要因により変動する可能性がある点について留意する必要がある。
六及び七の1について
 御指摘の「MIT(マサチューセッツ工科大学)やハーバード大学の研究報告」においては、一定の前提の下に、使用済核燃料を直接処分した場合に要する費用(以下「直接処分費用」という。)と再処理した場合に要する費用(以下「再処理費用」という。)を比較し、直接処分費用の方が相当程度少なくなるものとされているが、他方、平成六年に発表された経済協力開発機構原子力機関(OECD/NEA)の報告書「核燃料サイクルの経済性」(以下「OECDの報告書」という。)においては、それとは異なる前提の下で同様の比較を行った結果、直接処分費用と再処理費用との差は、「MIT(マサチューセッツ工科大学)やハーバード大学の研究報告」におけるものに比して相当程度小さいものとなっているところであると承知している。
 政府としては、現在、「原子力の研究、開発及び利用に関する長期計画」(以下「長計」という。)の策定のための作業を進めているところであるが、核燃料サイクル政策については、本年六月に行われた第一回原子力委員会新計画策定会議において、使用済核燃料の直接処分等を含めて使用済核燃料の処分方法について比較検討を行うべきであるなどの意見があったことなどを踏まえ、今後の原子力委員会新計画策定会議において、「MIT(マサチューセッツ工科大学)やハーバード大学の研究報告」やOECDの報告書も必要に応じて参考にしつつ議論が行われることとなるものと考えている。
 また、使用済核燃料の処理については、現行の長計において、「国民の理解を得つつ、使用済燃料を再処理し回収されるプルトニウム、ウラン等を有効利用していくことを国の基本的考え方とする。したがって、民間事業者には今後ともこの考え方に則って活動を継続することを期待する」としているところである。
七の2について
 長計については、原子力委員会が、昭和三十一年からこれまでおおむね五年ごとに合計九回策定してきており、平成十二年十一月の現行の長計の策定から、来年十一月で五年を迎えることとなるため、原子力委員会が新たな長計の策定作業に着手したところである。ウラン試験の実施等日本原燃の六ヶ所再処理工場の稼動に向けた個別の事業の具体的な進め方については、このような状況も踏まえて、実施者である日本原燃が安全確保を前提に地元の理解を得つつ判断するものであると考える。
http://www.shugiin.go.jp/itdb_shitsumon.nsf/html/shitsumon/b159188.htm


質問第二七号

プルトニウム混合燃料加工に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成十年六月十七日

清 水 澄 子   

       参議院議長 斎 藤 十 朗 殿

   プルトニウム混合燃料加工に関する質問主意書

 最近のインド、パキスタン両国の核実験により、核物質の保障措置、防護措置はより重要なものとなっている。特に、プルトニウムの利用計画に関しては、平和利用とはいえ具体的な需給計画、手続き、進捗状況等を内外に公表し、我が国は過剰なプルトニウム在庫を持たないことを示さなければならない。
 我が国の原子力発電所から搬出し、海外再処理委託された使用済燃料から回収されたプルトニウムは、プルトニウム混合燃料(以下、「MOX燃料」という。)に加工されて日本に返還されることになっている。しかし、MOX燃料利用計画における需給計画、輸送計画、手続き等に疑義がある。
 以下、MOX燃料加工に関する質問をする。

一 プルトニウム需給計画について

 一九九七年までに再処理により回収された核分裂性プルトニウムは、英国三、一〇一キログラム、仏国一一、七三五キログラムとのことである。

1 一九九六年までの英国、仏国の核分裂性プルトニウムの在庫量及び一九九七年までの英国、仏国の核分裂性プルトニウムの在庫量は、それぞれ何キログラムか。
2 一九九八年から二〇〇〇年までの核分裂性プルトニウムの使用量及び在庫量は、英国、仏国それぞれ何キログラムの見通しか、各年ごとに明らかにされたい。
3 一九九五年八月の「プルトニウム需給見通し」では、海外再処理により回収されるプルトニウムは二〇一〇年までに約三〇トンである。軽水炉での二〇一〇年までの使用量は二五から三〇トンとなっており、二〇〇〇年からは年間二・六トンも使用することになっている。

(1) 現在、すでに十数トンに及ぶ核分裂性プルトニウムの在庫量は、ランニングストック量としてはあまりにも多い。年間二・六トン使用した場合、その適正なランニングストック量は何トンか。
(2) この先数年は供給量が使用量を上回る見通しであるから、さらに在庫量は増えるはずである。このままプルトニウムの過剰在庫を持ち続けるつもりか。何年に適正なランニングストック量となる見通しか。

二 東京電力株式会社(以下、「東電」という。)のプルトニウムの移転について

1 MOX燃料加工委託契約等に係る事業者からの申請、届出はないとのことである。東電からプルトニウムの移転に関しての許可・承認の申請、届出等はあったか。あるとすれば、その名称と申請、届出及び許認可の年月日を明らかにされたい。
2 今回の欧州共同体(以下、「EC」という。)との交換書簡では、プルトニウムが移転されたことについての連絡は、EC委員会及び関係国政府からはないとのことである。
 日仏原子力協定の「合意された議事録」によれば、仏国から核物質の施設ごとの在庫量を年単位で日本政府及びIAEAに通報されることになっている。

(1) ベルギー政府から日本政府に対して、ベルギー国内の核物質の施設ごとの在庫量を年単位で通報されることになっているのか。通報されるとすれば、その根拠は何か。また、通報されないとすれば、ベルギー国内の施設ごとの核物質の在庫量をどのようにして把握するのか。
(2) 日本はIAEAとの協定により、核物質の移動量、在庫量等をIAEAに報告する義務を負っているが、ベルギー国内における我が国事業者所有の核物質の施設ごとの移動量、在庫量をどのようにIAEAに報告するのか。

3 仏国からベルギーへのプルトニウム輸送に当たり、米国の承認は必要ないとのことである。必要としない根拠は何か。

4 日仏原子力協定に基づく、仏国からのプルトニウム移転同意の依頼内容について

(1) 保障措置はEC、核物質防護措置はベルギーがそれぞれ保証する、との内容はあったか。
(2) 日仏原子力協定にいう「認められた者」として、ベルゴ・ニュークリア社を加える同意依頼はあったか。ないとすれば、ベルゴ・ニュークリア社は、日仏原子力協定にいう「認められた者」ではないのか。
(3) プルトニウムを一九九七年九月以前に二二一キログラム、一九九八年七月以前に二六二キログラムを移転することの依頼内容はあったか。ないとすれば、移転プルトニウムの量と移転時期については、どのような依頼内容であったのか。
(4) 他に、具体的にどのような同意依頼内容があったのか。
(5) 同意したプルトニウム移転量は何キログラムか。それは東電がMOX燃料加工契約をした二〇〇体相当分か。
(6) 同意した移転時期は、それぞれいつか。

三 EC及びベルギーとの交換書簡の内容について

1 交換書簡にあるプルトニウム二二一キログラムとウラン一五四四キログラムを一九九七年九月以前に、プルトニウム二六二キログラムとウラン一五四四キログラムを一九九八年七月以前に移転するとの約束は、誰の提案又は何を根拠として、どのようにして決められたものなのか。
2 交換書簡にある「MOX加工された燃料は、仏国を経由して日本に返還される。」との記述については、平成十年二月十七日付の答弁書によれば「かかる記述は、関係する事業者間の当該MOX燃料加工に係る委託契約の内容に沿ったものである。」としているが、これは日米原子力協定の附属書に規制されたものではないのか。
3 ECとの交換書簡によれば、EC委員会が一ケ月前に文書により日本政府に通告すれば、加工されたMOX燃料を仏国に移転することができるとある。

(1) この約束は、日本政府の同意を必要としない非常に一方的なものであり、日本側の受け入れ状況を考慮していない。このような約束をした理由を明らかにされたい。
(2) 東電は地元の同意を得なければ、MOX燃料の輸送は行わないとしている。また、三県知事との約束で、政府は地元の同意を条件としている。しかし、これでは地元の同意なしに、MOX燃料返還輸送が開始される可能性もあるということではないのか。
(3) MOX燃料の安全審査、安全確認もせずに、返還輸送が開始される可能性もあるということではないのか。

