エイプール小説1

唯朱さんがTwitter小説に挑戦! ウィンDと話すエイ・プール、話題はセレン・ヘイズのことであった。
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いしゅ @isyu13

霞スミカがどんな人物か、と問われれば迷いなくこう答えるだろう。「第一印象は最悪だった」と。

2013-11-24 12:13:45
いしゅ @isyu13

そうエイ・プールは昼食のパスタを口に運びつつ黙考した。そして旧フランスはノール県にある軍事飛行場。士官食堂で食事を共にするウィン・D・ファンションに向き直る。

2013-11-24 12:17:12
いしゅ @isyu13

「霞スミカにどういった興味が?」質問を質問で返すのはあまり褒められたことではないし、そしてこれは意地悪な問いであろうと確信しつつ、エイは言葉を投げかける。案の定、ウィン・Dは困ったように眉を下げた。

2013-11-24 12:20:22
いしゅ @isyu13

”この質問”を受けることは珍しくない。といっても、誰も彼もが霞スミカと名乗ったリンクスに興味がある訳でもない。この質問をエイにしてきた中のひとり曰く、彼女に対する世間話として打って付けなのだという。

2013-11-24 12:24:02
いしゅ @isyu13

かつてレオーネメカニカで勇名を馳せたリンクスである霞スミカがリンクスを辞め、欧州から去って既に十年になる。十年の時を遡り彼女を語れる人物は軍にも少数になった。そしてエイはその少数に身を置くことになるひとりだ。

2013-11-24 12:28:06
いしゅ @isyu13

そしてなにより、霞スミカと交友があったというのが大きい。エイ自身意識をしたことは無かったが、エイと霞スミカとの進行の深さは周りを驚かせる物であったらしい。ふたりともリンクスという、悪目立ちする存在であったのも関係しているかもしれない。

2013-11-24 12:33:05
いしゅ @isyu13

確かにエイも当時を振り返れば、霞スミカとの関係は決して悪くはなかっただろうと思える。「友人」と言って差し支えないほどには。

2013-11-24 12:39:01
いしゅ @isyu13

ただ、だからと言って、この質問に対する返答が変わる訳ではない。これはほんの世間話だと弁明するウィン・Dに対して、万感の思いを込め、エイは声を紡いだ。「第一印象は最悪だった」と。

2013-11-24 12:41:53
いしゅ @isyu13

ギニア湾という大湾が西アフリカにある。この湾は世界的な油田地帯であり、特にニジェール・デルタと呼ばれる三角州は膨大な石油埋蔵量を持つことで知られている。このニジェール・デルタを狙い、二十世紀以降多くの紛争が起きてきた。

2013-11-24 12:51:29
いしゅ @isyu13

国家、民族、様々な思惑が渦巻き、湧き出る石油を超えるのではないかという血を地面が吸ってきた地域である。そこにエイは企業の思惑を背負い足を踏み入れていた。

2013-11-24 12:59:09
いしゅ @isyu13

時は国家解体戦争が終結し、企業管理主義であるパックスエコノミカが成立したばかりの時分。まだ反企業主義者が各地で激しく抵抗している時代であった。当然、このギニア湾も例外ではなく、旧ナイジェリア連邦国軍残党を始めとした多くの反企業主義者が企業の治世を妨げていた。

2013-11-24 13:04:19
いしゅ @isyu13

特に湾に面する大都市であるラゴスは未だに企業軍が足を踏み入れる事の出来ない敵の一大拠点であり、エイがギニア湾に派兵されたのはこのラゴス攻略戦に参加する為であった。

2013-11-24 13:09:02
いしゅ @isyu13

エイは国家解体戦争に参加した事の無い第二世代リンクスと呼ばれる若いリンクスであった。しかし相手は大規模とはいえ残党軍。経験の少ないエイでも制圧に二日と掛からない筈であった。しかし、派兵より一か月過ぎた現在、企業軍は未だにラゴスへと足を踏み入れることが出来ず、戦線は膠着していた。

2013-11-24 13:15:18
いしゅ @isyu13

「前線で取る豪勢な食事か。優雅だな」その日、レオーネメカニカ陸軍が前線基地を構築したラゴス近郊の飛行場。士官食堂で遅めの昼食を取っていたエイは、真後ろから投げかけられた声に手を止めた。

2013-11-24 13:30:54
いしゅ @isyu13

振り返るとそこには濃紺の軍服を着た二十代後半と思わしき女性。無造作に肩上で切られたシルバーブロンドと眼光鋭い切れ長の瞳が印象的だった。そして軍服に付いているワッペンを目にし、エイは表情を険しい物にした。

2013-11-24 13:34:42
いしゅ @isyu13

「今の言葉は私にですか?特務隊少佐殿?」思わずきつめの声音になる。しかしそれも仕方ない。とエイは心の中で自己弁護する。「そうだ。お前に言った。レオーネメカニカ陸軍少佐相当官殿」涼しい顔でそう答える女性に、エイはますます顔を険しい物にした。

2013-11-24 13:43:35
いしゅ @isyu13

一体何の権限があって私の昼食を邪魔するのか。それもとても初対面の人間に接しているとは思えない嫌味を伴って。と、いっそ跳ね除けてしまいたいという衝動がふつふつと沸いてくるのを感じたが、残念ながら”その権限”が彼女にはあるのだと陰鬱とした気持ちを飲み込む。

2013-11-24 13:48:05
いしゅ @isyu13

そして一呼吸をおいてエイは「私に何か御用ですか?」と極めて業務めいた声音で女性に聞く。「ああ、用があるから声を掛けた」女性は当然だと言わんばかりに頷く。増々エイは反発したいという思いを強くした。そして止めだと言わんばかりに女性は言葉を続ける。

2013-11-24 13:54:06
いしゅ @isyu13

「インテリオル・ユニオン特別任務部隊権限だ。少々話を聞かせてもらう」人を見た目や第一印象で判断するなとは言うが、自分はこの女性が嫌いだ。そう心の中で溜め息を吐きつつエイはフォークを置いた。

2013-11-24 14:05:41

つづく?

いしゅ @isyu13

つーか久々に文書作って死にたくなって来たので「つづく」という必殺技を放ちます。

2013-11-24 14:18:48

少し書かれてからの感想

いしゅ @isyu13

構成無し遂行無し思い付きで文章とか書くもんじゃねーなと言う後悔(数度目

2013-11-24 14:21:13