それは、何も変わらない日々だ。話をする相手は「あずにゃん」以外には居らず、周囲の人々の陰口には「先輩の自殺の原因はオマエにある」というのが加わったくらいだ。そんなものは知らないし、あずにゃんはいつも通りに変わらないし、だから私はどうでも良いと思っていた。
2010-09-17 02:44:23プライベート空間にはガシガシ入ってくるし、「あずにゃんの良さ」も理解しないし、あげくには私を「人殺し」呼ばわりだった。
2010-09-17 02:50:01別に私は人の評価なんてものを気にするような性質ではなかったけれども、でも、先輩のことを言及されるのだけは心が動いた。
2010-09-17 02:51:15動いたが故に、怒りは直ぐに頭に来た。頭が真っ白になった。後輩の目の前に立って、拳を握って奮おうとした。
2010-09-17 02:53:15「先輩は、精神的に病んでいた。誰かを助けなければいけない、なんていう衝動に駆られていた」と、中年近い白衣の医者は言った。「そして多分彼女が自殺したのは、」やや口ごもって、だが、ハッキリと
2010-09-17 02:59:26「君が、もう助けを必要としないぐらいに成長したのだと、そう思ったんだろうね」と、医者はそう評した。
2010-09-17 03:00:39「いやそんなことはなかった。私はまだまだ先輩の助けが必要だったんだ」とそう力説したところで、医者はたった一言「失われた命は、自然に還った動物は、もう戻っては来ない」
2010-09-17 03:01:39医者は続ける。「君が君の罪を理解出来なければ、意味がない。幸か不幸か、君はまだ未成年だ」後は言わなくても分かるな、と言わんばかりの医者の表情に、しかし私はやっぱり何も分からないのだった。
2010-09-17 03:03:28医者は半分引きつった顔をして、だが、「あずにゃん」については一切触れることをしなかった。ただ、当たり障りのない質問を幾つも幾つも長い間されて、それで、「それじゃ、今日はここらで終わりにしようか。だいぶ君のことは分かったよ」と切り上げられた。
2010-09-17 03:05:14私には、人の心が分からない。他人が何を考えているのかを理解できない。理解できないから、他人とどう接して良いのか分からない
2010-09-17 03:05:57きっと社会的に抹殺されて二度と表社会を歩くことなど出来なくなるのかもしれない。だが、それでも良い。私は、私の好きなことだけ出来れば良いのだから。
2010-09-17 03:07:06