四 MOX燃料製造について

1 東電のベルギーにおけるMOX燃料製造が開始されていることを承知しているか。承認しているとすれば、いつ、どのようにして承知したのか。
2 東電に対して、ベルギーにおけるMOX燃料製造の許認可及び承認等を、いつ、どのようにして与えたのか。
3 本来、事業者の海外におけるMOX燃料加工には、日本政府の事業者に対する許認可及び承認等は必要ないのか。ないとすれば、事業者は海外においてプルトニウムを、自由に何にでも加工できるということか。

五 MOX燃料輸送計画について

1 MOX燃料輸送容器について

 東電及び関西電力株式会社(以下、「関電」という。)のMOX燃料輸送容器の、それぞれの輸送物設計承認、容器承認の申請日・承認日、設計承認番号、承認容器の個数、容器所有者の氏名を示されたい。

2 MOX燃料輸送船について

(1) 輸送船はBNFL(イギリス原子燃料公社)所有のものか、それとも日本船籍のものか。
(2) 東電のMOX燃料と関電のMOX燃料を別々の船で輸送するのか。
(3) 輸送船には武装護衛者が乗船するのか。乗船するとすれば、一民間企業が武装護衛者を雇えるのか。また、武装護衛船は付くのか。付くとすれば、一民間企業が武装護衛船を雇えるのか。
 武装護衛者にしても、武装護衛船にしても民間企業が雇えないとすれば、海上保安庁又は自衛隊の派遣ということになる。一民間企業の企業活動のために、毎回派遣されることが法律上許されるのか。

3 以上の輸送に係る計画は、すでに具体的に決定されているのか。未だに検討中であるとすれば、東電のMOX燃料製造は昨年五月に開始されており、いつ返還輸送が開始されてもおかしくない。一ケ月で、すべて決定できるのか。
  右質問する。
http://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/kousei/syuisyo/142/syuh/s142027.htm


答弁書
答弁書第二七号

内閣参質一四二第二七号

  平成十年七月二十八日

内閣総理大臣 橋 本 龍 太 郎   

       参議院事務総長 黒 澤 隆 雄 殿

参議院議員清水澄子君提出プルトニウム混合燃料加工に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。

   参議院議員清水澄子君提出プルトニウム混合燃料加工に関する質問に対する答弁書

一の1について

 日本から搬出された使用済燃料をグレート・ブリテン及び北部アイルランド連合王国(以下「イギリス」という。)及びフランス共和国の再処理工場において再処理することにより回収された核分裂性プルトニウムのそれぞれの国における在庫量は、別表第一のとおりであると事業者から聞いている。

一の2について

 日本の使用済燃料を再処理することにより回収された核分裂性プルトニウムの平成十年のイギリスにおける使用量は、約二百キログラムの見通しであるが、同年にフランス共和国において、日本の使用済燃料を再処理することにより回収された核分裂性プルトニウムを使用する予定はないと事業者から聞いている。同年の在庫量の見通しについては承知していない。また、平成十一年及び平成十二年における使用量及び在庫量の見通しについては承知していない。

一の3について

 我が国は、計画的にプルトニウムを利用していくこととしており、海外再処理により回収されるプルトニウムについては、基本的には、欧州で混合酸化物燃料(以下「MOX燃料」という。)に加工した後、我が国に返還輸送しプルサーマルで利用することとしている。プルサーマルによるプルトニウムの利用が進むことに伴い、海外における在庫量も将来的に減少するが、その推移の具体的な数値の想定は現在有していない。

二の1について

 御質問のプルトニウムの移転に関しては、許可、承認、届出等の法的手続は必要とされていない。

二の2の(1)について

 ベルギー王国政府から政府に対して、ベルギー王国内の核物質の施設ごとの在庫量を年単位で通報されることとはなっていない。政府と欧州共同体委員会との間の平成九年二月十日付け書簡の交換による取極(以下「日・欧州共同体委員会取極」という。)によれば、MOX燃料加工のためにフランス共和国からベルギー王国に移転される核物質の量は限定されており、かつ、ベルギー王国内においては日・欧州共同体委員会取極の附属書に掲げられる二の施設にしか置かれないことが確保されているので、ベルギー王国における当該核物質の施設ごとの在庫量について報告を求めることとはしていない。

二の2の(2)について

 我が国は、核兵器の不拡散に関する条約第三条1及び4の規定の実施に関する日本国政府と国際原子力機関との間の協定(昭和五十二年条約第十三号)により、ベルギー王国内にある核物質についていかなる義務も負うものではない。
 なお、我が国の事業者が所有する核物質を含め、ベルギー王国内にあるすべての核物質について、核兵器の不拡散に関する条約第三条1及び4の規定の実施に関する欧州原子力共同体(以下「ユーラトム」という。)、ベルギー王国を含むユーラトム加盟非核兵器国及び国際原子力機関の間の協定の規定に従い、在庫量、在庫変動等がユーラトムから国際原子力機関に報告されるものと承知している。

二の3について

 我が国の事業者が所有するプルトニウムをMOX燃料加工のためにフランス共和国からベルギー王国,へ輸送するに当たり、政府にはアメリカ合衆国政府の承認を求める義務がないため、同政府の承認は必要でない。

二の4の(1)について

 我が国の事業者が所有するプルトニウムをMOX燃料加工のためにフランス共和国からベルギー王国へ輸送するに当たり、フランス共和国政府から政府に対し、昭和四十七年二月二十六日に署名された原子力の平和的利用に関する協力のための日本国政府とフランス共和国政府との間の協定(昭和四十七年条約第九号。以下「日仏原子力協定」という。)第四条3の規定により必要とされる政府の同意を与えるより依頼(以下「事前同意依頼」という。)があったが、事前同意依頼には、御質問の内容は含まれていない。

二の4の(2)について

 事前同意依頼には、御質問の日仏原子力協定に規定される「認められた者」に関する依頼内容は含まれていない。
 日仏原子力協定上、「認められた者」との要件が関係するのは、我が国とフランス共和国との間における原子力資機材等の移転等の場合及び日仏原子力協定に基づいて移転された原子力資機材等の管轄内移転の場合である。御質問のベルゴニュークリア社は、我が国の事業者が所有するプルトニウムをベルギー王国において受領し、MOX燃料に加工する者であり、当該プルトニウムのフランス共和国からべルギー王国への移転は、日仏原子力協定上の管轄外移転に該当するので、日仏原子力協定上の「認められた者」との要件は関係しない。

二の4の(3)について

 事前同意依頼の詳細については、フランス共和国政府との関係から言及することを差し控えたいが、その概要は、ベルギー王国に平成八年十月以降及び平成十年一月以降にそれぞれ我が国の事業者が所有する二百キログラム以上の一定量のプルトニウムをMOX燃料加工のために移転するに当たって、日仏原子力協定第四条3の規定により必要とされる政府の事前同意を求めるというものである。

二の4の(4)について

 事前同意依頼の内容は、一定量のプルトニウムのフランス共和国からベルギー王国への移転について政府の同意を求めることであり、それ以外に依頼内容はない。

二の4の(5)について

 政府は、フランス共和国政府に対し、フランス共和国政府からの事前同意依頼において通報された量のプルトニウムをベルギー王国へ移転することについて同意を与えたものである。同意したプルトニウムの移転量は、東京電力株式会社(以下「東電」という。)がMOX燃料加工に係る委託契約をした二百体程度の全部に相当するものではないと承知している。

二の4の(6)について

 御質問の移転時期は、政府がフランス共和国政府に対しそれぞれ事前同意を与えた平成九年二月十日以降及び平成十年四月二十七日以降となる。

三の1について

 政府が我が国関係事業者から、また、欧州共同体委員会及びベルギー王国政府が先方関係事業者からそれぞれ確認した核物質の移転予定量、移転予定時期等を踏まえて、核物質の明細等として日・欧州共同体委員会取極の附属書及び政府とベルギー王国政府との間の平成九年二月十日付け書簡の交換による取極(以下「日・ベルギー取極」という。)の附属書に記載することとしたものである。

