孫泰蔵さん「恐れるな!なぜ日本はベスト16で終わったのか」を読んで考えた事まとめ
オシム「勝者を見出すには、PK戦は最もフットボールウェイ(公平な手法)だろう。だが、同時に、すべての選手は疲れており、集中力の欠如があり、結果として必ず一人の選手を不運な立場に置くのだから、これは最も不公平な方法だとも言える。」
2010-10-19 09:08:17オシム「延長戦を含めて120分間、懸命にプレーをして、神経をすり減らし、体力を失い、その結果PKが勝者を決することになるというシチュエーションに直面することに、大きなフラストレーションを感じる。」
2010-10-19 09:08:27知力と体力と組織戦術を駆使して戦う最も高度なスポーツのひとつであるサッカーにおいて、PK戦は、白黒をつけるためには必要だが、サッカーの本質が反映されたものではないというのだ。誰よりもサッカーを熟知し、サッカーに人生を捧げてきたオシムだからこその発言だと思う。
2010-10-19 09:08:31PK戦を極度に嫌うのは敗者のメンタリティだ、という人もいるだろう。しかし、オシムにはそれを言う資格がある。彼ほどPK戦に勝利し、PK戦に涙してきた人間はほとんどいないのだから。彼はサッカーを愛するが故、サッカーに身をささげた選手たちを愛するが故、PK戦が耐えられないという。
2010-10-19 09:08:38オシム「私にはPK戦の瞬間に選手たちがどのような心理状態でいるのかが手に取るようにわかる。あたかも私が選手たちの肌の中にいるようにさえ感じる。だから、私はPK戦を見ない。私にはそれが耐えられない。私の神経は弱くなった。PK戦が私を今のこんな健康状態にしたのかもしれない。」
2010-10-19 09:08:43しかし同時にオシムはプロの監督としてPK戦術を解説している。①キャプテンが1番に蹴ること、②キャプテンには最も確実にPKを決められる選手を指名すること、③自分自身で蹴ろうとする意思のある選手を抜擢すること、④選手の内面を理解すること、⑤選手の自己顕示欲を排除すること、などだ。
2010-10-19 09:08:50オシムが強調するのは1番を蹴るキャプテンの資質だ。PK戦において1本目を決めることは、その後に続く選手のリラックスにつなげることができるという意味で、勝利への重要な条件である。キャプテンは極度の緊張下においても集中力を維持しメンタルを自分でコントロールできなければならない。
2010-10-19 09:08:55しかし、キャプテンをはじめPKを蹴る選手すべてが時に持ってしまう過剰な責任感に警鐘を鳴らす。「たくさんの素晴らしい仕事を成しえても、たったひとつのエラーですべてが台無しになる」というメンタリティが選手を押し潰す、というのだ。
2010-10-19 09:09:01オシム「駒野は試合を生きがいにし、サッカーを生きがいにしている。そして彼はあまりにも責任感が強すぎる。選手が過剰な責任感を持つと、時にそれは反作用を起こす。駒野は『決めなければならない』というプレッシャーに身を置いていた。責任感が彼にブレーキをかけ、押し潰したのだ。」
2010-10-19 09:09:12選手が過剰な責任感を持つ原因は、もちろん選手本人のメンタリティもあるだろうが、ファンやメディアが暗黙に与えるプレッシャーが大半だ。その圧力が選手やチームに不退転の決意と適度の緊張をもたらし良い効果を与えるのならばいいが、選手を押し潰し縮こまらせてしまうのならば本末転倒だ。
2010-10-19 09:09:20スポーツは勝負なのだから勝ちにこだわるのは大事だが、それ以上にチームがリスクをとって果敢に勝負し、選手の勇敢なプレーや美しいプレー、感動的なプレーが生まれることのほうが大事だと僕は思う。応援するサッカー日本代表も、そしてホークスも、選手たちには願わくばノビノビとプレイしてほしい。
2010-10-19 09:09:28イビチャ・オシム著「恐れるな! - なぜ日本はベスト16で終わったのか -」(角川ONEテーマ21)を読んで今朝はそんなことを考えた。
2010-10-19 09:09:36