僕と友達とミニ四駆

ツイッターに投稿したSSです。
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僕には、友達がいた。プライドの高い奴だった。ある日そいつとミニ四駆の話になった。「爆走兄弟レッツ&ゴー」を見直しているのだという。「一緒にやらねえ? ミニ四駆!」僕はそいつの誘いに乗って、ミニ四駆を買いに行った。(続く)

2010-09-05 23:09:40
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最初は、適当に集めたパーツを集めて、ショップの前で走らせるだけだった。今思えば、楽しかったなあ。馬鹿みたいに早いモーター積んで、当たり前のようにコースアウトするのを見て笑い転げてた。(続く)

2010-09-05 23:12:30
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ミニ四駆のホームページを回っていると、レースというのが目に飛び込んできた。「ミニ四駆は、ただのおもちゃじゃありません。世界最小のモータースポーツです」世界最小のモータースポーツ。その言葉に僕は虜になった。(続く)

2010-09-05 23:15:37
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それから、僕は友達をレースに誘った。レースに行こうよ、限定品の販売もあるよ。ふーん、いいんじゃね。じゃあ、お互い頑張ろうぜ。おう。そんな言葉のやりとりをして、レース当日を迎えた。結果は惨敗。二人で悔しがった。友達はあんな早いマシンに勝てるかよ、と愚痴っていた。(続く)

2010-09-05 23:18:08
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それから、僕達は必死になって速くなろうとした。それが、友情に亀裂を生むだなんて知らずに。(続く)

2010-09-05 23:19:17
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僕は、必死になって早くなる方法を探した。友達も友達なりに頑張っていた。でも、明らかに何かが違っていた。僕は上位のマシンを徹底的に分析し、金をかければ速くなれるのが分かったのだ。それから小遣いを全て一台のマシンに注いだ。(続く)

2010-09-05 23:21:46
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次のレースがやってきた。お互いに直前までマシンの整備をしていた。その時に気付いた。友達のマシンは、絶対に早くない。そんなモーターじゃ駄目だ。そんなローラーの付け方じゃだめだ。でも、それを言う事はできなかった。そのまま予選が始まる。(続く)

2010-09-05 23:24:19
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結果、僕は一次予選を通過した。やったあ、と思い切り喜んだ。友達は、負けた。あーあ、また負けちまったよ。表面上は気丈に振舞っていたけど、内心はものすごく悔しかったのだと思う。僕はそれに気付いていたけど、やっぱり黙っていた。(続く)

2010-09-05 23:26:51
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それと同じ事が、三回続いた。友達は何度チャレンジしても、一次予選は通過できない。僕は一次予選は確実に突破する。友達は、いつも「他の奴が速かった」と言っていた。友達のマシンは、最初に参加した時とあまり変わっていなかった。回を重ねるごとに、僕は予選突破をあまり喜べなくなっていた。

2010-09-05 23:29:56
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次の大会に出よう、という事になった時。テストが近かった。お互い、「今回はやめておこう」と言って、レースには出なかった。それっきりだ。もう友達とは半年に一度ほどメールをするかしないかだ。マシンは今、電池を抜かれて眠っている。そのままずっと、眠っていればいいと思う。叶う事なら、永遠に

2010-09-05 23:32:49