三の2について

 日・欧州共同体委員会取極の附属書及び日・ベルギー取極の附属書Aの「2 核物質の使用」における「当該MOX燃料は、フランス共和国を経由して日本国に返還され」との記述は、関係する事業者間のMOX燃料加工に係る委託契約の内容に沿ったものであり、昭和六十二年十一月四日に署名された原子力の平和的利用に関する協力のための日本国政府とアメリカ合衆国政府との間の協定(昭和六十三年条約第五号。以下「日米原子力協定」という。)の附属書に関係するものではない。
 なお、当該MOX燃料の我が国への返還については、日米原子力協定第十一条に基づく実施取極の規定に従って行われることとなる。

三の3の(1)について

 日・欧州共同体委員会取極における「核物質は、混合酸化物燃料の形態で、かつ、予定される移転を日本国政府に対し文書により少なくとも一か月前に通告することにより、附属書の2に掲げるとおり、フランス共和国に移転することができる。」との規定は、MOX燃料加工のためにフランス共和国からベルギー王国へ輸送される我が国の事業者が所有するプルトニウム及び我が国からベルギー王国へ輸送される我が国の事業者が所有するウランが、MOX燃料としてフランス共和国を経由して日本に返還されるとの関係事業者間のMOX燃料加工に係る委託契約を踏まえたものであり、同規定により、当該核物質がMOX燃料としてフランス共和国に移転される以外は他国へ移転されないことが確保される。
 なお、当該MOX燃料がフランス共和国へ移転される場合は日仏原子力協定の適用対象とすることが適切であるので、政府が日仏原子力協定の適用対象とするための手続(政府からフランス共和国政府への事前通告)を行うに十分な期間と考えられる一か月を欧州共同体から政府への事前の移転通知の期間として併せて規定したものである。

三の3の(2)について

 日・欧州共同体委員会取極における「核物質は、混合酸化物燃料の形態で、かつ、予定される移転を日本国政府に対し文書により少なくとも一か月前に通告することにより、附属書の2に掲げるとおり、フランス共和国に移転することができる。」との規定は、三の3の(1)についてで答弁したとおり、関係事業者間のMOX燃料加工に係る委託契約を踏まえたものである。加工されたMOX燃料のベルギー王国からフランス共和国への移転、さらに、フランス共和国から我が国への返還輸送については、我が国の事業者の意向に反して行われることはないと承知している。また、我が国事業者からは、プルサーマルの実施について地元の理解を得た上で、我が国への返還輸送を行うこととしていると聞いている。

三の3の(3)について

 東電は、MOX燃料を海上輸送する場合には、船舶安全法(昭和八年法律第十一号)第二十八条第一項及び危険物船舶運送及び貯蔵規則(昭和三十二年運輸省令第三十号)第九十一条の九第一項に基づき、放射性輸送物(MOX燃料が容器に収納されているものをいう。以下同じ。)について、船積み前に、安全性の観点から定められている基準に適合するかにつき運輸大臣の確認を受けなければならない。また、同社は、加工されたMOX燃料を装荷する前に、核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律(昭和三十二年法律第百六十六号)第二十六条第一項の規定に基づく通商産業大臣の許可を受ける等所要の安全審査等を経なければならない。

四の1について

 政府は、東電から、御質問のフランス共和国からベルギー王国への一回目のプルトニウムの輸送が完了し、その後MOX燃料の加工が開始されることとなる旨を平成九年五月に聞いている。

四の2について

 御質問のMOX燃料の製造に関しては、許可、認可、承認等の法的手続は必要とされていない。

四の3について

 事業者の海外におけるMOX燃料の加工に関しては、許可、認可、承認等我が国国内法令に基づく手続は必要とされていないが、一般に、加工が行われる国の関係国内法令を遵守しつつ適切に行われるものと理解している。

五の1について

 東電及び関西電力株式会社のMOX燃料の運送に使用される容器に関して、放射性輸送物としての設計の承認の申請日、その設計を承認した日及び承認番号、当該承認を受けた設計に係る容器の承認の申請日及びその容器を承認した日並びに当該承認を受けた容器の個数及び所有者の氏名は、それぞれ別表第二のとおりである。

五の2及び3について

 MOX燃料の我が国への返還輸送の具体的な方法については確定していないが、日米原子力協定の関連規定等に従い、関係省庁間において連携を図り、適切な輸送が行われるよう努めてまいりたい。
http://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/kousei/syuisyo/142/touh/t142027.htm
別表第一
http://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/kousei/syuisyo/142/touh/stimage/t14202701.gif
別表第二
http://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/kousei/syuisyo/142/touh/stimage/t14202702.gif


第140回国会(常会)
質問主意書
質問第一四号

プルトニウム利用に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成九年六月十六日

清 水 澄 子   

       参議院議長 斎 藤 十 朗 殿

   プルトニウム利用に関する質問主意書

 わが国は平成九年二月十日、欧州共同委員会との交換書簡(以下、「EC交換書簡」という)及びベルギー王国との交換書簡(以下、「ベルギー交換書簡」という)を池田外務大臣署名で交わした。この交換書簡では、東京電力株式会社(以下、「東電」という)のベルギー王国におけるプルトニウム混合燃料加工(以下、「MOX加工」という)に係る核物質防護、保障措置、輸送等に触れているが、このようなエネルギー政策に関わる事項は、国会へ報告されるべきであると思うので以下交換書簡とプルトニウム利用に関して質問をする。

一 ベルギー交換書簡の内容について

 書簡によれば東電は、MOX加工に際して一回目の輸送でフランスからプルトニウム二二一キログラムを、日本からウラン一五四四キログラムを一九九七年二月十日から一九九七年九月までに、二回目の輸送でフランスからプルトニウム二六二キログラムを、日本からウラン一五四四キログラムを一九九七年三月から一九九八年七月までに、ベルギーへ運ぶことになっている。

1 政府は東電が、ベルギーにおけるMOX加工委託契約をいつ、どこと結んだのか承知しているか。
2 政府に対する東電のMOX加工委託契約等に係る届出、報告は、いつどこの官庁にあったのか。
3 書簡によれば東電は、ベルギーへの一回目のプルトニウム、ウランの輸送を一九九七年九月までに行うことになっている。

(1) 政府は東電が、このような契約をいつ、どこと結んだのか知っているか。結んでいないとすれば、どのような形式で、このような約束になったのか。
(2) 関係官庁は、このような契約または約束をいつ、どのようにして知ったのか。また、承認、許可等をいつしたのか。

4 書簡では、MOX加工に使用するウラン三〇八八キログラムを日本から運ぶことになっている。

(1) 海外MOX加工に使用するウランは、今後も日本から運ぶのか。今回だけの処置なのか。
(2) 今回、何故フランスなどの欧州からウランを調達せず、遠い日本から運ぶことにしたのか。その理由は何か。
(3) フランスで再処理した回収ウランはMOX加工に使用しないのか。
(4) 海外回収ウランは、どのように利用するのか。廃棄物として処理をするのか。

5 今回のプルトニウム四八三キログラム、ウラン三〇八八キログラムを単純に計算すると富化度は一三・五%になってしまう。

(1) 今回のMOX加工燃料の富化度は何%か。
(2) プルトニウムの組成比は、どのようになっているのか。

二 ベルギー交換書簡の効力と手続きについて

 わが国は原子力事業を推進する際には、国民の合意と国会の承認を受けてきた。海外における原子力事業の際には、当該国との原子力協定を結び関係国の承認を得て行っている。

1 わが国は、ベルギーと原子力協定を締結していない。MOX加工の委託に際しては、ベルギーと原子力協定の締結を必要とするのではないか。いつ、締結するのか。必要ないとすれば、その理由は何か。
2 今回のベルギーとの交換書簡は、原子力政策上重要な内容を含んでおりながら、その内容は国民にも知らされず、国会の場でも論議されていない。

