#同題夏IR(イチルキ)まとめ

小錫@ビターチョコレート解禁 @cacao_witch

とろりとした暑気が揺蕩う部屋で書類の山に埋もれるようにしながら独りで昼食を摂る。静けさに包まれながら脳裏に浮かぶのは現世での昼食風景。忙しなく、楽しく、毎日が祭りのようだった。背に受けた陽の光と、隣にあった橙に思いを馳せながら、温くなった茶を啜った。／祭りのあと #同題夏IR

ツナ缶 @tsunakan_r

夏の日の出は早い。だがあれが食べたかったこれがやりたかっただとかとぎゃあぎゃあ言い争う二人はまだ気づいていない。「その辺にしておいたらどうだい。もう夜明けだ、魂魄の抜けた体を転がしておいたら騒ぎになる」まったく、祭りよりも騒がしい二人だ。／祭りのあと #同題夏IR

奈都 @natsu_nature

「いつまでそうしてんだよ？浴衣だって態々新調したってぇのに。やっぱり行けばよかった～なんて、祭りの終わったあとで悔やんだって、後の祭になっちまうんだから。つまらねぇ意地なんて張ってねぇでさっさと行けよ。一護、待ってるぜ」赤髪の幼馴染が背中を押してくれた／祭りのあと #同題夏IR

アンコ‼! @ankobiyori

おかしい、着物姿なんて見慣れてるはずなのに。漆黒が鮮やかな花模様になった、ただそれだけなのに目が離せないでいる。身体が熱いのはきっと祭りの喧騒のせいだ。もし、もしも祭りの後この熱が冷めずにいたら、その熱に付ける名は…。／祭りのあと #同題夏IR

みお＠低迷中 @divagalaxy

どうかしてる。浴衣姿に動揺してたからか、啓吾の鬱陶しいテンションに当てられたからか、夜道の風がやけに熱っぽかったからか。死神様は澄ました様子で前を行く。伸ばした指先が肩に届くまで、あと僅か。届いてしまったら最後、もう元には戻れない／祭りのあと #同題夏IR

泉海よう（ミアモーレ田中。） @tana_kanaka

いないのに。いないけど。でも。少しだけ、ちょっとだけ、な。誘ってやれば良かったって。あの花火はお前の目に、どんな色で映るんだろうって。後悔も、まだ、しないって。助けるまでは、前だけをって。決めてたのに。それにひどく似たものが、喉の奥へと、おちていった。 ／祭りのあと #同題夏IR

千古 @coro_odwat

去年はいなかった。今年は、たぶん、誘おうと思えば、誘えたんだろうと思う。できなかったのは、来ないことが分かっていたからだろうか。　 ／祭りのあと #同題夏IR

こいでかな @kana_koide

全部が終わったら、消えるのだと思っていた。逝くのだと信じていた。「残念だったな」眉を顰めた彼は、最早こどもではない。なのに清も濁も飲み込んで、私を抱きしめて離さない。「祭りは、終わったんだ」だから一緒に帰るぞと屈託なく笑う橙は、この世で唯一の、私の男だ。／祭りのあと #同題夏IR

泉海よう（ミアモーレ田中。） @tana_kanaka

灰色と影と、牢。それだけ。空腹も睡眠欲も、何もなかった。何もかも諦めていくその中で、一つだけ。ひかったもの。もう、終わってしまっただろうか。花火はもう消えただろうか。見ることは叶わなかった。呟いた、「たまや」は、醜く掠れ、ひからず消えた。／祭りのあと #同題夏IR

沙耶 @windstille_

祭が終わった後はいつも独特の寂しさがあるけれど、胸が締め付けられるように痛むのは初めてだった。 「来年、また行けばいいだろ」 　彼の言葉はとても嬉しかったけれど、それに頷けないのが辛かった。きっと彼は分かっていたのだろう。気づいた時には既に　／祭りのあと #同題夏IR

コルト @colt_plus_

「一護、どういうことだ？屋台が店じまいを始めたぞ」「そりゃ、もうこんな時間だしな」「たわけ！まだまだ『くれーぷ』も『ちょこばなな』も食べるつもりだったのだぞ！」「そんなこと祭りのあとに言ったって、後の祭りだろ」「は？」「あ」「いち、」「忘れてくれ」 ／祭りのあと #同題夏IR

KNM @KANAME8_TB

あと数日で、三ヶ月かそこら前の日常に戻る。冷房のきいた涼しい部屋でだらだら今日の分の課題をこなし、ばたりとベッドに仰向けに倒れ込んだ。「だーかーら！無理矢理手ェ引っ張って連れてくりゃ良かったのによー」「……うるせぇ」あーあ、全部終わっちまった。／祭りのあと #同題夏IR

