ファイナルファンタジーS・二次創作 エクスデス・ファザー編

一部オリキャラ・オリ設定・細かい本編との矛盾・独自解釈有 元ネタ↓ FFS39話 http://www10.atwiki.jp/erem42gxzo/pages/14.html#39 FFS80話 http://www10.atwiki.jp/erem42gxzo/pages/19.html#88 続きを読む
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星月夜 禁森6話-4 @hosidukuyo

#FFS2k ↑のタグでFFSの二次創作を投下します。 エクスデス編です。 #EremFFS

2013-08-01 00:47:13
星月夜 禁森6話-4 @hosidukuyo

@3zaru #FFS2k ふと気づくとまた朝。 …あれから何度目の朝だろうか。 あの子が出て行ってから何日、何か月経ったろうか。 あれ以来、家の中からは笑顔が消えた様であった。 妻も父母も…そして私も。 妻が朝食を運んでくる。

2013-08-01 00:47:52
星月夜 禁森6話-4 @hosidukuyo

@3zaru #FFS2k 特に会話も無いまま食事の時間が過ぎる。 あの子がいた頃は楽しい団欒の時間だった。 私と妻、そして父母…4人の中が悪い訳ではない。 それでも…家庭の中心はあの子だった。

2013-08-01 00:48:12
星月夜 禁森6話-4 @hosidukuyo

@3zaru #FFS2k ふと気づくと食事を終えていた。 味も食感もおぼろげにしか覚えていない。 妻が味付けを失敗したというようなわけでは勿論無い。 あの子がいた頃と…何も変わらない作り方だった。

2013-08-01 00:48:40
星月夜 禁森6話-4 @hosidukuyo

@3zaru #FFS2k …することが無い。 仕事でもやっていれば気も紛れたろうが、出来ない。 自宅で一般人や旅人向けの道具屋をやってはいるが、開店休業状態である。 元よりこの世界に訪れる旅人は少ない。 そして今は…王命により、国民の外出が制限されている。

2013-08-01 00:49:24
星月夜 禁森6話-4 @hosidukuyo

@3zaru #FFS2k これを悪法だなどという者は少ない。妥当な措置だからだ。 我々…エクスデス族は絶滅の危機に瀕している。 未知の敵、エクスレイズの侵攻が為だ。 エクスデスの変種とも言われる彼らは我々を好んで捕食する。

2013-08-01 00:50:00
星月夜 禁森6話-4 @hosidukuyo

@3zaru #FFS2k この世界にも度々侵攻しており、国民の8割…数万人が既に犠牲になっている。他の世界に棲む同胞は更に悲惨な状況らしい。 我々エクスデスは絶滅寸前である。 私達の陰鬱な気分も何割かはそれも原因である。 平時の家出であれば、不安は半分程度だったろう。

2013-08-01 00:51:15
星月夜 禁森6話-4 @hosidukuyo

@3zaru #FFS2k 憲兵もエクスレイズを恐れずに異世界を捜索出来、すぐに息子を見つけてくれたかも知れない。 息子が家出したのは、出国ゲート封鎖の数日前のことであった。 王のエクスデス・キングは聡明だが何故後少し早く、と思わずにはいられない。

2013-08-01 00:51:41
星月夜 禁森6話-4 @hosidukuyo

#FFS2k 思えば我々は過保護過ぎた。少し転んだだけで全員でケアルラを掛けたり、友人と遊びに行くのに一家総出で着いて行ったり…私の子供時代だったらどう思ったろうか? 過保護なのは我々一家だけでも無い。息子世代の親は程度の違いこそあれ似たような物だ…言い訳にしかならないが。

2013-08-01 00:53:29
星月夜 禁森6話-4 @hosidukuyo

@3zaru #FFS2k それも王のせいと言えばそうだ。 旧世代のエクスデスでは滅ぼされるだけだと悟った王は、数年前から同胞の卵を強制徴収し始めた。エクスレイズを逆に食べるくらいの強力な新種に仕立てるための強化を施すのだという。親達は反発したが…最終的には従うより無かった。

2013-08-01 00:54:28
星月夜 禁森6話-4 @hosidukuyo

@3zaru #FFS2k 王は我々の中でも実力は最高最強、同列に扱うのも畏れ多く、並のエクスデスは指一本で殺す程だというのもある。 だがそれ以上に決定的だったのは自身を含む旧世代の絶滅を不可避と悟った上で、種の保全を優先するという悲愴ながらも覚悟の感じられる演説だった。

2013-08-01 00:55:38
星月夜 禁森6話-4 @hosidukuyo

@3zaru #FFS2k 恐らく強化の過程での失敗や、卵の飛来先での死傷などで大半の卵が死ぬだろうと聞かされてなお、殆どの親達は進んで卵を差し出した。 …そんな中で息子達の世代は旧エクスデス最後の世代となった。 親である我々は子育てを出来る最後の世代であった。