(1) ベルギー交換書簡の内容を内閣は承認しているのか。
(2) 何故、国会の場で論議されず、国会承認もされていないことが具体的に進展しているのか。

3 この交換書簡は、池田外務大臣とベルギーのベルドンク臨時責任者が署名をしているが、国と国との約束としての有効性はどのようにあるのか。
また、この交換書簡は、協定、政府交換公文、口上書、覚書などでいえばどの類になるのか。
4 この交換書簡によって、ベルギーにおけるわが国の核燃料物質の核物質防護及び保障措置は、ベルギーによって保証されるのか。

三 EC交換書簡について

1 この交換書簡は、池田外務大臣とEC駐日代表部ケック大使が署名をしているが、国と共同体との約束としての有効性はどのようにあるのか。
 また、この交換書簡は、協定、政府交換公文、口上書、覚書などでいえばどの類になるのか。
2 この交換書簡によって、ベルギーにおけるわが国の核燃料物質の保障措置はECによって保証されるのか。ECに保障措置を保証する権限があるのか。
3 この交換書簡の相手として、欧州連合または欧州原子力共同体ではなくECであることの理由は何か。
  右質問する。
http://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/kousei/syuisyo/140/syuh/s140014.htm


第140回国会(常会)
答弁書
答弁書第一四号

内閣参質一四〇第一四号

  平成九年七月十八日

内閣総理大臣 橋 本 龍 太 郎   

       参議院議長 斎 藤 十 朗 殿

参議院議員清水澄子君提出プルトニウム利用に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。

   参議院議員清水澄子君提出プルトニウム利用に関する質問に対する答弁書

一の1について

 東京電力株式会社(以下「東電」という。)が株式会社東芝(以下「東芝」という。)との間でベルギー王国における混合酸化物燃料(以下「MOX燃料」という。)加工に係る委託契約(以下「加工契約」という。)を平成七年四月二十八日付けで締結したと承知している。

一の2について

 当該加工契約の締結に関しては、届出等の法的手続は必要とされていない。なお、通商産業省及び科学技術庁は、東電から当該加工契約の締結についてその前後に随時話を聞いている。

一の3の(1)について

 ベルギー王国へのプルトニウム及びウランの輸送をも含む契約である当該加工契約は、東電と東芝との間で平成七年四月二十八日付けで締結されたと承知している。

一の3の(2)について

 当該加工契約の締結に関しては、承認、許可等の法的手続は必要とされていない。なお、通商産業省及び科学技術庁は、東電から当該加工契約の締結についてその前後に随時話を聞いている。

一の4の(1)について

 東電のこれまでの説明によれば、当該加工契約上は、ウランを日本から運ぶこととしているが、その後については未定とのことである。

一の4の(2)について

 東電のこれまでの説明によれば、東電が利用を考えているMOX燃料集合体は日本で開発したウラン燃料集合体と基本的に同じ設計とされており、したがって、MOX燃料集合体のうちウラン燃料棒については、製造実績のある日本で加工することとしたとのことである。

一の4の(3)について

 東電のこれまでの説明によれば、回収ウランはMOX燃料加工には使用しない方針とのことである。

一の4の(4)について

 東電のこれまでの説明によれば、回収ウランを廃棄物として処理するのではなく、再濃縮して燃料として利用していく方向で検討を進めているとのことである。

一の5の(1)について

 東電のこれまでの説明によれば、今回のMOX燃料集合体の富化度(燃料集合体当たりのプルトニウムとウラン合計質量に占めるプルトニウムの質量の割合)は、平均四パーセントないし五パーセントとのことである。

一の5の(2)について

 東電のこれまでの説明によれば、今回のMOX燃料加工に使用されるプルトニウムの組成比(総プルトニウムの質量に占める核分裂性プルトニウムの質量の割合)は、約三分の二とのことである。

二の1について

 政府は、核物質等が我が国から国外へ移転される場合には、移転先国政府等から当該核物質等に関し移転先国等における平和的利用等についての保証(以下「平和的利用等の保証」という。)を得ることとしている。このような保証は、原子力の平和的利用の分野における協力のための包括的かつ長期的な枠組みを定める二国間の原子力協定により得る場合及び個々の移転ごとに移転先国政府等との取極等により得る場合とがある。御指摘のMOX燃料加工の委託に関連してベルギー王国へ移転される核物質については、平成九年二月十日に発効した政府と欧州共同体委員会との間の書簡の交換による取極(以下「日・欧州共同体委員会取極」という。)及び政府とベルギー王国政府との間の書簡の交換による取極(以下「日・ベルギー取極」という。)により平和的利用等の保証を得ているので、ベルギー王国政府との間で原子力協定を締結する必要はないと考える。

二の2の(1)について

 平成九年二月七日の閣議において、日・ベルギー取極のための政府とベルギー王国政府との間の書簡の交換及び日・欧州共同体委員会取極のための政府と欧州共同体委員会との間の書簡の交換についてそれぞれ閣議決定が行われた。

二の2の(2)について

 日・ベルギー取極は、ベルギー王国に移転される核物質についてベルギー王国政府が防護措置を適用することを政府に対して約束するものであって、政府はベルギー王国政府に対して何の義務を負うものではないことから、日・ベルギー取極については、国会の承認を得る事項は含まれていないものと考える。

二の3について

 日・ベルギー取極は、交換公文(同取極については、政府から往簡を発出し、ベルギー王国政府から返簡を受領した。)の形式による両国政府間の国際約束であり、それぞれの書簡の署名者である池田外務大臣及びフェルドンク駐日ベルギー王国臨時代理大使は、それぞれの政府を正当に代表する者であり、その有効性に疑義はない。

二の4について

 日・ベルギー取極により、適切な防護の措置が、最小限同取極の附属書Bに定められる水準において、同取極の附属書Aの1に掲げる核物質について、ベルギー王国の関係法令に従って適用されることがベルギー王国政府によって保証されている。当該核物質に関する保障措置については、三の2についてで答弁するとおり、欧州共同体委員会によって保証されている。

三の1について

 日・欧州共同体委員会取極は、交換公文(同取極については、政府から往簡を発出し、欧州共同体委員会から返簡を受領した。)の形式による政府と欧州原子力共同体を代表する欧州共同体委員会との間の国際約束であり、それぞれの書簡の署名者である池田外務大臣及びケック駐日欧州共同体委員会大使は、政府及び欧州共同体委員会をそれぞれ正当に代表する者であり、その有効性に疑義はない。

三の2について

 日・欧州共同体委員会取極により、保障措置に関しては、同取極の附属書の1に掲げる核物質が、欧州原子力共同体を設立する条約に基づく保障措置の適用を受けること並びに核兵器の不拡散に関する条約第三条1及び4の規定の実施に関する欧州原子力共同体、その加盟国である非核兵器国及び国際原子力機関の間の協定の適用を受けることが欧州共同体委員会によって保証されている。
 欧州原子力共同体を設立する条約の規定により、欧州共同体委員会は、当該核物質を含む欧州原子力共同体加盟国の領域内のあらゆる民生用核物質について保障措置の適用を保証し得る権限を有していると承知している。

三の3について

 欧州原子力共同体を設立する条約の規定により、欧州原子力共同体は、その権限及び管轄の範囲内において国際約束による義務を負うが、当該国際約束は、欧州共同体委員会が外国等と交渉し、締結することとされていると承知している。
http://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/kousei/syuisyo/140/touh/t140014.htm


第141回国会(臨時会)
質問主意書
質問第一五号

プルトニウム燃料加工の海外委託に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成九年十二月十二日

清 水 澄 子   

       参議院議長 斎 藤 十 朗 殿

   プルトニウム燃料加工の海外委託に関する質問主意書

 平成九年六月十六日付け「プルトニウム利用に関する質問主意書」に対して、平成九年七月十八日付け「答弁書」(以下「答弁書」という。)が提出されたが、プルトニウム燃料(以下「MOX燃料」という。)加工の海外委託に関して、以下質問する。

