4500円のトリップ

高木敏光 @TAKAGISM

福岡出身タクシーの運転手、おもしろすぎた。２年以内に芥川賞を獲るプランに向けて、段取りをしているらしい。4,500円のトリップ。ちょっと高かった。

高木敏光 @TAKAGISM

昨夜というか今朝、タクシーの信号待ちで、イマドキ？　と思ったけど、電話ボックスの中で泣いている女の子を見つけたので、車を止めてもらって話しかけると、ドメスティックバイオレンスの被害者だった。

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話を聞いてやろうと、コーヒーの飲めるところを捜そうとしたら、それより腹が減ってるというので、ファミレスかなと思ったら、牛丼が食いたいというので、なぜかと。理由なんてないんだな。

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タクシーを待たせておくのもナニというか、走っていないと稼ぎにならないだろうから、ここで精算するかそれともいっしょに食いますかと聞いたら、食うというので、三人で日高屋。まだ夜は明けていなく、低温な気温。

高木敏光 @TAKAGISM

暴力の家に帰すのもどうかと思ったが、それしかないのな。警察に連れて行くほど過激なことや怪我の痕跡があったわけでもなく。夫婦げんか以上・殺人以下のゾーンに、いろんな暴力があるんだな。西早稲田の、昔住んでいたあたりのアパートに送り届け、10分だけ下で様子を見ている約束にした。

高木敏光 @TAKAGISM

昨夜というか今朝、タクシーの信号待ちで、イマドキ？　と思ったけど、電話ボックスの中で泣いている女の子を見つけたので、車を止めてもらって話しかけると、ドメスティックバイオレンスの被害者だった。

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その部屋にそら寒い蛍光灯の明かりがついてから10分、タクシードライバーと私は、きっかり待っていた。エンジンを切り、窓を開けて、耳を澄ませて。

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ファミマの前で車を停めてもらい、ケータイだけ持って車を出て、手当たり次第のチョコレートを７つくらい買った。雑誌コーナーをゆっくり見るほど図太くないので、チョコ以外には缶コーヒーを買った。なんとなく、ホットを選んだ。自分では缶コーヒーは飲まないので、ドライバーにやった。

高木敏光 @TAKAGISM

ドライバーは「今夜は十分稼いだので、メーターを止めて、都内を流しながら文学の話をしよう」と真顔で言った。そんなに眠くもなかったが「そういうのはまたにしよう」と言って、うちの近くで降りた。近くというのは、一方通行で入れないだけ。

高木敏光 @TAKAGISM

なんとなく、気持ちの収まりの悪い朝で、路上で煙草を吸ったが、マズイ。２０年前に、まるでフシギに同じように、電話ボックスで女の子を拾ったのを思い出した。白く柔らかそうな腕に、指の跡がついていたんだった。知的なはずなのに、説明がヘタな子っている。そういう感じの子だった。

高木敏光 @TAKAGISM

２０年前の時は、お金が１００円以下くらいしかなく、終夜営業のレストランも無かったので、朝ぼらけの大学の、自分とは縁もゆかりもない学部の、雨風しのげるような回廊のようなところへ連れてったんだった。若者だけがくぐり抜けられるような、柵を超えて。水飲み機械で水を飲んだ。うまかった。

高木敏光 @TAKAGISM

思えば政経学部だったんだが、ベンチに座って話してると、「君らナニ？」と、やたらと目に眩しいブルーの制服を着た警備員がやってきた。「二年生です」とか適当を言うと「朝まで宿題か」と言うので「はい、まあ」と言うと、満足そうに去っていった警備員。

高木敏光 @TAKAGISM

彼女の男は、これもウソみたいな話なんだが、歌舞伎町の違法カジノのボウヤだという。で、暴力っていうのは言葉の暴力だという。それは心当たりがあったので、言葉の暴力を投げかけてみると、「ふふっ」と、かるくあしらわれ、腕相撲にでも負けたような、うんざりとしらけた気持ちになった。

高木敏光 @TAKAGISM

８時を過ぎたら、学生が入ってきた。僕は22歳で、その子は19歳だった。「私も大学に入ろうかな。入れるかな」と言うので、「それは簡単なことだろ」と言った。彼女は、言ってしまってから、自分が言ったことの面白くなさに気づいたようで、腕のあざを店ながら「大きい手でしょ」と言った。

高木敏光 @TAKAGISM

ともあれ、昨夜の子は、牛丼ではなく、味噌ラーメンを食った。ほほに、嫌な感じの擦り傷はあったが、さほど危険な感じでもなく。タクシードライバーと僕も、その件については、ナニも話さなかった。

高木敏光 @TAKAGISM

ぼくが食ったのは、普通のラーメンで、ドライバーは、野菜たっぷりタンメンを食っていた。