茂木健一郎(@kenichiromogi)さんの連続ツイート第1069回「世界は、ちょいネタでできている」

脳科学者・茂木健一郎さんの10月20日の連続ツイート。 本日は、昨日から今日にかけて思ったこと。
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茂木健一郎 @kenichiromogi

連続ツイート第1069回をお届けします。文章は、その場で即興で書いています。本日は、昨日から今日にかけて思ったこと。

2013-10-20 06:13:54
茂木健一郎 @kenichiromogi

せち(1)昨日、園子温監督の『地獄でなぜ悪い』の上演後のトークが終わったあとの雑談で、へえっということを聞いた。この映画のラストシーンが大好きなのだけど、それって、偶然撮れたというのだ。詳細はネタバレになるから書かないけど、監督が「カット!」と言っても、カメラの人が癖で回し

2013-10-20 06:15:43
茂木健一郎 @kenichiromogi

せち(2)続ける。そのおかげで、あの奇跡のラストが撮れたというんだ。ぼくは、「へえ」と思って、「それってセレンディピティ」じゃん! と思った。話はここからさ。それで、打ち上げの時、水道橋博士が、「Brutusの餡特集が売れているらしい」と言って、ぼくは、「餡ですか!」と驚いた。

2013-10-20 06:16:51
茂木健一郎 @kenichiromogi

せち(3)それから始まった、なぜ、brutusの餡特集が売れているのかという問題についての、水道橋博士の講義がとても面白かったのだけれども、ここにはちょっと書けない。いずれにせよ、こしあん、つぶあん、赤毛のアン。今や、餡がわが国の大問題であることには疑いの余地がない。

2013-10-20 06:18:13
茂木健一郎 @kenichiromogi

せち(4)あれは僕が学生だった頃、サックスの坂田明さんのミジンコらぶが世間で話題になっていて、「何か表現したい!」という夢を抱いていたぼくと井上智陽(@eunoi)は深夜のファミリーレストランで連日熱く語り合う中、影響を受けて、「そうだ、こっぱミジンコだ!」と叫んだ。

2013-10-20 06:20:26
茂木健一郎 @kenichiromogi

せち(5)『こっぱミジンコ』というのは、ぼくが文章を、井上智陽がイラストを書いて出版しようとしていた本のタイトルで、今では詳細を忘れてしまったが、ミジンコ的世界観を熱く追求する画期的な企画(になるはずだった)。それが、いつの間にか立ち消えになったのは、青春の常道だろう。

2013-10-20 06:21:50
茂木健一郎 @kenichiromogi

せち(6)思うのだが、調子のいい時、情熱を燃やしていられる時ほど、「世界は、ちょいネタでできている」という命題に心から首肯できるのではないか。こしあんvsつぶあんなんてどうでもいい、ミジンコなんて勝手に泳いでいろ、とぷんぷんしている時は、大抵調子悪い。

2013-10-20 06:23:26
茂木健一郎 @kenichiromogi

せち(7)人生とは、時間とは、人間いかに生きるべきかという問題について鋭い洞察をしたかのカントだって、絶対にちょいネタにこだわる人だったに違いないと私はほぼ確信している。だって、そうでなければ、「あっ、カント先生が来た」と街の人が時計を合わせるなんてこともなかっただろう。

2013-10-20 06:24:39
茂木健一郎 @kenichiromogi

せち(8)学生で、やたらと「人生とは何ですか」と問い詰めてくるやつに与えるべきアドヴァイスは、「お前、そんなことよりも、つぶあんとこしあんのどっちがいいかね」なのかもしれない。音楽好きだったら、ギブソンとマーティンどっちがいいか、とか。あとやたらと国がどうのこうのと言うやつにも。

2013-10-20 06:26:07
茂木健一郎 @kenichiromogi

せち(9)話を戻すけど、園子温監督の『地獄でなぜ悪い』の感動のラストが、偶然撮れたもの、というところに、私はちょいネタの神さま降臨を見たい。神は細部に宿るというのは本当だ。つぶあんとこしあんの問題を追求することこそが、案外普遍へのホワイトホールだったりするわけだよ。

2013-10-20 06:27:51
茂木健一郎 @kenichiromogi

以上、連続ツイート第1069回「世界は、ちょいネタでできている」でした。

2013-10-20 06:28:30