一 「平和的利用等の保証」について

 「答弁書」によれば、核物質等が我が国から国外へ移転される場合には、政府は移転先国等における「平和的利用等の保証」を二国間の原子力協定(長期、包括的)及び個々の移転ごとの取極等により得るとし、今回のMOX燃料加工委託に関連するベルギーへの核物質の移転については、EC及びベルギーとの交換書簡の取極により「平和的利用等の保証」を得ているので、ベルギーとの原子力協定を締結する必要はないとしている。

1 「平和的利用等の保証」の具体的内容は何か。
2 東京電力株式会社(以下「東電」という。)のMOX燃料使用は、原子力利用長期計画に基づく継続的なものか。個別的、一時的なものか。
3 今回の東電のMOX燃料加工における「平和的利用等の保証」を、日本とベルギーとの二国間の原子力協定ではなく、欧州共同体委員会(以下「EC」という。)及びベルギーとの交換書簡の取極とした理由は何か。ベルギーと原子力協定を締結しない理由は何か。
4 国家間の約束である原子力協定と今回の交換書簡の取極では、「平和的利用等の保証」の効力の違いは何か。
5 原子力協定と今回の交換書簡の取極で、手続き及び効力・義務等で異なることは何か。
6 原子力協定にするのか、交換書簡の取極にするのかの基準は何か。また、それを決定する権限は誰にあるのか。
7 現在、政府が「平和的利用等の保証」を交換書簡により取極している国を挙げられたい。

二 ECとベルギーの保証について

1 「保障措置」の保証をEC、「核物質防護」の保証をベルギーとの交換書簡の取極に分けた理由は何か。
2 ECは「核物質防護」の保証をできないのか。また、ベルギーは「保障措置」の保証をできないのか。
3 ベルギーと原子力協定を締結したとしても、ECとの原子力協定の締結は必要なのか。
4 ECと原子力協定を締結した場合、ベルギーとの原子力協定の締結は必要ないか。
5 米国は欧州原子力共同体と原子力協定を締結している。我が国がECと原子力協定を締結する場合はEC、欧州原子力共同体のいずれと締結するのか。

三 交換書簡の取極内容について

 「答弁書」によれば、交換書簡の取極内容の根拠は、平成七年四月二十八日付けの東電と株式会社東芝(以下「東芝」という。)との間のプルトニウム及びウランの輸送を含む加工契約であるとのことである。また、当該加工契約の締結に関しては、承認、許可等の法的手続は必要とされていない。なお、通商産業省及び科学技術庁は、東電から当該加工契約の締結についてその前後に随時話を聞いている旨、今回のEC・ベルギーとの交換書簡に関しては、平成九年二月七日の閣議において閣議決定されている旨、更にベルギー交換書簡は、核物質防護措置をベルギー政府が約束するもので、日本政府はベルギーに対して何の義務を負うものではないから、国会の承認事項は含まれていない。国会承認の必要はない旨の答弁があった。

1 ベルギー交換書簡の取極で、プルトニウム二二一キログラムを一九九七年九月以前に、プルトニウム二六二キログラムを一九九八年七月以前に移転し、ウラン一五四四キログラムを一九九七年九月以前に、ウラン一五四四キログラムを一九九八年七月以前に移転するとされている。

(1)移転期限を超えた場合には、どうなるのか。
(2)この約束は、ベルギーに対してプルトニウム、ウランを一九九七年九月、九八年七月以前に移転する義務を負うものなのか。

2 ベルギー交換書簡の取極には「MOX加工された燃料は、一度仏国を経由して日本に返還される。」とある。このことは、日・ベルギー原子力協定がないことによるものと思われるがどうか。他に理由があるのか。
3 EC交換書簡の取極には「ベルギーから仏国へのMOX燃料移転に際しては、一ケ月前に文書により日本政府に通告する。」ことになっている。

(1)これはECから日本政府に通告されるのか。
(2)仏国からベルギー及びベルギー国内の移転については何も触れていない。仏国からベルギー及びベルギー国内の核物質移転については、日本政府に何の連絡もないのか。あるとすれば、それぞれどこから、何に基づいて連絡されるのか。

4 以上の国家間の約束を公式の書類及び届出等なしに閣議決定し、また、書簡の交換を行うことに問題はないのか。

四 プルトニウムの輸送について

1 今回のMOX燃料加工に伴うプルトニウムの移転について、日仏原子力協定に基づき仏国から一九九六年六月に移転の同意を求めてきたとのことであるが、同意した年月日はいつか。
2 プルトニウム約二二〇キログラムの移転は一九九七年五月に完了しているとのことであるが、輸送年月日はいつか。また、何に基づいて、いつ、どのようにして承知したのか。
3 プルトニウムの輸送にあたり米国の承認が必要なのか。必要ないとすればその理由を示されたい。必要ならば米国の承認を得たのか。得たとすればいつ得たのか。
4 プルトニウムの輸送手段は、空輸、列車、トラック等何か。
5 プルトニウム輸送における防護体制を確認しているのか。
6 プルトニウムの輸送手段、防護体制等は、誰からの連絡により、いつ、どのようにして承知したのか。
7 プルトニウムの輸送を認めたということは、MOX燃料の製造も認めたということか。

五 MOX燃料加工委託に関する契約について

 日本、仏国、ベルギーの事業者間の委託契約内容を承知しているか。承知しているとすれば、いつ、どのようにして承知したのか。また、その内容は何か。

六 MOX燃料製造について

1 MOX燃料の設計は東芝が行っている。関係省庁は、MOX燃料設計書及び仕様を入手しているのか。入手しているとすれば、何に基づいていつ入手したのか。
2 MOX燃料の安全基準はあるのか。
3 東電は、MOX燃料加工のために仏国より劣化ウランを購入している。

(1)この事実を承知しているか。
(2)承知しているとすれば、何に基づいて承知したのか。購入量は何キログラムか。

4 製造されるMOX燃料の富化度については、何に基づいていつ承知したのか。
5 製造されるMOX燃料が装荷される原子炉と装荷される年月日について承知しているのか。承知しているとすれば、何に基づいていつ承知したのか。
  右質問する。
http://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/kousei/syuisyo/141/syuh/s141015.htm


第141回国会(臨時会)
答弁書
第百四十一回国会答弁書第一五号

内閣参質一四一第一五号

  平成十年二月十七日

内閣総理大臣 橋 本 龍 太 郎   

       参議院議長 斎 藤 十 朗 殿

参議院議員清水澄子君提出プルトニウム燃料加工の海外委託に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。

   参議院議員清水澄子君提出プルトニウム燃料加工の海外委託に関する質問に対する答弁書

一の1について

 本件における「平和的利用等の保証」の具体的内容は、我が国から移転される核物質等についての平和的非爆発目的利用の確保及び第三国への再移転等の規制並びに当該核物質に対する保障措置及び防護措置の適用である。

一の2について

 東京電力株式会社(以下「東電」という。)における軽水炉による混合酸化物燃料(以下「MOX燃料」という。)の利用については、「原子力の研究、開発及び利用に関する長期計画」(平成六年六月二十四日原子力委員会決定)、「当面の核燃料サイクルの推進について」(平成九年二月四日閣議了解)及び「今後の原子燃料サイクルの推進について」(平成九年二月二十一日電気事業連合会発表)に従い、計画的かつ継続的に進めているものと認識している。

一の3について

 政府は、我が国とベルギー王国との間において予定された原子力の平和的利用における協力が限定的かつ短期的であること等を勘案し、平和的利用等の保証を得るために、包括的かつ長期的な枠組みである原子力協定を締結するのではなく、個別の取極を締結することが適切であると判断した。このような考え方に基づき、政府と欧州共同体委員会との間の書簡の交換による取極(以下「日・欧州共同体委員会取極」という。)及び政府とベルギー王国政府との間の書簡の交換による取極(以下「日・ベルギー取極」という。)を締結したものである。

