バニーちゃんが告白する話

※注意:両片想い/コテバニ/バニかわ/少女漫画風味/です
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小話 @ryokurintei

1.バディ再結成を祝い虎徹さんの家で飲み明かした夜。酔い潰れた虎徹さんに綿毛布をそっと掛けると、僕は彼の寝ているソファに持たれかかった。静かな部屋に健やかな寝息だけが聞こえる。視線をあげれば幸せそうな寝顔。その顔をみつめて小さく囁いた。「虎徹さん、僕の話聞いて貰っていいですか」

2013-09-01 04:08:06
小話 @ryokurintei

2.「貴方が、…好きです、虎徹さん。僕は貴方が好きなんです。バディでなく、友人としてではなく、ただ1人の人として貴方が。…寝ている時に告白しても意味はないってわかってます。でも、起きている時にいうつもりはありませんから。僕達はバディで、同僚で。この気持ちは一生僕だけの秘密です」

2013-09-01 04:11:36
小話 @ryokurintei

3.「貴方にとっては迷惑なだけでしょう。気持ち悪いでしょ?だから、絶対言いません。嫌われたくはないんだ。貴方が手に入らないのはわかっている。貴方の隣に立つのが僕だということだけで十分です」でも、この恋心が無かった事には出来ない。だから、せめて今だけ、この想いを貴方に。

2013-09-01 05:10:33
小話 @ryokurintei

4.癖のある髪も、浅黒い肌も。手を伸ばせば触れる距離。でもそ の距離は、あまりに近くてあまりに遠い。声が聞けるだけで、笑顔が向けられるだけで良かったのに。子どもの様にもっともっとと欲しがって。いつの間にこんなに欲深くなっていたのかと、自分でも驚く。「朝になったら忘れて下さい」

2013-09-01 05:11:00
小話 @ryokurintei

5.付け加えて思わず苦笑した。王様の耳はロバの耳。聞かれる心配がないからできる告白なのに、忘れてくれも何もないだろう。ーバカだな。自嘲してグラスに手を伸ばしたその時、柔らかく自分を呼ぶ声が聞こえた。「ばーにぃ」「はい」条件反射で返事をし、…数秒の空白の後恐ろしい勢いで振り向いた。

2013-09-01 05:11:10
小話 @ryokurintei

6.振り向いた先で優しく唇が食まれる。「…んっ!」「何を、忘れんの?」間近に見えた琥珀の瞳が、三日月の形に笑う。「こ、虎徹さん?!」…ちょっと待て、今何がおこった?!混乱して後ろに逃げようとした身体は、ソファから伸びた腕に呆気なく捕まえられた。「離して下さい!」「やだね」

2013-09-01 05:11:47
小話 @ryokurintei

7.絡みつく腕は寝起きとは思えない力強さだ。「こら、暴れんなって!」暴れたくもなる。コッチは顔から火が出る思いなのだ。叶う事なら、能力発動して今すぐこの腕の中から逃げたい。「…いつから起きてたんですか」「んー、毛布かけてくれた辺りから?」「ー!ー!」「っだ!逃げんなっての!」

2013-09-01 13:32:28
小話 @ryokurintei

8.それは、最初から全部聞かれてたって事じゃないか!絶対知られるはずのない事だったのに。知られてはいけない事だったのに。「バニー?」「…気持ち悪いでしょ?」「何が?」きょとんとした顔が憎らしくて、涙の滲んだ眼で睨みつけた。どうせならこんな形じゃなくてきちんと告白したかった。

2013-09-01 13:54:40
小話 @ryokurintei

9.「ばーにぃ」 虎徹さんの指が涙を拭う。大きな手はそのまま頬を撫でる。呼ぶ声がいつもより優しく聴こえるのは気のせいだ。「…忘れて下さい。お願いだから」でないと、僕はバディにも戻れない。何もなかったフリで隣に立つなんて器用な真似などできはしない。

2013-09-01 14:40:56
小話 @ryokurintei

10.「忘れろって何を?」「だから、僕がッ…!」カッとなって視線を上げた先にあったのは、なぜかとても嬉しそうな顔だった。その顔に勢いを削がれて身体から力が抜ける。「バニー、もっかい言って?」間近に覗き込まれ、睦言の様に囁かれた。「な、んで、そんな顔…」

2013-09-01 15:46:47
小話 @ryokurintei

11.戸惑う僕の額にキスが落ちる。眦に溜まった涙も吸い取られ、再び唇が優しく重なった。「嫌だったらこんな事しねえよ」だから、バニー。目元をうっすら染めてねだられて、堪えきれずに腕を伸ばした。「虎徹さん、好き、です」「…うん」「好きです、虎徹さん、…好き」「うん。うん、バニー」

2013-09-01 16:47:25
小話 @ryokurintei

12.うわ言のように繰り返す告白を、虎徹さんは小さく相槌を打ちながら幸せそうに聞いていた。顔中に降る柔らかなキスも、髪を撫でる大きな手も、僕を抱き締める温かな身体も。届かないと思ったもの全て、今だけは僕のもの。コトリと耳元に蕩ける様な甘い声が落ちた。「朝になっても忘れねえから」

2013-09-01 16:47:37
小話 @ryokurintei

終わり。お付き合いありがとうございました!

2013-09-01 16:47:54