2013-08-01 00:56:02
星月夜 禁森6話-4 @hosidukuyo

@3zaru #FFS2k 自然と過保護になったのは仕方ない。 …そうだろうか? 国境を越えてまで家出した最後の世代は息子だけだ。 王や他人のせいにするなどおこがましい。 エクスレイズのせいにするのさえも違うであろう。 息子にはそんな『大人の事情』など関係ない。

2013-08-01 00:59:54
星月夜 禁森6話-4 @hosidukuyo

@3zaru #FFS2k ―先日の襲撃で、隣家の家族が全員捕食された。 …息子と同い年のエクスデスがエクスレイズの口に消えた時の凄絶な顔と悲痛な悲鳴が頭から離れない。重ねてしまう。 本当なら助けに行きたい。 だが国境は固く閉ざされ、兵士すら滅多に出入り出来ない。

2013-08-01 01:00:47
星月夜 禁森6話-4 @hosidukuyo

@3zaru #FFS2k 完全閉鎖直前ですら、出国制限は厳しかったが今はそれ以上。強行突破は無理だ。あの時、警備兵を倒してでも息子を追うべきだったのか?私を必死で止めた親友を恨むのも筋違いだ。彼も目の前で娘を喰われていたのに、どんな悪態をついたかも覚えていない自分が忌々しい。

2013-08-01 01:04:15
星月夜 禁森6話-4 @hosidukuyo

@3zaru #FFS2k ふと気づくと来客。正にその親友エクスデス・フレンドだった。 憲兵の彼は今や死亡率99%を誇る異世界調査に自ら志願し、息子を探してくれていた。だが彼の顔を見た私が感謝や喜びの言葉を告げることは出来なかった。 ドア向こうの彼は…震えていた。

2013-08-01 01:05:38
星月夜 禁森6話-4 @hosidukuyo

@3zaru #FFS2k 自室にいた私の父母をも呼び集め、彼は、慎重に、言葉を選びながら、 ××××を告げた。 ××の×を… ×子の×を… 息子の死を…

2013-08-01 01:06:50
星月夜 禁森6話-4 @hosidukuyo

@3zaru #FFS2k ふと気づくと、親友はいなかった。時計の針を見ると深夜だったが、そもそも彼が何時に来たのか覚えていなかった。 あの後彼が何を…どんな慰めの言葉を掛けてくれたのかも。 どんな言葉で泣いていたのかも。 その翌日、彼の訃報を知った。

2013-08-01 01:09:10
星月夜 禁森6話-4 @hosidukuyo

@3zaru #FFS2k 私の家を出てすぐ、待機していた仲間の腕の中で息を引き取ったらしい。 調査任務中に仲間を庇って内臓の大半を食い千切られ、あの時既に限界だったそうだ。 礼を言えなかった。 まただ。 また後になってから後悔する。 息子も親友も失った。

2013-08-01 01:09:31
星月夜 禁森6話-4 @hosidukuyo

@3zaru #FFS2k ―ふと気づくと数日。 この間の記憶は殆ど無い。 時間の間隔も曖昧である。 息子を殺したのはエクスレイズではなく、我々の種族と因縁があるらしい旅人だそうだ。動機や背景…命懸けの情報にもかかわらず、薄情にもその仇の名前と人相しか覚えられなかった。

2013-08-01 01:10:15
星月夜 禁森6話-4 @hosidukuyo

@3zaru #FFS2k もう我々一家には何もない。 最後の希望も立たれた。 父母も妻も抜け殻同前。 私も他人が見ればああなのだろう。 残された道は緩慢な死を待つか、それともいっそ…。 トントン。 店のシャッターを叩く音。

2013-08-01 01:18:23
星月夜 禁森6話-4 @hosidukuyo

@3zaru #FFS2k ふと気づくと、シャッター前。 何週間かぶりの音に体が自然と動いていたらしい。シャッターを持ち上げ、商品棚を引く。 旅人だった。 国境は閉鎖されてはいるが、旅人は収入源・情報源として有益な為、エクスレイズの擬態でないかの検査をした上で通される。

2013-08-01 01:19:07
星月夜 禁森6話-4 @hosidukuyo

@3zaru #FFS2k 営業トークと売買の後、気付くと彼等を家に招いていた。 先日の親友と定期配給の兵士を除けば、他人と会話するのは何時振りだろうか。無意識の日常会話をしながらそんなことを考える。

2013-08-01 01:19:44
星月夜 禁森6話-4 @hosidukuyo

@3zaru #FFS2k 旅人は女3人に男1人のパーティだが、その男が具合を悪くし薬が欲しかったらしい。愛用のチェアを貸して休ませてやる。息子が何時も乗ってはしゃいでいた揺れる椅子だ。 男が不甲斐なさを嘆き、女性陣が冗談交じりにそれをからかっている。

2013-08-01 01:20:03
星月夜 禁森6話-4 @hosidukuyo

3zaru #FFS2k そんな彼らに混ざって話しているうちに視界が曇った。 私を案じる少女の声で、 自分が泣いていたことに 気付いた。 視界が曇るのと対照的に、朦朧とした意識が…あの子を『失って』から朧げだった意識がはっきりとしてくる。

2013-08-01 01:24:31