- hirorin64perc
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1000フォロワー記念に…ファーストキスの話でもすっか。って、そんないい話じゃねーから、聞き流してくれよww
2013-08-15 18:22:52俺が中学まで野球やってたって話はしたよな?ずっとキャッチャーだったんだ。で、ピッチャーが俺の幼馴染で、ダイスケって奴。俺んちの裏に公園があって、その公園挟んだ向こう側の、マンションの最上階に住んでんだ。物心ついた時から仲よかったな。
2013-08-15 18:25:08で、うちの中学の野球部は弱かったけど、ダイスケはすげー豪腕ピッチャーで、野球名門高校がどこも目をつけるくらいだったんだよな。で、奴のおかげで、俺らが中3の時、たまたま全市大会の準準決勝までいったんだ。これに勝てば県大会に行ける、開校以来初のチャンスだった。
2013-08-15 18:28:01で、快挙ってことで、中学の吹部も応援にきたんだ。その吹部の中でユーフォニウムって当時なんだそりゃ?って思ってた楽器を吹いてたのが、 俺とダイスケの共通の幼馴染で、公園の入口んとこに家があった、レイナちゃんだったんだ。 お前吹部でUFOやってんだなって言ってよく怒られたなwww
2013-08-15 18:32:11レイナちゃんはな、AKBで言うと、 ぱるると、まゆゆと、さっしーを足して三で割って水で薄めたような顔してたんだ。 微妙だろ?ww でも、すごく明るくて愛嬌があって、 あと…胸がでかかったんだwww 俺吹部でレイナちゃんが吹いてる上半身くらいの銀の楽器がいつも気になってた。
2013-08-15 18:34:28レイナちゃんが真剣になって楽器構えてるとさ、 中坊にしてEかFくらいはあるんじゃないかって胸があの銀色の楽器に押し当てられて… 中学のいつからか、そのことばっかり考えるようになったんだ。エロい?ああそうさエロいさwwでも、胸のことはきっかけに過ぎなかったんだよな。
2013-08-15 18:37:54俺昔から思ってることあんま隠さないで言うタイプだから、ある日から「んだよおっぱい星人!」「うるせーデブ!」とか言い合いになってたけど、 やっぱ好きだったんだよな。 でいつからかやっぱり「おめー好きだわ」「いい女だよな」とか言い続けてたけど 「冗談ばっか言うな!」って相手にされず
2013-08-15 18:41:40で、準準決勝の日。試合前にダイスケが突然とんでもないこと言い出したんだ。 「俺、今日の試合勝って県大会行けたら、レイナに告白する」 ダイスケも好きだったって知らなかったんだよな。あっちはイケメン。絶対告れば成就するだろうな… 俺は軽く動揺してた。 そのままマウンドへ。
2013-08-15 18:45:39試合は九回まで進んで、先攻がうちの中学。3-2で勝ってた。ここを守れば県大会に行ける。試合が始まったら夢中だった。恋愛がどうのとか忘れてたんだ。 ワンアウトまで守り切ったところでダイスケの球が捕まった。相手の二番打者にヒットを打たれ、続け様に三番打者にも長打を打たれ同点。
2013-08-15 18:49:27初心者も含めて新一年生もだいぶん音が出るようになって、そろそろ合奏にも出る頃だろうけど、自信なさそうに吹いてたら上手にならないしサウンドもショボーンってなるぜ。出来るなりに自分の中で意を決して堂々と吹く。もちろん二年や三年もな。バンドのポテンシャルは関係ねえよ。前向きにいこうぜ。
2013-08-15 18:53:04延長決定、なおも、ランナーは三塁で、相手の四番打者。 相手チームの内野席角の吹部の応援の音が一層激しくなった。 うちの保護者、応援にきた人の声も大きくなった。 犠牲フライもあるかもしれない。 一塁も刺さないといけないかもしれない。 こんなところでプレッシャーかかるとは…
2013-08-15 18:54:58ダイスケが振りかぶった。 来い!どんな球でも受け止めちゃる! その時、相手チームの応援の音がトランペットやクラリネットの音じゃなくて、 トロンボーン以下の中低音の音中心になった。 一瞬頭の中をよぎったんだ。 あの銀色の楽器が… はっと我に返った時、 手元から球がこぼれた。
2013-08-15 18:58:10明らかに低めの球だった。 ダイスケの得意な勝負球だったはずだった。 こぼれた玉を俺が反射的に追いかける間に、相手チームの三塁ランナーがホームベースを踏んだ。 まさかのサヨナラ負けだった。 頭が真っ白になってた。 うなだれる内野、泣きじゃくる外野、その場に立ち尽くす俺とダイスケ。
