すらすらわかる消費税問題(その5)。

税率引き上げと仕入税額控除のお話。
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すらたろう @sura_taro

さて、「消費増税で派遣会社に支払う消費税が企業収益に与える影響は・・」というのを見かけたので少々解説してみましょう

2013-10-13 17:22:17
すらたろう @sura_taro

派遣先(製造メーカーと例示します)が派遣会社に支払う派遣料は、人件費ではありませんので消費税法上の課税仕入れに該当します。支払った消費税は売上時に預かった消費税から控除できます

2013-10-13 17:24:50
すらたろう @sura_taro

問題は、どのくらい控除できるかです。税法上、派遣社員が「課税売上業務のみ」に従事していれば、この人材派遣料に係る仕入税額は、その製造メーカーが大企業・中小企業であるか、課税売上高の多寡、課税売上割合に関わらず全額控除できます

2013-10-13 17:27:44
すらたろう @sura_taro

支払消費税が全額の税額控除の対象になれば、企業収益にはまったく影響を与えないわけです。

2013-10-13 17:28:54
すらたろう @sura_taro

課税売上業務(税法上は正確には「課税資産の譲渡等」といいます)には輸出免税業務も含まれますので、この派遣社員が輸出製品を製造しているラインに従事している場合も同じです

2013-10-13 17:30:15
すらたろう @sura_taro

一方、派遣社員が「課税資産の譲渡等」業務専業では無く、総務・経理部門などの間接業務に従事している場合はどうでしょうか。この場合は、仕入税額控除は100%とることができません。

2013-10-13 17:33:19
すらたろう @sura_taro

課税売上高が年間5億円以上、または課税売上割合が95%以上の場合は、総務・経理部門などの売上に直接対応しない派遣社員に係る支払消費税は、課税売上割合までしか控除できず、控除対象外は企業会計上の費用(損金)として処理されます

2013-10-13 17:35:01
すらたろう @sura_taro

消費税は、「経済活動に中立」という建前(税制改革法。昭和63年)がありますので、このように課税売上業務がほとんどの場合は企業会計にはほぼ影響を与えない作りになっています。しかし、問題は例外的に認められている「非課税」です

2013-10-13 17:38:09
すらたろう @sura_taro

非課税とされているのは、土地の譲渡・貸付、金融取引、医療・福祉・教育などです。土地や金融取引は「消費では無いので性格上、非課税」医療・福祉・教育などは「社会政策上、非課税」とされています

2013-10-13 17:40:43
すらたろう @sura_taro

先ほどの例示の製造メーカーなどでも、大企業であればそれなりに余剰資金があり、金融取引を行っていて、消費税が非課税の売上もあるでしょう。このほか、社宅で社員から賃料を一部負担させている場合も非課税売上

2013-10-13 17:43:39
すらたろう @sura_taro

課税売上高が5億円未満、かつ課税売上割合95%以上の場合は非課税の存在は税額控除に影響を与えません。つまり企業会計上は税率引き上げは影響しない

2013-10-13 17:45:32
すらたろう @sura_taro

影響を与えないと言うと、「中小企業は税を転嫁できない!」と必ず反論を受けますが、今は税法上の技術上の規定のみの解説ということでご容赦願います

2013-10-13 17:47:36
すらたろう @sura_taro

税率引上げの影響により、派遣先と派遣元で価格交渉が行われて実質的に転嫁ができなかった!というのは消費税法の規定では論じることができませんのでお許しください。消費税法自体には転嫁の義務や価格決定にはいっさい、触れられておりません。

2013-10-13 17:54:15