追憶のサイリウム

らぶちょさん作。アイドルマスターのSS
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きっかけ

サブちょ(2016/3/31終了) @LUV_advantage

あーやべー 書きたいネタ降りてきたー

2013-08-06 20:33:25
サブちょ(2016/3/31終了) @LUV_advantage

あ、巧君の未来云々の話でまた思いついた。

2013-08-06 20:51:05

そして、本編

サブちょ(2016/3/31終了) @LUV_advantage

765プロのアイドル達が後に伝説として語られる事となったライブを成功させてもう幾月が経ったのだろう。 時は過ぎ、一人の男が歩いているとある店のショーケースに目を止めた。 サイリウム。 文明の進んだ世界に、サイリウムは非常に珍しい物となっていた。 「へぇ…」

2013-08-06 20:58:19
サブちょ(2016/3/31終了) @LUV_advantage

ショーケースを覗いていると、中から店主と思われる老人がゆっくりと現れ、男に語りかけた。 「そのサイリウムが気になるのかい?」 「これは、サイリウムと言うのですか」 「そう…ちょっと特殊だけどな」 特殊。確かにソレは特殊だった。 「中に…何かが…人の様な?」

2013-08-06 21:05:58
サブちょ(2016/3/31終了) @LUV_advantage

明らかに人形だと思う。膝を抱え、眠る様にして浮かぶ… 「人形ですか?変わった趣向ですね」 「変わっているよねぇ…だが、美しい」 老人は、愛でる様にそのサイリウムを眺めて言う。 そして少し不気味な口調でこう続けた。 「この人形が、生きてると言ったら、君はどう思うかな?」

2013-08-06 21:20:37
サブちょ(2016/3/31終了) @LUV_advantage

生きているだって?そんなバカな。 「そんなバカなって顔だな。そりゃそうだ、こんな管に入っているのが "人間"の筈がないよなぁ」 老人は意気揚々と話を続ける。 「様々な色に光る、このサイリウムに浮かぶ彼女達は、その昔多くの人間に夢と希望を与えて来た」 「夢と希望…?」

2013-08-06 21:41:05
サブちょ(2016/3/31終了) @LUV_advantage

老人の言う事が、常軌を逸脱していて少し背筋が寒くなるのを感じた。 これが"人間"である筈がない。 この文明の進んだ時代、生活の殆どが機械に任せて行うのが当たり前になった時代、科学技術に有り触れた時代。 老人言っている事は、この時代をかけ離れた言動、非科学的だった。

2013-08-06 21:52:29
サブちょ(2016/3/31終了) @LUV_advantage

「バイオテクノロジーか何か…?」 この時代の技術なら可能なのだろうか? 科学に詳しい訳ではないが、そうでも考えないと老人の話をこの先まともに聞けそうにも無い。 「私は、彼女達にまた会う為に…」 老人は噛みしめる様に言った。 「かつて、この地に彼女達が輝く場所があった」

2013-08-06 22:14:00
サブちょ(2016/3/31終了) @LUV_advantage

赤のサイリウムを指し、 「明るく天真爛漫、だが何も無い所で転ぶ変な一面もある彼女」 青のサイリウムを指し、 「真摯に歌う事へ取り組み、不器用でも芯を貫いた彼女」 紫のサイリウムを指し、 「風貌は美男子だが、誰よりも女性でありたいと願っていた彼女」

2013-08-06 22:44:38
サブちょ(2016/3/31終了) @LUV_advantage

白のサイリウムを指し、 「恐がりでいつも誰かに寄り添っているが、本当は芯の強い心の彼女」 橙のサイリウムを指し、 「幼い言動の中に、強い母性を秘めた、優しく明るい彼女」 桃のサイリウムを指し、 「容姿端麗、気品に溢れるが尖った口調で困らせる、根は優しい彼女」

2013-08-06 22:55:50
サブちょ(2016/3/31終了) @LUV_advantage

黄緑のサイリウムを指し、 「自由奔放、輝く姿が美しい、でも硝子の様に繊細な心の彼女」 黄色のサイリウムを指し、 「いたずら好きな明るい双子、皆に可愛がられて輝いた彼女達」 少し深い紫のサイリウムを指し、 「包み込む優しさが、周りを癒し、そして寛大な愛が眩しい彼女」

2013-08-06 23:08:41
サブちょ(2016/3/31終了) @LUV_advantage

少し深い赤のサイリウムを指し、 「銀色の髪が満月の夜に映える、妖艶な美しさを持つ謎多き彼女」 浅葱のサイリウムを指し、 「動物に愛され、太陽の様な明るさで周りをも元気にさせる力のある彼女」 緑のサイリウムを指し、 「才色兼備、時折出る厳しい言動も愛に溢れている彼女」

2013-08-06 23:19:20
サブちょ(2016/3/31終了) @LUV_advantage

「彼女達はこの地で苦悩し、葛藤し、衝突し、輝きを増し、人々に感動を与え、生きていた」 老人は、遠くを見つめ、少しずつ噛みしめる様に泣きながら言った。 「貴方もこの地に…ずっと?」 「私は彼女達をずっと見守る事が…出来なかったんだ」 老人は震えて、悔しさを堪えながら言った。

2013-08-06 23:27:13
サブちょ(2016/3/31終了) @LUV_advantage

「この国を離れていた…私がこの国へ戻った時、彼女達の居た場所は既に無く、皆散り散りになっていた」 「再会は…」 「出来なかった…この国も色々あっただろう?彼女達に会える手掛かりは最早残されていなかった」 「だからこのサイリウムを…」 「そう、このサイリウム…彼女達が私の希望だ」

2013-08-06 23:36:04
サブちょ(2016/3/31終了) @LUV_advantage

ショーケースの彼女達は、嘗ての夢を見ながら眠りに就いているのだろうか? 生きているか確かめる術はない、ただ俺はあの老人の言っている事が嘘には思えなかった。 この地で彼女達は輝いていた、皆に夢と希望を与えて輝いていたんだ。 そして彼の心の中で彼女達は生き続けている。

2013-08-06 23:43:46
サブちょ(2016/3/31終了) @LUV_advantage

後日、老人の店を尋ねると店は無くなっていた。 確かにこの地にアイドルという職業の事務所があった事を文献で調べた。 老人はこの事務所で彼女達を輝かせていた「プロデューサー」だったのだろう。 そして、老人は彼女達に再会出来たのかもしれない。 何故か、そう思えたのだ。

2013-08-06 23:52:44