一の4について

 日・欧州共同体委員会取極及び日・ベルギー取極は、我が国がグレート・ブリテン及び北部アイルランド連合王国、カナダ、オーストラリア、中華人民共和国、アメリカ合衆国及びフランス共和国との間においてそれぞれ締結している原子力の平和的利用に関する協力のための協定(以下「現行原子力協定」という。)と同様、法的拘束力を有する国際約束であり、効力に相違はない。

一の5について

 手続に関しては、現行原子力協定においては、相手国から移転される核物質等についての平和的利用等をお互いに約束することとなっており、我が国については当該約束を履行するために関連の国内法令を維持する必要があるので、国会の承認を得てきている。日・欧州共同体委員会取極及び日・ベルギー取極は、今回のMOX燃料加工のために我が国からベルギー王国に移転される核物質についてのベルギー王国における平和的利用等を欧州共同体委員会及びベルギー王国政府が政府に対して約束するものであって、政府は欧州共同体委員会及びベルギー王国政府に対して特段の義務を負うものではない。したがって、国会の承認を得ることなく、行政府内の手続により締結したものである。
 効力に関しては、一の4についてで答弁したとおりであり、また、義務に関しては、前記のとおり、現行原子力協定では基本的に双務的であるが、日・欧州共同体委員会取極及び日・ベルギー取極では片務的である。

一の6について

 我が国から移転される核物質等の移転先国等における平和的利用等の保証については、政府は、原則として、我が国と移転先国等との間において予定される原子力の平和的利用における協力が包括的かつ長期的なものである場合には原子力協定によることとし、そのような協力が限定的かつ短期的なものである場合には個別の取極等によることとしている。

一の7について

 現在、政府が我が国から移転される核物質に対する平和的利用等の保証を書簡の交換による取極により得ている例は、日・欧州共同体委員会取極及び日・ベルギー取極のみである。

二の1について

 今回のMOX燃料加工のために我が国からベルギー王国に移転される核物質の平和的利用等の保証については、その具体的内容により、欧州共同体委員会の権限に属するものとベルギー王国政府の権限に属するものとがあるため、二つの取極に分けて当該平和的利用等の保証を得たものである。

二の2について

 欧州原子力共同体加盟国における核物質防護措置の適用に関しては、当該欧州原子力共同体加盟国の権限に属するものと承知している。欧州原子力共同体を設立する条約の適用される地域における非軍事用核物質に対する保障措置の適用に関しては、同条約の規定により欧州共同体委員会の権限に属するものと承知している。

二の3及び4について

 仮定の御質問に対する答弁は差し控えたい。

二の5について

 欧州原子力共同体を設立する条約の規定により、欧州原子力共同体は、その権限及び管轄の範囲内において国際約束による義務を負うが、当該国際約束は、欧州共同体委員会が外国等と交渉し、締結することとされていると承知している。したがって、欧州原子力共同体の権限及び管轄の範囲内において欧州共同体委員会が我が国と原子力協定等の国際約束を締結することとなるが、その場合、欧州原子力共同体が当該国際約束による義務を負うこととなると承知している。

三の1の(1)について

 仮定の御質問に対する答弁は差し控えたい。

三の1の(2)について

 日・ベルギー取極によって政府がベルギー王国に対してプルトニウム及びウランをそれぞれ千九百九十七年九月以前及び千九百九十八年七月以前に移転する義務を負うものではない。

三の2について

 日・ベルギー取極附属書Aの「2 核物質の使用」における「当該MOX燃料は、フランス共和国を経由して日本国に返還され、」との記述は、我が国とベルギー王国との間に原子力協定がないこととは関係ない。かかる記述は、関係する事業者間の当該MOX燃料加工に係る委託契約の内容に沿ったものである。

三の3の(1)について

 御指摘の通告は、欧州共同体委員会が政府に対して行う。

三の3の(2)について

 御質問の核物質のフランス共和国からベルギー王国への移転及びベルギー王国内の移転については、欧州共同体委員会又は関係国政府から政府に対して連絡が行われることとはなっていない。

三の4について

 書簡の交換は、国際約束を形成する形式の一つとして国際社会において広く用いられているものである。
 また、日・欧州共同体委員会取極及び日・ベルギー取極は、今回のMOX燃料加工のために我が国からベルギー王国に移転される核物質についてのベルギー王国における平和的利用等を欧州共同体委員会及びベルギー王国政府が政府に対して約束するものであって、政府は欧州共同体委員会及びベルギー王国政府に対して特段の義務を負うものではないことから、国会の承認を要する国際約束に該当せず、行政府内の手続により締結したものである。
 以上のとおり、これらの取極の締結には、何ら問題はないものと考えている。

四の1について

 御質問の同意は、平成九年二月十日に政府からフランス共和国政府に与えた。

四の2について

 政府は、東電から、フランス共和国からベルギー王国へのプルトニウムの輸送が平成九年五月に完了したと聞いているが、日時については承知していない。

四の3について

 御質問のフランス共和国からベルギー王国へのプルトニウムの輸送に当たり、政府にはアメリカ合衆国政府の承認を求める義務がないため、同政府の承認は必要でない。

四の4から6までについて

 政府は、フランス共和国からベルギー王国へのプルトニウムの輸送手段について承知していない。また、当該プルトニウムの輸送の際の具体的な防護体制については承知していないが、フランス共和国及びベルギー王国が、関連の国際約束等に基づき、当該プルトニウムの輸送に係る適切な防護の水準を確保することとなっている。

四の7について

 政府は、フランス共和国政府に対し、ベルギー王国におけるMOX燃料の加工のために使用されることを前提として、フランス共和国にある我が国事業者所有のプルトニウムのベルギー王国への移転に同意したものである。

五について

 政府は、ベルギー王国におけるMOX燃料加工に係る契約に関し、契約の締結の前後に随時東電から話を聞いている。当該契約は、平成七年四月二十八日に東電と株式会社東芝(以下「東芝」という。)との間で二百体程度のMOX燃料加工を内容として締結されたものであり、東芝がフランス共和国の事業者コモックス社にベルギー王国内において当該MOX燃料加工を行わせるものであると承知している。

六の1について

 政府は、御質問のMOX燃料の設計書及び仕様を入手していない。

六の2について

 MOX燃料の安全面を含む技術基準については、発電用核燃料物質に関する技術基準を定める省令(昭和四十年通商産業省令第六十三号)において規定されている。

六の3について

 政府は、東電がフランス共和国の事業者から御質問のMOX燃料の加工のための劣化ウランを購入したか否かについては承知していない。

六の4について

 政府は、加工契約に関し、その締結の前後に随時東電から話を聞いており、その中でMOX燃料の富化度について説明を受けたものである。

六の5について

 政府は、東電が平成十一年から福島第一原子力発電所三号機において、また、平成十二年から柏崎刈羽原子力発電所三号機において、それぞれMOX燃料の利用を開始する計画を平成九年三月六日に表明したと承知している。
http://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/kousei/syuisyo/141/touh/t141015.htm


平成十六年八月三十一日受領
答弁第六九号

  内閣衆質一六〇第六九号
  平成十六年八月三十一日
内閣総理大臣 小泉純一郎

       衆議院議長 河野洋平 殿
衆議院議員吉井英勝君提出プルトニウム利用政策に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。

