ダークサイド・オブ・ザ・ムーン #8
「01010111グワーッ!」突如グリーンゴーストが悲鳴を上げる!無数の01触手がナメクジ触覚めいて引っ込む!果たして何が!?「ハァーッ!ハァーッ!」その背後にはトウメ!LAN直結に興奮しているグリーンゴーストの隙をつき、彼がメガサイズのウイルス攻撃を加えたのだ!テンサイ! 71
2013-07-15 02:42:02「バカナー!」アンドリューは状況を理解できなかった。論理フジサンの周囲は戦闘ハッカーやシーカーらが監視していたはずだ。「タイプ速度で遅れを取るはずが…!」直後に彼は敗北の理由を悟る。TIMEコマンドを反映し、夜空には夜11時の礼拝時刻を示す聖なる文字列が浮かび上がっていた。 72
2013-07-15 02:50:35一瞬の自動化礼拝から我に帰ったアンドリューとシーカーは咄嗟にKICKを叩き込むが、既にトウメはIRCからログアウトを果たしていた!「11101011011……!」メガデモウィルスを注ぎ込まれたグリーンゴーストは怒り狂いながら飛び跳ね、凄まじいニンジャ電波が撒き散らされる! 73
2013-07-15 02:54:53一瞬の自動化礼拝から我に帰ったアンドリューとシーカーは咄嗟にKICKを叩き込むが、既にトウメはIRCからログアウトを果たしていた!「11101011011……!」メガデモウィルスを注ぎ込まれたグリーンゴーストは怒り狂いながら飛び跳ね、凄まじいニンジャ電波が撒き散らされる! 73
2013-07-15 21:38:06コトダマ空間内にミニマル電子音楽が鳴り響き、空は赤と紫と黄色のオーロラが脈打ち渦巻いた!極上の電脳麻薬だ!その中心でグリーンゴーストのシルエットが踊る!コトダマ空間全域に張り巡らされた蛍光グリーンの01血管が脈打つ!「アイエエエエエエエ!」「アイエーエエエエエエ!」狂気! 74
2013-07-15 21:41:30暴走ニンジャ電波は周辺のコロニーにも降り注いだ!電子生命体の絶叫により増幅されたメガデモが、全てのモニタに映し出される!「アイエエエ!」テクノゾンビー軍団はタイピングを止めミニマルビートに揺れる!サイバーゴスは踊る!「スゴイ!」暴徒やマッポも殴り合いを止め、TVに見入った! 75
2013-07-15 21:47:46「GROWWWWL!」「イイイヤアアアーッ!」激しいカラテによってフスマを破壊された宿直室内では、ダイアウルフとニンジャスレイヤーが膂力比べの体勢に入っていた。背後には気絶し無防備をさらすトウメ!フジキドは何としてもこのモータルを護らねばならぬ!だが満月の力が彼を圧倒する! 76
2013-07-15 21:53:09「GRRRRR!」「ヌウウウーッ!」ブリッジ姿勢へ追い込まれるニンジャスレイヤー!その時、グリーンゴーストが電波塔から撒き散らすニンジャ電波濃度が最高潮に達し、二人の視界をトランスめいて歪めた!宿直室のUNIX画面に現れる極彩色メガデモオーロラ!同時に横を向き覗き込む二者! 77
2013-07-15 21:57:49彼らの論理肉体は、洛中洛外図めいた大小路に立つ!黄金雲のあわいでカラテを構える二者!ゴウランガ!これはイクサ没入が生み出したケミカル反応か!?偶然にもキョート上空を向いて固定したパラボラは危険な01エーテルを受信し、グリーンゴーストはそれを増幅し電波発射し続けているのだ! 78
2013-07-15 22:05:53コトダマ空間内のダイアウルフは、ジツを解かれ人型に戻っている。肉体という枷から解放された彼女のカラテは今や歓喜に満ち溢れていた。両腿のホルスターから抜いた二挺オートマ拳銃を構え、死神を睨む!剣呑な横歩きのまま改めてアイサツを交わす両者!おお、一触即発めいたアトモスフィアよ! 79
2013-07-15 22:11:41人狼形態のダイアウルフは立ち尽くし、ハンドヘルドUNIXのキーを叩く!ニンジャスレイヤーもUNIXチャブの前でアグラを組む!「ハァーッ!ハァーッ!ハァーッ!」瞳に極彩色のオーロラを映し、眉間に汗を滲ませ一心不乱のタイピング!たった1文字のミスタイプでさえ、即、死に繋がる! 80
2013-07-15 22:18:35一瞬の銃弾とスリケンのやりとり、そして短くも激しいカラテをコトダマ空間内で交わした後、両者はほぼ同時に致命的なトビゲリを繰り出した!「「イヤーッ!」」激突!交差!そのタイピング速度、もはや計測不能!物理肉体の両者は最後のリターンキーを叩いたまま凍り付く! 81
