宮尾岳先生 劇場版「エースをねらえ」を語る

「アオバ自転車店にようこそ!」の宮尾岳先生が劇場版「エースをねらえ」について書かれてます。 キャリアの長いプロの話って何にしても面白いですね。
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宮尾岳 @GAKUJIRA

エースをねらえ!劇場版 やってたのか・・・ 見逃してしまった。

2013-07-06 22:47:53
宮尾岳 @GAKUJIRA

あの頃のアニメーターにとって「劇場版」というのは 特別な意味合いを持つ。 そもそも、アニメーションが、映画用として作られることがまだ少なかったから。 60,70年代だと「東映まんがまつり」での劇場用がその代表格だ。

2013-07-06 22:51:21
宮尾岳 @GAKUJIRA

大泉の東映動画本社では、通常のTV[アニメーションと 劇場用では その班そのものが別格で仕切られていた。 それほど劇場用というのは、時間をかけて丁寧に作るものとされていた。

2013-07-06 22:54:08
宮尾岳 @GAKUJIRA

何がそれほど劇場用が「別格」なのか? 予算とか内容もそうだけど、何よりも「大きな画面で映し出される怖さ」 というものがあった。 僕はアニメーター1年生の時にそれを叩きこまれた。

2013-07-06 22:56:08
宮尾岳 @GAKUJIRA

そのころの家庭用テレビは、大型で20インチ。 26インチなんてもう特別中の特別。 値段も高かった。 TVアニメというものはそのくらいの大きさで見られるもの・・・ だったんだ。 しかし劇場用スクリーンはその数十倍だ。

2013-07-06 22:58:08
宮尾岳 @GAKUJIRA

ちょうどその頃、ドラえもんの劇場用第一作目が作られた。 うちのスタジオでもその手伝いをしたんだけど 動画の連中を集めて、スタジオの先輩が言った。 「これを通常のドラえもんと一緒に考えるな」と。

2013-07-06 23:00:05
宮尾岳 @GAKUJIRA

「いいか、 劇場用だからといって  ドラえもんのキャラの線が増えるわけじゃない。 いつものテレビシリーズと同じように思うだろう」 「が、それはぜんぜん違うぞ」 僕はその意味がわからなかった。

2013-07-06 23:03:09
宮尾岳 @GAKUJIRA

つまり、動画用紙での1ミリのズレは テレビの20インチでは気付かない。 が、スクリーンの大型画面ではそれが数十倍に拡大される。 ただの「引きでフォロー」なんて画面では、甘いクリーンナップだと そのズレははっきりと分かってしまう。 神経使って作画しろ。 これは劇場用だ。

2013-07-06 23:06:18
宮尾岳 @GAKUJIRA

シンプルなドラえもんだからこそ、かえってミスがはっきりと分かってしまう。 これは劇場用だ。 檜舞台なんだ。 タダで見られるTVアニメじゃない。お金を払って親子が観に来るんだ。 その期待を裏切るな。 そう言われたんだ。

2013-07-06 23:10:19
funbolt@業務募集中 @funbolt

宮尾岳 ‏@GAKUJIRA さんの劇場アニメの作画話を読んであらためてビビる。恐い。

2013-07-06 23:11:15
funbolt@業務募集中 @funbolt

宮尾岳 ‏@GAKUJIRA さんの劇場アニメの作画話を読んであらためてビビる。恐い。

2013-07-06 23:11:15
宮尾岳 @GAKUJIRA

だから「劇場用 エースをねらえ!」は そういう神経のもとに作られた。 同時期にテレビの方でも「新・エースをねらえ!」が作られたけど 劇場版は予算も人材も特別枠だった。 宝島のあとだったから、みんなテンションが上がっていた・・・ というのもある。

2013-07-06 23:14:19
宮尾岳 @GAKUJIRA

この流れがそのまま「あしたのジョー2」へと、繋がっていく。 同じ東京ムービー内で、ルパンの劇場用2作が作られたころ。 あっちに負けるか!ってなのもあった。

2013-07-06 23:16:40
宮尾岳 @GAKUJIRA

エースをねらえ!で、難しいのは「テニスをする」ということ。 当たり前だけどね。   これが主人公の岡ひろみはいいんだ。 ショートカットだから。 問題はお蝶夫人。 あの馬鹿でかいボリュームの縦ロールの髪。 あれを動かすっていうのは、かなリ難しい。

2013-07-06 23:21:11
宮尾岳 @GAKUJIRA

しかもお蝶夫人は「テニスの上級者」 それを感じさせなくてはならない。 はっきりいって、原作の漫画は「動くこと」を前提に お蝶夫人のキャラ作っていない。 少女漫画特有の華麗さ 最優先のキャラだ。

2013-07-06 23:23:20
宮尾岳 @GAKUJIRA

70年代はじめに作られた、TVシリーズの「エースをねらえ!」は そこまでちゃんと描ききれていない。 皆あのバチバチまつげのキャラをこなすだけで精一杯だった。 キャラデザの杉野さんは、昔のエースで出来なかったことを 10年たった劇場用で証明してみせた。

2013-07-06 23:26:38
宮尾岳 @GAKUJIRA

もう上がってくる原画、原画が凄いレベルで それの作監修正も輪をかけて美しく「これを崩しちゃなんねえ!」 って思いは、やったら強かった。 東京現像所での初号試写を観た後で 「ホントにエース作れたんだ」って胸が熱くなったのを覚えている。 その端っこにでも加われたのは一生の宝だ。

2013-07-06 23:33:12
宮尾岳 @GAKUJIRA

アニメーター・・・というよりも 「絵描きの1年生」のときに、どういう先輩、環境に関われたか?で その意識は大きく変わると思う。 自分がいかに、屁理屈ばかりで何も描けなくて・・・ それでも逃げ出す訳にはいかないって場。

2013-07-06 23:50:45
宮尾岳 @GAKUJIRA

アニメーション業界は、甘く ぬるく関わることも実は可能なんだけど それじゃイヤだ。 それじゃダメなんだって。 だって、僕よりもはるかに上手い あの人もあの人も本気だもの。 「お前は本気でやんないの?」って 上がってくる絵が言ってるもの。

2013-07-06 23:55:08
トミドン @Tomidon8

@GAKUJIRA @unamuhiduki アニメの巻き髪でキラキラ効果のお蝶夫人は結構好きなんだけどなぁwww

2013-07-07 02:06:22
漫画家島本和彦 @simakazu

@GAKUJIRA なるほどそういう風に劇場版は観るのですね!!!!!!!勉強になりましたありがとうございます!!!!!!!!!

2013-07-07 05:41:54