衆議院議員吉井英勝君提出プルトニウム利用政策に関する質問に対する答弁書

一の1について
 お尋ねの「一層放射線レベルの高いMOXの使用済み燃料の再処理工場」とは、「原子力の研究、開発及び利用に関する長期計画」(平成十二年十一月二十四日原子力委員会決定。以下「現行の長計」という。)にいう「六ヶ所再処理工場に続く再処理工場」(以下「新工場」という。)を指すものと考えるが、「一層放射線レベルの高いMOXの使用済み燃料の再処理工場の費用」等を勘案した場合において、いわゆるバックエンド費用が電気の料金原価に与える影響がいくらになるかというお尋ねについては、現行の長計において、「六ヶ所再処理工場に続く再処理工場は・・・高燃焼度燃料や軽水炉使用済MOX燃料の再処理も行える施設とすることが適当と考えられるが、さらに、今後の技術開発の進捗を踏まえて、高速増殖炉の使用済燃料の再処理も可能にすることも考えられ・・・この工場の・・・建設計画については・・・二〇一〇年頃から検討が開始されることが適当」としているところ、現時点において新工場の建設等に係る具体的な計画が明らかになっているわけではないことなどから、検討を行っておらず、お答えすることは困難である。
一の2について
 お尋ねの「四兆一九九三億円」及び「六兆 九〇七億円」という金額については、使用済燃料を直接処分する場合における使用済燃料の埋設費のみを試算したものであり、総合資源エネルギー調査会電気事業分科会コスト等検討小委員会において電気事業者から示された試算費用に含まれるウラン濃縮工場の解体費用、使用済燃料の貯蔵及び輸送に係る費用等に相当する費用が勘案されておらず、これらを用いて「再処理・MOX燃料方式」と「直接処分」とを比較することは適切ではないと考える。
一の3について
 お尋ねの資料のうち「「総合エネルギー調査会長期計画専門部会第2分科会(第一四回)資料」「軽水炉によるプルトニウム利用に関する経済性について」」は、平成六年二月に開催された「原子力委員会長期計画専門部会第二分科会(第十四回)」において用いられた「軽水炉によるプルトニウム利用に関する経済性について」を指すものと考えるが、お尋ねの資料に係る資料作成の目的、資料を用いた検討の結果等については、別表第一のとおりである。
一の4及び5について
 お尋ねの試算等のうち「「原子力委員会高速増殖炉懇談会(第七回)資料」「燃料サイクルの比較―エネルギー、廃棄物および経済性の観点から」」については、平成九年七月に公表をしているところである。その他の作成の時点で公表されなかった試算等については、当該試算等が使用された当時の審議会等において、原則としてすべての配付資料について非公表の取扱いをしていたことなどから、公表することがなかったところであるが、当該試算等については、学識経験者等社会の様々な立場を代表する委員からなる審議会等に提示するなどしてきており、また、これらの審議会等での議論等を経て決定された核燃料サイクル政策については、原子力白書や「原子力の研究、開発及び利用に関する長期計画」等の公表等を通じ、国民の理解の増進に努めてきたところであって、「国民に対する説明責任をまったく無視して核燃料サイクル政策がすすめられてきた」との御指摘は当たらないと考える。
 お尋ねの国会での答弁については、経済産業省として当該試算等を隠す意図はなかったものの、答弁を行った当時、答弁を行った者等が当該試算等の存在を認識していなかったことから、結果として事実と異なる答弁を行ったものである。
 お尋ねの試算等の多くが作成の時点で公表されなかったこと及びお尋ねの国会答弁が結果として事実と異なる答弁であったことについては、右に述べたように、当該試算等を隠す意図の下で行われたものではなく、これらの「行為の根底には、プルトニウム循環方式の原発推進政策がある」との御指摘は当たらないと考える。
二の1について
 電気事業連合会を通じ実用発電用原子炉を有する十社の電気事業者(以下「本件電気事業者」という。)から聴取したところ、お尋ねの点については、次のとおりであるとのことである。
 本年三月末現在、海外の再処理事業者に再処理を委託した使用済核燃料については、そのうち英国の核燃料会社(以下「核燃料会社」という。)に委託した使用済みの軽水炉用ウラン燃料(以下「使用済軽水炉燃料」という。)の一部について再処理が終了していないところであるが、本件電気事業者と核燃料会社との間の契約においては、核燃料会社が本件電気事業者を含む一定の顧客から再処理の委託を受けた使用済軽水炉燃料を一つのまとまりとしてとらえ、そこから回収されたプルトニウム二三九及びプルトニウム二四一(以下「核分裂性プルトニウム」という。)を、各顧客が再処理を委託した使用済軽水炉燃料が実際に再処理されたか否かにかかわらず、各顧客が再処理を委託した使用済軽水炉燃料に含まれる核分裂性プルトニウムの量に応じて、各顧客に割り当てることとなっているため、使用済軽水炉燃料が実際に再処理される時点と核分裂性プルトニウムが割り当てられる時点との間に時間的なずれが生じることとなる。本件電気事業者においては、かかる割当てを核分裂性プルトニウムの「回収」ととらえているところ、本年三月末時点においては、それまでに回収された核分裂性プルトニウムの量が相対的に少なくなっており、またその後回収されると見込まれる核分裂性プルトニウムの量が相対的に多くなっているが、当該割当てがすべて終了した段階で、本件電気事業者が核燃料会社に再処理を委託した使用済軽水炉燃料に含まれる核分裂性プルトニウムと等量の核分裂性プルトニウムが回収されることとなる。
 なお、使用済核燃料における核分裂性プルトニウムの含有率は、当該使用済核燃料の燃焼度等によって異なるが、本件電気事業者が海外の再処理事業者に再処理を委託した使用済核燃料は、平均燃焼度が燃料物質一トン当たり約三千メガワット日の使用済みのガス炉用ウラン燃料及び平均燃焼度が燃料物質一トン当たり約二万五千メガワット日の使用済軽水炉燃料であり、これらの燃焼度は、近年における使用済軽水炉燃料の平均的な燃焼度である燃料物質一トン当たり約四万ないし約四万五千メガワット日よりも低いものとなっているため、海外の再処理事業者に再処理を委託した約七千百トン・ヘビーメタルの使用済核燃料における回収予定の約三十二トンの核分裂性プルトニウムの含有率は、約〇・四五重量パーセントと相対的に低いものとなっている。
二の2について
 将来、実用発電用原子炉において使用されることとなる燃料の種類等を確定することができないため、お尋ねの「核分裂性プルトニウムの含有率」等を網羅的にお答えすることは困難であるが、例えば、東京電力株式会社柏崎刈羽原子力発電所三号炉において同炉における標準的な組成のウラン・プルトニウム混合酸化物(以下「MOX」という。)燃料及びウラン燃料を燃焼した場合並びに関西電力株式会社高浜発電所四号炉において同炉における標準的な組成のMOX燃料及びウラン燃料を燃焼した場合について、東京電力株式会社及び関西電力株式会社から聴取したところ、お尋ねの点については、別表第二のとおりであるとのことである。
二の3及び4について
 お尋ねの三十二トンのプルトニウムを含め、我が国において、プルトニウムの利用を進めるに当たっては、安全確保に万全を期するとともに、核兵器の不拡散に関する条約(昭和五十一年条約第六号)を締結し、国際原子力機関(IAEA)の保障措置の下で、核物質、施設等を厳格に管理し、平和利用に係る透明性の確保の徹底を図るとともに、我が国の平和利用政策に係る国際的理解と信頼を得る外交的努力を行うなど、国際社会の理解と信頼の確保に努めているところである。今般、国際原子力機関が、我が国について、未申告の核物質及び原子力活動が存在せず、その保有するすべての核物質が保障措置下にあり平和利用されているとの結論を出したところであるが、国際原子力機関が大規模な原子力活動を行う国についてかかる結論を出したのは初めてのことであり、一般に、右に述べたような我が国の努力は、国際的にも評価されているものと認識している。
三の1について
 先の答弁書(平成十六年七月六日内閣衆質一五九第一八八号。以下「前回答弁書」という。)におけるお尋ねの「ウラン燃料装荷とMOX装荷の場合で違いがない」旨の答弁については、前回答弁書四の2についてで述べたとおり、MOX燃料の最高燃焼度が燃料物質一トン当たり四万五千メガワット日以下であるとの前提の下、MOX燃料の炉心装荷率が三分の一以下の実用発電用原子炉について、「MOX燃料を装荷した炉心に係る重大事故及び仮想事故発生時の放射性物質の放出量について、ウラン燃料を装荷した炉心に係る場合と違いがないものとして安全性の評価を行っている」旨をお答えしたものであり、「これは、答弁書にいうウラン燃料装荷とMOX装荷の場合で違いがないとすること自体が妥当でないことを示している」との御指摘は当たらないと考える。
 「燃焼度を五五〇〇〇MWD/tとして考え」た場合のMOX燃料に係るお尋ねの点については、かかるMOX燃料の使用を前提とした実用発電用原子炉の安全審査を行っておらず、承知していない。
 お尋ねの各種のアクチノイド系物質(原子番号八十九から百三までの元素)から放出される放射線量については、前回答弁書三についてで述べたとおり、MOX燃料から放出される放射線量からアクチノイド系物質に係る放射線量を分離して特定することが困難であることから、お答えすることができない。
三の2について
 前回答弁書四の3についてにおいては、お尋ねの「米国核管理研究所」の報告が「原子炉施設の閉じ込め機能が喪失し、プルトニウムが環境中に放出されるなど」の前提を置いている点について、そのような事象は、多重防護の考え方を前提として設計された原子炉施設において工学的には想定されないほど発生の可能性が低いものであることから、「極端な前提」と述べたものであり、我が国における実用発電用原子炉の安全審査の際には、かかる事象の発生は想定していない。
 なお、お尋ねの「大型原子炉の事故の理論的可能性及び大衆損害に関する試算」(以下「五十九年報告書」という。)については、原子力損害の賠償に関する法律(昭和三十六年法律第百四十七号)の制定時に、原子力損害賠償制度の検討に資することを目的として、工学的には想定されないほど発生の可能性が低く、実用発電用原子炉の安全審査では前提とする必要のないような仮想的な前提を置いて試算を行ったものである。
三の3について
 三の2についてで述べたように、実用発電用原子炉の安全審査に当たっては、五十九年報告書で用いたような前提を使用した評価は行っておらず、お尋ねの点についてお答えすることは困難である。
四の1及び2について
 一の1についてで述べたとおり、現行の長計においては、新工場の建設計画について、平成二十二年頃から検討が開始されることが適当であるとしている。
 現行の長計においては、国民の理解を得つつ、使用済燃料を再処理し回収されるプルトニウム、ウラン等を有効利用していくことを国の基本的考え方とし、使用済燃料が再処理されるまでの間の時間的な調整を行うため、中間貯蔵が重要であるとしており、また、「エネルギー基本計画」(平成十五年十月七日閣議決定)においては、「我が国としては核燃料サイクル政策を推進することを国の基本的考え方」としているところ、両計画においては、「再処理能力を超える使用済み核燃料の直接処分」の実施や「再処理路線」の変更は想定していない。
四の3について
 四の1及び2についてで述べたとおり、現行の長計においては、国民の理解を得つつ、使用済燃料を再処理し回収されるプルトニウム、ウラン等を有効利用していくことを国の基本的考え方とし、また、「エネルギー基本計画」においては、「我が国としては核燃料サイクル政策を推進することを国の基本的考え方」としている。このような考え方の下、二の3及び4についてで述べたように、我が国のプルトニウム利用に対する国際社会の理解と信頼を得るべく努めてきているところである。
 他方、「原子力の研究、開発及び利用に関する長期計画」については、原子力委員会が、昭和三十一年からこれまでおおむね五年ごとに合計九回策定してきており、平成十二年十一月二十四日の現行の長計の策定から、来年十一月で五年を迎えることとなるため、同委員会が新たな「原子力の研究、開発及び利用に関する長期計画」の策定作業に着手したところである。
 ウラン試験の実施等日本原燃株式会社の六ヶ所再処理工場の稼動に向けた個別の事業の具体的な進め方については、このような状況も踏まえて、実施者である同社が安全確保を前提に地元の理解を得つつ判断するものであると考える。
http://www.shugiin.go.jp/itdb_shitsumon.nsf/html/shitsumon/b160069.htm


