中嶌哲演さん "若狭 明通寺 縁起"

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私が 住職をしている この 妙通寺は、かつて アテルイ征伐に 赴いた 坂上田村麻呂が、平安初期に 建立した。(中嶌哲演)

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坂上田村麻呂は 若いときに 若狭で 国司を 務めたらしく、他にも ゆかりの ある 長蓮寺という 寺が 小浜に ある。(中嶌哲演)

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坂上田村麻呂は 戦勝祈願のため 京都の 清水寺も 建立しているが、妙通寺の 縁起は それとは 異なる。(中嶌哲演)

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寺の 古文書には「多軍征戮、孤魂救鬼」と 記されている。(中嶌哲演)

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征伐の 後、坂上田村麻呂は アテルイの 助命を 嘆願するが、時の 桓武天皇は「禍根は即、断つべし」として、斬首を 命じた。(中嶌哲演)

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坂上田村麻呂は アテルイたちにとっては、いわば 加害者である。(中嶌哲演)

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だが 一人の 人間を、加害、被害を めぐって、単純に 切り分けると いうことは できない。(中嶌哲演)

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この 寺が できていく 成り立ちの 背景には、その 時代の、深い 社会の 闇が あったのだと。(中嶌哲演)

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「闇 深ければ、光も 強し」社会の いろいろな 歪みを ともなった 暗闇、歴史の 中の 闇、そういうものが 実は 光を 生みだしてきた。(中嶌哲演)

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妙通寺は もとは 光妙通寺と 称した。 比較的 安定が 長く 続いた 平安時代、その とば口で 坂上田村麻呂は、時代の 闇との 戦いの 中、アテルイの 魂を 救わんと、光明を 見出そうとした。(中嶌哲演)

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この 講堂に 灯明として 蝋燭が 灯されているのに 気づく 人は 少ない。 しかし ひとたび 照明を 落とせば、たちまち 暗闇を 煌々と 照らす。(中嶌哲演)

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(ちょっと 休憩)

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平和憲法、それは 世界史の 中で 強烈な 光を 放っている。 だが、その 光明は どのような 暗闇の 世界から 誕生したのか、説明するまでも ない。(中嶌哲演)

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「闇 深ければ、光 強し」これは まさに 平和憲法を 表わしている。(中嶌哲演)

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平和憲法を 誕生させた、人間の 長い 世界史の 中で、最終段階に 起きた、その 暗闇の 実態は どういうもので あったか、再確認すること こそが 必要だ。(中嶌哲演) (了)