配慮の薄い後輩伊月

配慮の薄い後輩伊月 @Entry2Hurt

「ああ、そのカギはコツがいるんだ」 慣れないカギにガチャガチャ手こずってると、後ろから話しかけられた。 小堀さんだ。 「森山から何か頼まれた？ 悪いな。いいよ。オレので開けるから」 小堀さんが慣れた手つきで森山先輩の家のドアを開けてくれたので、結局、借りたカギは使えなかった。

配慮の薄い後輩伊月 @Entry2Hurt

「…伊月さ、森山が今どこにいるか知ってるよな？ 何度も電話したんだけど繋がらなくて」 「森山先輩なら今ウチの布団で寝てますけど。http://t.co/q1Ss2eO42E」 「」

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意識の低い就活生だった森山bot @Entry2Heart

「これじゃないか？ 掃除してたとき見つけたんだ。提出期限が今日だったから気になって避けといた」 「ありがとうございます…」 わしの鷲の目()を使うまでもなく難なく目的のプリントは見つかった。通された部屋は以前の面影もないほど整理整頓されていて、就活スーツもどこかに仕舞われていた。

配慮の薄い後輩伊月 @Entry2Hurt

「…いつからこんなことやってるんすか」 「夏くらいから。オレは一足先に内定もらったし。ほら、あったろ。推薦で早く進路が決まった奴が奉仕活動つって学校の掃除したり。あんなカンジ。森山にはオレが悩んでるとき色々と世話になったし」 「……」

意識の低い就活生だった森山bot @Entry2Heart

「…最近の森山先輩、おかしいですよね」 「疲れてるみたいだな」 「それはどっちの？」 「就活、頑張りすぎちゃったんじゃないかな」 「…オレにはそうは見えませんでしたけど」 「ははっ。噂通り伊月は厳しいな。オレには森山なりに頑張ってるように見えたよ」 「先輩にそう言ったんですか」

意識の低い就活生だった森山bot @Entry2Heart

「ああ。オレもそう言ってもらえて楽になったから。http://t.co/1IZ1UQ7fPY」 オレはまだ写真撮ってセミナー行って自己分析シート書くくらいしかしてないから、就活のことはわからないけど、 内定もらってる小堀さんと、NNTの森山先輩じゃ、ぜんぜん違うんじゃないかな。

意識の低い就活生だった森山bot @Entry2Heart

“じゅうぶん頑張ったよ”なんて言われたら、人はもう二度と立ち上がれなくなってしまうんじゃないだろうか。 それだけは言わないようにしていた。でも、“頑張れ”と言う勇気もなかった。だから、今度こそは、

意識の低い就活生だった森山bot @Entry2Heart

昼休みに学食でウチから来た森山先輩と落ち合った。相変わらず食欲はないみたいだけど 「伊月お前…身長伸びた？ このシャツぴったりなんだが。お前に勝てる唯一のイケメン力が脅かさr 「大学入ってからは伸びてないです。それは試着しないで買っちゃったヤツです」 元気そうだから、まぁいっか。

意識の低い就活生だった森山bot @Entry2Heart

「どう、伊月？ サイズ合うか心配だったんだけど」 「大丈夫です、ぴったり！」 「うん、似合ってるよ」 「ありがとうございます」 「どういたしまして」

意識の低い就活生だった森山bot @Entry2Heart

きのう森山先輩にもらったアームスリーブをさっそく部活で付けてみた。イイカンジ！ もう筋肉も10代のときのようにムリはできないからな。あぁ無情。

意識の低い就活生だった森山bot @Entry2Heart

ちなみに鳴海の誕生日プレゼントは安定のエロ本でした… 森山先輩ふだん鳴海の何も話してないの？ まぁ、あの2人の日常会話は女子のフォロワーさんがいるアカウントで話せる話じゃないしな…

意識の低い就活生だった森山bot @Entry2Heart

ウチの大学はけっこう最近からバスケに力入れ始めたとこでさ。オレはそうゆう学校に縁があるのかな。去年、鳴海が入ってきてくれてインサイド強くなったし、監督は何やってた人かよく知らないけど、オレらみたいな微妙な選手を見つけてくるのが上手いと思う。あ、見かけはちょっと小堀さんに似てる！笑

意識の低い就活生だった森山bot @Entry2Heart

「笠松が愛用してたメーカーだから効果は確かだと思うぜ」 一重で目に光が入らないからかな、森山先輩はたまにどこを見てるかわからない。だいたいはカワイイ女の子を探してるんだけど、そうじゃなくて、焦点が定まってないような… オレも一重だけど、人からそんなふうに見えてるんだろうか。

意識の低い就活生だった森山bot @Entry2Heart

「はいはい、今日はオレ用事あって付き合えないし帰りますよ！」 森山先輩は性懲りもなく残っていこうとしていた。 「でも黄瀬が」 「最近そればっかですね」 近頃、森山先輩は狂ったようにドライブの練習ばかりしてる。けど、フォームもめちゃくちゃだしとてもイミがあるとは思えないなぁ…

意識の低い就活生だった森山bot @Entry2Heart

「大切な試合前なのに故障でもしたらどうするんですか。今年はベストメンバーなんですから主将が欠けたら困りますよ」 「それ去年も言ったよな。不吉だからやめてくれないか」 「言ったっけ？ すみません、故障はちょっと言い過ぎでしたね」 「そっちじゃなくて。“ベストメンバー”って方」

意識の低い就活生だった森山bot @Entry2Heart

「PGが“ベストメンバー”って言うと、どうしても思い出してさ。海常が初戦敗退した年あっただろ。あの日がちょうど笠松の誕生日でアイツ今も気にしてるんだ。昨日が試合じゃなくて良かったよ」 「…オレは笠松さんじゃないです」

意識の低い就活生だった森山bot @Entry2Heart

森山先輩のことは前々から気持ち悪いと思ってたけど、今日ほど気持ち悪いと思ったことはなかった。 “笠松が愛用してたメーカー”？ “お前のペースは早すぎる”？ “一緒にバスケやろーぜ”？ いったいいつからだ…？

意識の低い就活生だった森山bot @Entry2Heart

「それじゃっ！ 1日遅れたけど伊月の21才の誕生日にぃ?!」 コガが乾杯の音頭をとる。 「（「「「「ホッピー出すでー！」）」」」」 昨日せっかく浮かんだネタだから使ってもらった。日向が死ぬほど嫌そうな顔をしながらも言ってくれて嬉しかった。

意識の低い就活生だった森山bot @Entry2Heart

「平日なのにわざわざ集まってもらて悪いな」 「いいってみんな都内だし。ねっ、水戸部！」 水戸部が頷く。 …水戸部は就活の面接とかどうするんだろう。

意識の低い就活生だった森山bot @Entry2Heart

「日向、カントクは？」 「ジムの手伝いだとよ。人手足りねぇから駆り出されてる」 「オレ達が優勝してから相田スポーツジムお客さん増えちゃったもんな」 「プール広くなるんだろ！ 今度みんなで泳ぎに行こーぜ」 「ダァホ、季節考えろ木吉」 木吉が楽しく体動かせるなら真冬のプールも…うっ。

意識の低い就活生だった森山bot @Entry2Heart

「っはぁ〜…」 「どうしたコガ、てかデカいよ溜息」 「…これがつかずにいられるか。いいか、オレの嫌いなものが３つある(キリッ」 「あ、またなんか始まった？」 「鳩とアボカド。あとこれから始まる就活！ ニートほど最悪なもんはないよね…」 「言うな、テンション下がる」