平成五年一月二十二日受領
答弁第二三号

  内閣衆質一二五第二三号
    平成五年一月二十二日
内閣総理大臣 宮澤喜一

         衆議院議長 櫻内義雄 殿
衆議院議員長谷百合子君提出プルトニウムに関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。

衆議院議員長谷百合子君提出プルトニウムに関する質問に対する答弁書

一の1について
 平成四年十一月から平成五年一月にかけてフランスから我が国に輸送されたプルトニウム(以下「本件プルトニウム」という。)の量は、フランス核燃料会社(COGEMA)の再処理工場での分析値で、核分裂性プルトニウム量で千七十六キログラム、金属プルトニウム量で千五百九キログラム、二酸化プルトニウム量で千七百二十一キログラムである。
一の2について
 本件プルトニウムの輸送に用いられた容器はFS ― 四十七型輸送容器であり、その数は百三十三個である。
一の3について
 御指摘の容器承認申請書により承認の申請のあった容器の数は、平成三年十一月十四日付け申請のものが五十一個、平成四年五月二十九日付け申請のものが八十二個及び同年九月十一日付け申請のものが百四十九個である。
二の1について
 平成四年十二月八日の衆議院科学技術委員会で答弁した本件プルトニウムの同位体組成は、輸送した金属プルトニウムの全量についての組成である。
二の2の①から④までについて
 本件プルトニウムについて、御質問のような当該プルトニウムを抽出した元の使用済燃料に係る情報は、フランス核燃料会社から日本の電気事業者には報告されていないと承知している。
三の1について
 御指摘の差に相当するプルトニウムは、「核燃料物質移動量」に記載されていない原子力施設に保有されているものであり、主なものとして、具体的には、日本原子力研究所東海研究所に約十四キログラム、日本核燃料開発株式会社に約十一キログラム、動力炉・核燃料開発事業団(以下「動燃」という。)大洗工学センターに約十キログラム、ニュークリア・デベロップメント株式会社に約九キログラム、日本原子力研究所大洗研究所に約五キログウム、動燃東海事業所に約二キログラムのプルトニウムが、平成二年十二月三十一日現在においてそれぞれ保有されている。
一二の2及び3について
 御指摘の差は、約一・五キログラムが御質問の「主要でない原子力施設」に移動したこと、約一・三キログラムが核的損耗(核反応の結果として生ずる他の元素又は同位元素への変換による核物質の損耗をいう。)により減少したこと並びに約五・四キログラムが核燃料物質の機器、グローブボックス及び配管への付着等により減少したことによる。
三の4の①及び②について
 御指摘のプルトニウムは、動燃がウラン・プルトニウム混合酸化物燃料の照射試験を行うために輸出したものであり、売却はされていない。
四の1及び2について
 動燃と電気事業者は、本件プルトニウムに関する取引内容についての確認の手続を行っていたところであり、これに価格交渉は含まれていない。
四の3及び4について
 本件プルトニウムの所有権は、輸送時においては動燃に移転されており、東京電力株式会社、中部電力株式会社、関西電力株式会社、中国電力株式会社、四国電力株式会社、九州電力株式会社及び日本原子力発電株式会社が動燃へ売却した核分裂性プルトニウムの量の合計は約一トンであり、電気事業者の売却額の総額は約十一億円である。
 なお、電気事業者の取引の詳細を明らかにすることは、個別の私企業の営業活動の内容に触れるものであり、商取引に影響を及ぼすおそれがあるため、政府からのお答えは差し控えさせていただきたい。
五の1について
 本件プルトニウムの輸送に直接要する経費の予算額約十二億円の内訳は、海外輸送費及び国内輸送費等であり、予算計上額はそれぞれ約十億円、約二億円である。また、平成四年十二月末における既支出額はそれぞれ約八億円、約一千万円である。
五の2について
 本件プルトニウムの輸送に必要な設備準備費の予算額約五十一億円の内訳は、輸送船改造費及び輸送容器製作費等であり、予算計上額はそれぞれ約十四億円、約三十七億円である。ま
た、平成四年十二月末における既支出額はそれぞれ約十四億円、約二十七億円である。
http://www.shugiin.go.jp/itdb_shitsumona.nsf/html/shitsumon/b125023.htm