かたり @katari_sa

からから。こん。からから。「楽しかったか？」「うむ」「花火きれーだったな」「うむ」「浴衣似合わねーな」「うむ」「うむ、じゃねえよ。嘘だよ。似合うよ」「うむ」「なんだお前は」こん。「……なんだよ」「……」「おい」「また来ような」「……ああ、いつかまた、な」／祭りのあと #同題夏IR

同題イチルキ @14IR

8/5のお題は「かき氷シロップ」です。【／かき氷シロップ #同題夏IR 】で夏イチルキ！

風花 @kazahana87

「妹が作ってた」ん、と押し付ける様に渡された硝子の器。冷たくてサクサクでふわふわで。苺風味だろうか、甘い。恐らく押入の中で暑さに辟易していた面倒極まりない居候の為。優し過ぎる味だった。口を開いたら余計な何かが溢れそうで、ありがとうさえ、言えなかった。／かき氷シロップ #同題夏IR

ツナ缶 @tsunakan_r

しゃくしゃくと夢中でかき氷を口に運ぶ彼女の真っ赤に染まった唇は甘いのだろうかと、夏の暑さに融かされた頭で考える。／かき氷シロップ #同題夏IR

天麻 @Iolite_tenma

「一護、一口！」さっきからそればっかり言うルキアにかき氷を掬って食わせてやる。ちらりと見えた舌はメロンの緑とイチゴの赤が混じって変な色だ。「ルキア、一口」口を開けて待つと赤い氷が運ばれてきた。／かき氷シロップ #同題夏IR

奈都 @natsu_nature

いちごシロップのかかったかき氷を見ながら呟く「やはりおれんじ味も捨て難かったな‥」すると「食べるか？」の声「一護のは、れもん味であろう？」目の前が橙色でいっぱいになる。と同時に。‥ふわり‥　唇から。黄色の、ほんのりとした甘さと冷たさが口の中に広がった／かき氷シロップ #同題夏IR

沙耶 @windstille_

「こんなものでかき氷を作れるのか、面白いな」「削ったの俺だけどな。味選べ、親父が張り切ってシロップ大量に買ってきたから選び放題だけど」「いちご」「…お前本当苺味好きだよな」「…。この鈍感め」「何か言ったか？」「別に」好きなのは別のいちごなのだが。／かき氷シロップ #同題夏IR

KNM @KANAME8_TB

「ルキアちゃん、おねがーい♪」 「では。……初めの舞、月白！」 「あ、そんじゃ啓吾達も呼ぶか。冷蔵庫にまだあったんじゃね？去年の、／かき氷シロップ #同題夏IR

小錫@ビターチョコレート解禁 @cacao_witch

白い腕に落ちた一雫。氷混じりの赤いそれがするすると滑り落ちていくのが、やけにゆっくりに見えた。舐めとろうと口を寄せるのを寸でのところで止めた。融けた雫が滴るのを見て勿体無いとぼやく女を阿呆と咎めた。次そんな真似されたらたぶん、こっちの理性が融ける。／かき氷シロップ #同題夏IR

アンコ‼! @ankobiyori

欲張り過ぎたシロップは氷を虹色に彩る処かどす黒い塊にしてしまった。 「ほら、言わんこっちゃねー。最初っからいちごにしとけって言っただろう？」 納得出来ずに唸っていた彼女がこくりと素直に肯いた。 そうそう素直にいつも「いちご」を選んどけと心の中で念押した/氷ｼﾛｯﾌﾟ　#同題夏IR

nori @no_WonW

開いた口から見えたのはやけに鮮やかな赤。動揺を悟られない様に文句を言いながら氷の欠片を一掬い。「ブルーハワイも美味いな」 無邪気な君はとても可愛く、そして同時に、恨めしい。だってほらまた「だが私はいちごが好きだな」なんて言って俺の心を掻き乱すのだから／かき氷シロップ #同題夏IR

泉海よう（ミアモーレ田中。） @tana_kanaka

「この味が、いちご、が、一番好きだ」……お前それ、わざと言ってんの？ ／かき氷シロップ #同題夏IR

泉海よう（ミアモーレ田中。） @tana_kanaka

こちらに来て知った、色とりどりの、それ。どこか偽物のような色だけれど、それは笑むほど甘く、とても優しい。顔を上げたさき、色を教えてくれた張本人と目が合えば、それだけで顔は勝手に笑む。まるで、この優しい味のような、「ーなぁ、一護。私は、この味が、」 ／かき氷シロップ #同題夏IR