中選挙区制で果たして死票は無くなるのか？

Ovoron @ovoron

死票というのを投じられたのにも関わらず当選に生かされなかったと定義した場合。果たして小選挙区制と中選挙区制、どちらの方が死票は多いのだろうか。一般的な感覚でいうと前者と答える人が多いが、そこには大きな見落としがある。

Ovoron @ovoron

小選挙区制に於ける死票というのは通常、落選者の票数とほぼ合致するが、中選挙区制の場合、一つの選挙区で複数の候補者が当選する。当然ながら当選者達の得票数はそれぞれ異なるが、にも関わらずトップ当選した人も最下位当選も一つの議席しか獲得できない。

Ovoron @ovoron

最下位当選の候補者の死票率はゼロであるが、トップ当選した候補者の得票数から最下位当選の得票数の差を計算した場合、その票数は果たして当選に生かされた票と言えるだろうか？あくまで当選順位に影響を与えるだけであり、当選に関わった票ではない。

Ovoron @ovoron

小選挙区制でも二位得票数+1以上の得票は死票といえるが、死票は悪とされる理由である民意が反映されないというものに該当しない。小選挙区制に於いては議席は一つしか出せないのだから多数派となって実際に議席が出される以上、反映していないとは言いがたいだろう。

Ovoron @ovoron

しかし中選挙区に於けるこのタイプの死票は、特にトップ当選が最下位にダブルスコア、トリプルスコアを付けた場合顕著になる。トップ当選者の票を二等分或いは三等分にした場合、もう一つ議席を作ることができたし、独占できる可能性もあったのだ。この欠点は地方選挙に於いて突出している。

Ovoron @ovoron

先の参議選挙神奈川選挙区では、トップ当選は自民党島村の1,130,652票であった。 そして最下位当選は民主党牧山の461,006票。この差は669,646票であり牧山の票数を上回る。 つまり自民党は神奈川県で実質二議席獲得できる可能性があり、民主党はゼロ議席だったかもしれない。

Ovoron @ovoron

神奈川選挙区で当選したが生かされなかった票は合計で1,117,503票となり、落選者の死票と合わせると2,083,113票、この選挙で候補者に投じられた票は3,927,137票であり死票率を計算してみると53％となる。

Ovoron @ovoron

死票の大小はここでは判断できないが、少なくとも中選挙区では死票が少ないという意見は相当疑問的なものにならざるを得ない。しかしながら小選挙区制に於いても死票がある事実は変わらず、選挙区維持ならば選好投票制、さもなければ比例代表制にしなければ死票問題を本格的に解決する術は無いだろう。