裁判で勝つための尋問とは 弁護士中所克博先生

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弁護士中所克博 @K_Nakajo

反対尋問こそ周到な準備が必要だ。準備次第で確実にポイントを獲得できる。ホームランを目指すな,シングルヒットを狙え。反対尋問事項を考えるときは,まず相手方代理人に憑依して敵方の主尋問を考えよ。その作業で見えてきた敵方の弱点こそ,当方の最大の攻撃材料である。師匠,故大野正男の教え。

2013-06-09 00:15:11
弁護士中所克博 @K_Nakajo

【連投①】証人尋問のイメージ。目の前に大河が流れる。二人のプレイヤーは,その大河を渡ることを要求される。時によろけながら,時に水に足を突っ込みながら大河の向こう岸へと渡る。その渡る姿を,小高いベンチからアンパイアが見ている。その名は「裁判官」。渡る姿勢の安定度を観察している。

2013-06-09 01:44:28
弁護士中所克博 @K_Nakajo

【連投②】二人のプレイヤーが真っ先にするべき作業。それは飛び石の敷設である。大河の真っ直中に,手持ちの岩を飛び石として配置する。もちろん,その飛び石を踏み越えながら向こう岸に渡るためである。飛び石の名は「書証」。飛び石を敷設するルートは,「主張」という設計図に因って定める。

2013-06-09 01:47:11
弁護士中所克博 @K_Nakajo

【連投③】敷設してはみたものの,飛び石には色々な特性がある。①盤石・強固な飛び石。②浮き石のようにグラつく飛び石。③方向が微妙にずれた飛び石。④見えるような見えないような曖昧な飛び石。⑤正しく製造されたか否か疑義のある飛び石。まさにいろいろな飛び石がある。

2013-06-09 01:51:02
弁護士中所克博 @K_Nakajo

【連投④】プレイヤーには,安定した盤石な飛び石以外の飛び石につき,一定の作業を行わせる。②グラつく飛び石は,プライヤーの証言により基礎固めをさせる。証言・供述で飛び石の根本を固め,安定した盤石な飛び石に生まれ変わらしめる。③方向のずれた飛び石は,証言・供述により補正する。

2013-06-09 01:54:07
弁護士中所克博 @K_Nakajo

【連投⑤】④見えるような見えないような飛び石は,しかとアンパイアの目に見えるよう,蛍光塗料でバッチリ見えるようにする。高山登山の際,ガスに巻かれても正しい登山道が分かるよう,ペンキで着色された岩に似ている。⑤製造の正しさに疑義ある飛び石は,その成立を証明する。

2013-06-09 01:57:01
弁護士中所克博 @K_Nakajo

【連投⑥】プレイヤーには,意識的にこれらの作業を行わせる。手持ちの書証を大河に配置し,弱い書証,方向性が不明確な書証。真正な成立に疑いのある書証。位置づけが曖昧な書証。これらの書証を証言・供述によって強い書証・安定した書証・盤石な書証に生まれ変わらせる。

2013-06-09 02:00:14
弁護士中所克博 @K_Nakajo

【連投⑦】これまでの作業で,大河の真っ直中に飛び石(書証)を配置する作業は終わった。だが,人は常に事実経過を書面に残している訳ではない。書面の欠落は避けられない。最後の作業は,距離があり過ぎる書証と書証の間を,証言・供述によって架橋することである。それによって間隙を埋める。

2013-06-09 02:03:50
弁護士中所克博 @K_Nakajo

【連投⑧】プレイヤーA(=原告又は被告)のルートは決まった。次に行うべきは,敵であるプレイヤーBの飛び石を破壊すること。盤石・堅固そうに見えて実は怪しい敵の飛び石を目ざとく見つけ,その怪しさを暴露して木っ端微塵に打ち砕く。飛び石を破壊された敵は,あわれ大河の藻屑と消える。

2013-06-09 02:07:33
弁護士中所克博 @K_Nakajo

【連投⑨】弁護士たるもの,準備書面にそれを書くとき,必ず何らかの効果を狙ってそれを書く。書いたものは,なぜそれを書いたのか,何のためにそれを書いたのかについて,獲得したい効果を明示しながら必ずその意図を明確に説明できなければならない。説明できずして書いたものは,明白な無駄である。

2013-06-09 02:10:45
弁護士中所克博 @K_Nakajo

【連投⑩~Last~】尋問も同じ。その発問をすることで,何が得られるのか。証人の精神を安定させる発問?敵の外堀を埋める前振り?不自然さを強調する逆誘導?1問1問に意味を込め,決して無駄弾は撃ちたくない。以上が尋問のイメージ。されど実践は難し。BGMはAKB48の「River」。

2013-06-09 02:16:01
弁護士中所克博 @K_Nakajo

【連投⑪~番外~】いつもそう思っている。しかしいつも実践できず,後悔が残る。それが尋問。明日こそは,死ぬまでに一度くらいは…,永遠の課題かもしれない。自分が行っていることではなく,行いたいと思ったことを延々と語ってしまった。それもこれも,度数25度の”お芋のお水”のせい。

2013-06-09 02:19:05