カオス５

要（鈴木志薫） @kaname218

41.ケイスケが飛び出したのも、ちっとばかり彼の面倒見のよさにいらつき蹴り飛ばしたのが原因だ。　「イグラに参加してる連中が首に掛けてる。それで交換してもらえる」「イグラってのは、なんだ？」 #caos_juutai

要（鈴木志薫） @kaname218

42.…さらに、ぶちっとイキそうになったところで、戦力としては頼もしいが日常生活は特殊相対性理論の時間枠のナノが、ようやく事態に追い付いてきた。「悪魔の、仲間か？」 会話の中身じゃなくって、たぶん外見からの発言だ。 #caos_juutai

要（鈴木志薫） @kaname218

43.視神経からの伝達までもが遅いのは、ナノならではのなせるわざだった。だが、ここで初めてアキラはその可能性にブチ当たった。 そうだった！ってか、そっちしかねえ！ 「てめえらっ、ケイスケをどこにやった！さっさと返せ！」 #caos_juutai

要（鈴木志薫） @kaname218

44.前はちょっと抜けてるいるだけだったのに、以前にはあった言葉の自制とか、考えてからの行動とか。その辺りは五年間のうちに、完全になくしているアキラだった。 #caos_juutai

要（鈴木志薫） @kaname218

45.大変な剣幕で怒鳴り始めたアキラを、キョトン顔がふたつ並んで呆然と見るや、藍丸は困ったように頭をがりがり掻き毟った。「けいすけ？あきら？あー、すまねえが、わかる言葉で言ってくんねえか」ブチッ…いよいよアキラの短い導火線が瞬時に消えそうになったその時、#caos_juutai

要（鈴木志薫） @kaname218

46.「待て」。雷王がふと言葉を挟んだ。それはアキラへ向けてか藍丸へ向けてかはわからなかったが、「あくま、というのは先刻見た」。頭に角があって自ら悪魔だと名乗ったと告げると、「そんな言い草には騙されない」。アキラは不審な目を向け続ける…#caos_juutai

要（鈴木志薫） @kaname218

47.「…それは、何色だった」。至極のんびりと喋り出す声は低く甘く、だが毎回謎かけのようにかけられる問いはアキラですら未だ完全解読は無理、ここはケイスケに任せきっているところだったが、今回は随分と優しい問いだった。雷王は答える。#caos_juutai

要（鈴木志薫） @kaname218

48.「豊かな赤い巻き毛を蓄えた美丈夫…確か名はラゼル、だったか。怒りが領域だと言っていた」「ンだ？怒りに従属してやがんのか、珍しいな」「いや、そうではないらしいが…」藍丸と雷王が目の前の二人を完無視して会話を進める…#caos_juutai

要（鈴木志薫） @kaname218

49.「アキラ、ラゼルだ」。己より背の低いアキラへとゆったり首を傾げながら、の～んびり答える声に、焦りから軽くイラッとする。が、情報は手に入れた。「で？あんたたちは悪魔じゃないってのか」。アキラが不機嫌そうに下からねめ上げるが、藍丸は意にも介さず答える。#caos_juutai

要（鈴木志薫） @kaname218

50.「悪魔ってのが何だかしれねえが、俺は半妖藍丸。江戸の羽織役だ」手持ちの煙管をぷかりとふかして、にやりと笑む。「俺ぁ萬屋ってぇなんでも屋をしてんだが…人探しなら手伝うぜ」。芯から江戸っ子気質の藍丸は、うきうきと目を輝かせてアキラを見つめる。#caos_juutai