稲川淳二の「つぶやき怪談」（2013/8/28）

稲川淳二 @Junji_Inagawa

皆さん、お待たせしました。「つぶやき怪談」が始まります。節電のために、部屋の明かりを消して、怖ーい噺で楽しんで下さい。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

どうぞ、お時間がありましたら、遊びに来て下さいね。ゆったりと、くつろいで、お付き合いいただければと思います。楽しみにして下さいね。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

こんばんは、稲川淳二です。お待たせしましたねぇ、それでは、そろそろ始めましょうか。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

稲川淳二の「つぶやき怪談」、怖・楽しい時間を、共有しましょう。何が起こっても、責任はとれませんけど。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

奈良に住む私の知人で、山口さんという三十代の独身男性なんですが、この人が、多少、霊感の働く人で、時々妙な体験をする。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

そんな事から、他人からも相談を受ける事があるんですね。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

これもそんな話なんですが、山口さんのところに、昔からの友人で、奈良市内に住む、有賀さんという人から電話がかかってきて、

稲川淳二 @Junji_Inagawa

「・・・・気になる事があってなァ、俺んところ、ちょっと変な事になってんだよ」と、相談してきた。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

それは有賀さんが、仕事の都合で、同じ奈良市内のアパートに引っ越して、間も無く、全く初対面の若い女が訪ねて来て、

稲川淳二 @Junji_Inagawa

「すいませんが、私あての郵送物が、手違いで、こちらに配送されてしまったようなので、恐れ入りますが、もし届きましたら、預かっておいていただけないでしょうか？　必ずいただきにまいりますから、よろしくお願い致します」

稲川淳二 @Junji_Inagawa

と言って帰って行った。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

まあ預かっておくだけなんで、どういった郵送物か聞かなかったし、女は名前を名乗ったようなんですが、聞き逃してしまったらしい。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

ただ相手が若い女なんで、あえて名前も連絡先も聞かなかった。どうせ、その郵送物が届けば名前もわかる事ですから。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

さて、それから二日程して、郵送物が届いた。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

それは厚みのある封筒で、あて先が、このアパートで自分の部屋になっていて、差出し人も、受取人も『川本紗代子』となっている。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

どうやら外国から自分あてに、送ったものらしい。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

という事は、あの女は、この部屋の前の住人で、手違いというのは、間違って、ここの住所を書いてしまったという事らしい。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

（名前もわかったし、受取りに来たら、話でもしてみようかな。それにしても封筒の中身は何だろう？）

稲川淳二 @Junji_Inagawa

と、何となく気になった。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

ところが、三日、四日と経っても、女は、一向に受取りに来ない、そうして、七日が過ぎた。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

自分が、いつもアパートにいる訳にはいかないし、届いた事を知らせようにも、連絡先がわからない。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

で、しかたなく、以前、このアパートにいたのなら、何かわかるだろうと、早速、大家さんのところへ行って、事の経緯を話して封筒を見せると、大家さんが、手に取って、いぶかし気に、あて名と差出し人に目をやった。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

と、見る見るその顔から血の気が引いてゆくのが見て取れた。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

ひどく驚いている様子に、（これは何かあるな）と感じた。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

「これ、この人、どんな人でした？」と聞くんで、