八月のおはなし。

泥濘ちゃん @quagmiry_bot

しつじさんが来て、そしたらごしゅじんが出ていっちゃった。おしごとだって。 ねてていいよって言われたけどおきちゃった。先生も起きてるかな。

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せんせい、とおへやのドアを小さくノックしたら、すぐにあけてくれた。先生のごしゅじんも、いっしょにでかけちゃったみたい。

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いっしょにねていい？ってきいたら、いいよって。先生といっしょに、先生のごしゅじんのベッド。おふとんを頭からかぶったら、なんだか楽しくておかしい。先生もわらってる。ないしょのお話をするのにぴったりだねって。

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ないしょのお話ってどんなお話？ぼくがそう聞いたら、先生が、君は愛されてると思う？　って。

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ぼくはごしゅじんが大好きだし、ごしゅじんもぼくのこと大好きだよ。そう言ったら、先生は、君のご主人はお屋敷の皆の事が大好きだね。執事さんや、兄弟や、僕のことまで、って。一人じめしたくならない？　って。

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ぼくのごしゅじんは、おやしきのみーんなが好き。ぼくも、きょうだいも、しつじさんも、先生も、ドクターも。キッチンのみんなも、おにわのお花をさかせてくれるひとたちも。

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でもね、その好きはちょっとずつちがうの。ごしゅじんがごしゅじんのかぞくを見てると、ふわふわしてあったかくなってにこにこするの。しつじさんを見てると、体のちからがぬけて安心するの。

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ぼくといるときのごしゅじんは、あったかくて、ふわふわしてて、安心して、でもちょっとドキドキしてるの。それがちがうの。

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先生は、先生のごしゅじんといると、ふわふわドキドキしない？　ぼくがそう聞いたら、先生は大きな手でちょっとかおをかくして、うん、ってうなずいた。内緒だよって。二人のひみつ。おかしいね。

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先生のごしゅじんは、先生のこと好き？　って聞いたら、先生はちょっとこまったかおになった。わかんないって。置いてもらってるからありがたいけど、って。

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先生はまだこまったかお。じゃあ、先生がないしょのお話をしてくれたから、ぼくもないしょのお話するね。

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ぼくね、ごしゅじんの赤ちゃんがほしいの。ごしゅじんみたいに金色のかみで、青い目の子。男の子でも女の子でもいい。ぼくも、どっちでもないし、どっちでもあるから。先生は、赤ちゃんほしい？

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ドクターに、赤ちゃんはどうしたら来てくれる？　って聞いたら、たくさん食べて、たくさんねて、よく歩いて、いい日にやることやれって。でも、もうちょっと待ってろって。

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先生もぼくも赤ちゃんに来てほしいのに、なかなか来てくれないの。先生は毎日なかよししてるのにね、って言ったら、先生がまっかっかになった。

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ぼくとごしゅじんは毎日はしてないよ。だっこしてもらっただけでねちゃうもの。ぼくがだっこしてあげるときもあるよ。そのときはごしゅじんがねちゃうの。

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ベッドでおはようとおやすみのちゅーをするの。先生もちゅーしよう。そしたら来てくれるかも。ちゅーしていい？

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ちゅー。うふふ。おやすみ先生。

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先生うしろむいちゃった。耳までまっかだ。ないしょのお話はこれでおしまい。うしろからぎゅっとして、ぼくもおやすみ。

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今日は、先生のごしゅじんのおたんじょうびだったの。朝ごはんのとき、先生がおたんじょうびおめでとうってちゅーしたの。そしたら、先生をつれておへやに帰っちゃったの。

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先生のごしゅじんだけおへやから出てきた。先生は？ってきいたら、寝てるって。入っていいって言うからノックしたけど、おへんじがないの。

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おへやにはいったら、おようふくもベッドもくちゃくちゃ。しつじさんがたいへんだ。先生どこ？

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先生おふろでねてた。つかれてるみたい。目のまわりがまっかっか。大丈夫？ってきいても、起きないの。のぼせちゃう。

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そうだ、しつじさんにたすけてもらおう。それと先生のことあらってあげないと。先生のおせわをするのって、なんだかたのしい。