むかしむかし、あるところに、貧しくも心の優しい女子高生がいました。ある暮れの日、女子高生は藁で傘を編み、それを街に売りに行くことにしました。LINEのスタンプを買うためです。
2013-08-11 00:34:23ところが、彼女が街へ向う途中、道端に、頭に真っ白い雪をかぶった六体のお地蔵さまを見つけたのです。心の優しい彼女はこれを見過ごすことができませんでした。
2013-08-11 00:37:23女子高生はお地蔵さまの頭の雪を払うと、売り物にするはずだった傘を順番に着けていってあげます。ですが、困ったことに、お地蔵さまの数は六体。傘は五つしかありませんでした。「う〜ん、お地蔵さま。これで堪忍してくんろ」。女子高生はそう言うと胸元から汚れた手拭いを取り出しました。
2013-08-11 00:42:16そして、女子高生はおぱんつを脱ぎ捨てると、いまだ頭に白い雪を乗せている地蔵にまたがり、おしっこをしました。熱い飛沫がみるみるうちに雪を溶かしていき、お地蔵さまの全身からほくほくと暖かそうな湯気が立ち上ります。「ふぃ〜」。女子高生は手拭いで股間を拭い、おうちに帰りました。
2013-08-11 00:49:16当然、残された地蔵たちは大激怒です。傘をかぶせられた地蔵が声を震わせて言いました。「おう。おどれなに一人だけええ思いしとるんじゃ。ぶち殺すど、われ」「ハッ!」。おしっこをかけられた地蔵は鼻で笑いました。
2013-08-11 00:53:34「なんじゃいうて、そりゃ日頃の行い言うやつじゃろ。お天道様はきちんと見とるいうことじゃ」「あ、馬鹿言うない。おどれとわしになんの違いがある言うんじゃ。日がな一日一緒に立っとるだけじゃない。それがなんでわしらがこがいな汚い傘でおどれは小便じゃい。おう?」「まあまあ、宝印どん」
2013-08-11 01:05:12貧乏くじを引いた地蔵の中でも比較的理性的な宝珠地蔵が宝印地蔵をなだめました。もちろん、彼も激しい怒りに全身を震わせていましたが、それでも建設的な議論を望んでいました。「ここでわしらが喧嘩しとってもしょうがないわい。いっそ皆で女子高生の家に押しかけておしっこをもらおうじゃない」
2013-08-11 01:10:24「それじゃ!」「減るもんでもないしの、そうしようじゃない」。地蔵たちはその場に残された女子高生の霊波動を辿って、彼女の家を突き止めました。おしっこをかけられた地蔵もちゃっかり一同に付いて行きます。
2013-08-11 01:14:30そして翌朝。「行ってきまーす!」。元気に扉を開けた女子高生がそこに見たものは、居並ぶ六体の地蔵でした。「きゃああああ!!!」。女子高生の悲鳴が寒空に轟き、彼女は慌てて扉を閉め、家の中に舞い戻ります。
2013-08-11 01:18:32女子高生はスマホを取り出すとただちにLINEを立ち上げました。「た、大変なう!」「一体どうしたなうか?」。救いを求める彼女の声にすぐにライ友たちが反応します。この迅速なリプライこそがLINEの魅力なのです。筆者はLINEを使ったことがありません。
2013-08-11 01:24:27「玄関の前にお地蔵さまがいるなう!」。女子高生は動転のあまりスタンプを押しました。「い、一体、どういうことなうか!?」。ライ友たちも彼女のただならぬ雰囲気に圧倒され、思わずスタンプを押してしまいます。
2013-08-11 01:28:11「と、とにかく、いちから説明するなうよ」。ライ友たちに促され、女子高生はスタンプを交えつつ昨日の一件を報告します。「ははあ....」。ライ友たちはすぐにピンときたようです。そして、言いました。「単純に算術的に考えるなら可能性は四つなうよ」
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2013-08-11 01:38:45「まず一つ。おしっこをかけたことによる仏罰の可能性なう」。女子高生はごくりと息を飲み、スタンプを押しました。
2013-08-11 01:41:02「二つめ。おしっこをかけられなかったお地蔵様たちが嫉妬に駆られている可能性なう」。女子高生はごくりと息を飲み、スタンプを押しました。
2013-08-11 01:42:46「三つめ。おしっこをかけられたお地蔵さまが仏罰目的で現れ、方や傘をもらったお地蔵さまがお礼に現れた可能性なう」。女子高生はごくりと息を飲み、スタンプを押しました。
2013-08-11 01:45:07「四つめ、傘をもらったお地蔵さまが仏罰目的で現れ、方やおしっこをかけられたお地蔵さまはお礼に現れた可能性なう」。女子高生はごくりと息を飲み、スタンプを押しました。
2013-08-11 01:47:09「そ、それで、一体どの可能性が正解なうか?」。女子高生が戸惑ったのも無理はありません。なにせ一つ目と二つ目の解決策はまるで正反対なのです。ですが、ライ友は冷たく突き放しました。「それは自分で考えるなうよ」。
2013-08-11 01:51:14「私たちLINEにできることは可能性の提示までなう。蓋然性でいえば二番目の可能性が最も高いとは言えるなう。けれど、進むべき道は、美沙がこれまでのデータから理性の力で導き出すしかないなうよ」。LINEではツイッターと異なり、何よりも科学的態度が尊ばれるのです。
2013-08-11 01:57:42「わ、分かったなう。ありがとう、LINE!」「どういたしまして。LINEはいつでも美沙の味方なうよ」。美沙はおぱんつを脱ぎ捨てると、覚悟を決めて玄関から飛び出しました。論理的に考えて、女子高生のおしっこを嫌う地蔵がいるはずないと彼女は結論したのです。
2013-08-11 02:02:39「ダリャー!」。裂帛の気合と共に美沙の体から熱い飛沫が飛び散り、一体目の地蔵からほかほかとした湯気が立ち上りました。「あ、あと、4体....」。美沙は次の地蔵にキッと鋭い視線を向けます。ああ、ですが、なんということでしょうか!
2013-08-11 02:08:32「いやああああ!!!」。美沙は悲鳴を上げて家の中へと飛び込みます。ですが、窓の外では、町中の鬼畜たちがLINEを見てわらわらと集まってきているではありませんか。地蔵たちもせっつくように玄関扉への体当たりを繰り返しています。
2013-08-11 02:16:20「へっへっへ、女子高生の放尿シーンだぜ」。なんと、近隣住民が彼女の放尿シーンを撮影し、LINEにアップしていたのです。さらに男はスマホを構え続けます。次は動画をアップしyoutubeに投稿するつもりに違いありません。
2013-08-11 02:12:19