茂木健一郎（@kenichiromogi）さんの連続ツイート第1121回「これって、例外的な事象なのですか？」

茂木健一郎 @kenichiromogi

連続ツイート第１１２１回をお届けします。文章は、その場で即興で書いています。本日は、ここのところ抱いている、素朴な疑問について。

茂木健一郎 @kenichiromogi

これ（１）たとえば、スピード違反でつかまった人が、警察の人に絞られているときに、「私だけじゃなくて、みんなもやっているじゃないか」と言っても、もちろん許してはもらえない。「みんなもやっている」というのは事実だとしても、しかし、その人が法律違反をしたことには変わりがないからだ。

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これ（２）高速道路などで、「流れ」に合わせて走っていると、名目上の制限速度を超えることはよくあることだし、その中で、どの車が摘発されるのかということについても、「あうんの呼吸」のようなものがある。「みんなもやっている」のだけど、なぜかある特定の人だけが、つかまってしまう。

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これ（３）以前、高速道路で、後ろからガンガンあおってくるベンツの人がいて、イヤだな、と思いながら隙間が空いたときに走行車線の方に退避したら、もの凄いスピードで駆け抜けていった。そしたら、そのさらに後ろに覆面パトカーがいて、あっという間につかまってしまって、なんだか気の毒だった。

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これ（４）後ろからガンガンあおってくるベンツの人は、きっと、覆面パトカーからしたら「こいつはやるな」と直観が働いたのだろう。それで、つかまってしまった。もちろん、名目上のスピードから言えば、それくらい出している人は他にもいるかもしれないが、ただ、目立ってしまったのである。

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これ（５）さて、パトカーや白バイがどのような基準で違反を検挙しているかはわからないが、他にやっている人がいたとしても、指摘されたのなら切符を切られて点数が減るのは、社会のルールとして仕方がない。しかし、それだからと言って、摘発された人が、例外的な極悪だとは、誰も思わないだろう。

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これ（６）その行為が、ルール違反だ、という場合、その改善はもちろんすべきだが、高速道路における走行のように多くの人が経験値を持っている場合、それが例外的な事象だとは、人々は思わない。中には「運が悪かった」と言う人もいる。その言い方もどうかと思うが、素朴な感想なのだろう。

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これ（７）さて、ここまで書いた上で、ぼくが素朴にわからないのは、猪瀬直樹さんのことである。連日都議会で追及され、マスコミからも「フルボッコ」状態。確かに、猪瀬さんの行為は、法律に違反する可能性があり、道義的にもマズい。ここは、素直に謝って、出直した方がいいとぼくも思う。

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これ（８）ぼくがわからない、というのは、今回の猪瀬直樹さんのスキャンダルが、表面化した以上きちんと処理されるのは当然だけれども、では、猪瀬さんは例外的な事象なのか、ということである。マスコミの人も、実は、例外的な事象ではないとうすうす知っているとぼくは推測する。

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これ（９）たまたま表面化した事象を叩くのは簡単だけど、それってどうなのだろう、というのが一貫して抜けない疑問。猪瀬さんが、例外的な事例だとはおそらく誰も思っていない。ならば、なぜその認識に基づいて政治と金のことを考えないのか。日本のメディアの振る舞いは、ぼくにはよくわからない。

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以上、連続ツイート第１１２１回「これって、例外的な事象なのですか？」でした。ちなみに、今日の連ツイは猪瀬直樹さんを擁護するのが趣旨ではないということは論理的に読める人ならば、わかるはずなので、そのような絡みは、あらかじめお断りします。