2013-07-15 22:29:19着地したのはニンジャスレイヤー!「Wasshoi!」彼のタイプ速度がほんの一瞬勝った!空中で浮かび、体を仰け反らせて01振動分解するダイアウルフ!「グワーッ!」宿直室内の彼女は人型に戻り、論理空間と同じ姿勢で鼻血を垂らす!ニューロンを灼かれたのだ!「サヨナラ!」爆発四散! 82
2013-07-15 22:34:34「アイエエエエ!」同時刻。遥か南。暴動渋滞を抜け、ようやく家に帰り着いたヒミコの母は、心臓が止まりそうなショックを受けた。机に駆け寄り、娘が眠っているだけだと気付き、安堵の息をつく。UNIXが異常な熱を帯びている。彼女はモニタを見た。誰かが遠隔操作でメガデモを送信した形跡。 83
2013-07-15 22:45:44彼女は数秒前に遠隔操作者が書き残した言葉を見た。「銀の弾丸は無い|だから最善を尽くしなさい|お前は新たな人類だ|どこまでも飛べるだろう|そしていつか思いのままにKICKするだろう|炎を生み出す魔法の言葉を覚えておきなさい|でもお母さんの言う事を良く聞くのだよ|愛してるよ」 84
2013-07-15 22:50:56「一体何が……!」彼女はモニタに見入った。ニンジャ電波が再び勢いを増し、緑色の文字列の背後に極彩色オーロラと巨大なグリーンゴーストの姿が映る!そして終末の天使めいてラッパを吹き鳴らしその周囲を飛翔する金髪コーカソイドの姿を!「アイエエエエ!」狂気!未だ戦いは続いているのだ! 85
2013-07-15 22:56:34暴走したグリーンゴーストを受け入れるように空中で制止するナンシー!「01110101111……!」電子生命体の伸ばした無数の触手が彼女の論理肉体に突き刺さる!ナムサン!その直後、予想外の事態!「アバーッ!?」物理肉体ナンシーに並列直結していたアンドリューの頭が激しく揺れた! 86
2013-07-15 23:05:17(((グリーンゴーストが……ナンシーを経由し……注ぎ込まれている……!)))彼はナンシーの肩に乗せていた手を咄嗟に離し、彼女の後頭部に直結した自らのLANケーブルを引き抜こうとする。だが不意にナンシーの手が動き、自らの生体LAN端子の根元を押さえたのだ!これでは引き抜けぬ! 87
2013-07-15 23:12:32「アバババババーッ!」アンドリュー導師のニューロンが激しい損傷をきたし、首筋の端子から火花を散らす!半身が麻痺し、もはや物理切断は不可能!「アバババババババーッ!」電子接続していたサイバーサングラスが弾け飛び、空虚な双眼が露になった!肉眼もサイバネアイも持たない空虚な穴が! 88
2013-07-15 23:22:20暗黒宇宙めいたローカルコトダマ空間で、ナンシーとアンドリューは大の字のまま宙に浮いていた。その距離は縮まりも遠ざかりもしない。中心軸座標を固定された3Dモデリング人形のように、ぐるぐると狂ったように回転した。時にそれは速く、球体のように、また脈打つ光の筋のようにもなった。 89
2013-07-15 23:28:21「見事だ、私は死ぬだろう」論理空間のアンドリューが高速回転しながら言った。「記憶封鎖アルゴリズムのキーを貰うわ」ナンシーも高速回転しながら言った。「磁気嵐が酷い。他にも引き継ぎたいものがある」「敵の私を手助けするの?トロイめいた罠かしら?」不気味なほど淡々とした会話。宇宙。 90
2013-07-15 23:37:33「安心したまえ、今、我々は君を自由にすることにした」「本当かしら」「君はさしずめ首にデータ収集用のデジタル首輪を巻かれたイルカだ。それは自由意志を持つべきだ」「詩的ね」「あるいは無人探査艇か。いずれ必ず我々の下に戻る」「あなたの考えは?弟子に対する愛の言葉を囁いてみたりは?」91
2013-07-15 23:45:31「今はその必要性が見当たらない」「ずっと演技だった?」「君も私を見事に騙したな」「あなたは随分と空虚ね。探究心を失ったの?」「それは私の役目では無い。それはシーカーが担っている」「まるで怪物ね」「君よりも遥かに人間らしい」「認めないわ」「人間らしさの定義をしようじゃないか」 92
2013-07-15 23:50:08