2013-08-15 19:00:54我を忘れながら、呆然とする奴、泣き崩れる奴、いろんな表情をみながら俺の中3の夏は終わった。 で、帰ろうとしていたところに、レイナちゃんが来たんだ。 「ダイスケ君、話がある。」 何となく予感はしてた。 ダイスケは勝ったら告るって言ってた。 でも、レイナちゃん側からだ。告白だろう
2013-08-15 19:03:16俺は、球場の影で二人のやり取りを、黙って聞いていた。 「私ね、前からずっとダイスケ君のことが…」 「それ以上言うな。 今日の俺にはお前からその言葉を聞く権利はない。」 はっと俺も我に返った。 そうだ、奴は「勝ったら」と言っていた… 「俺が高校で夢を叶えたら、俺から言う」
2013-08-15 19:07:20ダイスケは推薦の誘いを全部断った。で、今俺がいる高校に推薦で合格した。頭よかったからな。レイナちゃんも推薦で合格した。 俺は馬鹿だったから、推薦基準をクリア出来ず、ツーランク下の高校をすすめられたけど、必死で勉強した。 で、今の高校に合格したんだ。 でも俺、取られたくない。
2013-08-15 19:10:52そして、俺の下衆な感情で中学のチームを県に連れていけなかった。野球は忘れようと思った。 追いかけていったつもりはなかった。 気がついたら、吹部の練習場所にいたんだ。 そして、「何してんの?」って横から怪訝そうな顔で聞くレイナちゃんの横でこう言ったんだ。
2013-08-15 19:13:53「何でもいいから、でかいの担当させて下さい」 そして、チューバに決まったんだ。 「ここの吹部がどんだけ厳しいか知ってて入るつもりなの?あんたなんか一週間持たないから」 そう言われた。 マウスピースでちょうちょとチューリップが吹けたら楽器やるって言われた。 五日でクリアした
2013-08-15 19:17:31ダイスケは、一年生にしてエースピッチャーとして活躍しはじめていた。さすがに夏はベスト16に入るのがやっとだったんだ。 チャンスが訪れたのは、秋季大会の地方大会だった。県でベスト4に勝ち残り、秋季大会、この試合を決めれば春の選抜間違いなしってところまで勝ち上がった。
2013-08-15 19:20:31俺はいつの間にか、金管八重奏の「文明開化の鐘」でアンコンのメンバーに選ばれるところまで上達…というか、選ばれた。吹けるようになっていた。レイナちゃんもユーフォでメンバーだった。 先生は、アンコンメンバーはホール練の日だから残りで全校応援に行く、と言っていた。先輩も燃えていた。
2013-08-15 19:23:48ホール練の会場で、俺は気が気じゃなかった。思わず、ロビーのテレビをつけてしまった。 七回表、隣の県の強豪私立に、6-4でリード。 いてもたってもいられなかった。 「先輩!すみません!この分は徹夜で練習して埋め合わせします、レイナ、いくぞ!」 楽器を持ってタクシーを止めた。
2013-08-15 19:26:49タクシーに乗り込もうとした。 ふと、横にスーツケースサイズの楽器のケースが見えた。 レイナちゃんだった。 「スタジアムまでお願いします!」 「レイナ、お前いいのか?!」 「先輩や先生には、私も一緒に叱られるから。」 無言になるタクシー。
2013-08-15 19:29:33「あんた、私に中学の時ずっと好きって言ってたよね?」 「うん」 「あれどこまで本気だったの?」 「…全部本気だったに決まってるだろ」 「今、自分の気持ちがわからない。あんたがこんなところまで吹部でついてくると思わなかった。私…今からその気持ちを確かめに行く。」 スタジアムに着いた
2013-08-15 19:32:22スタジアムに着いた時には九回表、ここを守りきったら選抜確実の勝利、ってところだった。俺とレイナちゃんがホール練を飛び出してきたことに顧問も部員も驚いていた。 あの時と同じ状況だ。 ランナーがいる。 うちの学校のキャッチャーを信じてくれ… ここで勝てば楽器を持ってきた意味はない
2013-08-15 19:38:09それでも、レイナちゃんも俺も楽器からケースを取り出した。 ツーアウトランナーは二塁。 ダイスケが振りかぶった。 一瞬、時が止まる。 あの時と同じ、低めの球… バットの音がこだました。 やられたか… 天を仰いだ。 違う、これは長打でもないゴロコースでもない。 打ち上げた。
2013-08-15 19:42:01