茂木健一郎氏 @kenichiromogi 【サンダーバード秘密基地】連続ツイート

茂木健一郎 @kenichiromogi

連続ツイート第１１３２回をお届けします。文章は、その場で即興で書いています。本日は、今朝、コンビニに即席カレーを買いに行きながら思ったこと。

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あほ（１）子どもの頃、ＮＨＫでサンダーバードやっていた。ペネロープの声をやっていたのが、黒柳徹子さんだった。それで、「サンダーバードー」という主題歌も好きだったが、後で、中学で英語を学んだとき、おかしいなと思った。Thinder---birdoooooo　と延ばすはずがない。

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あほ（２）いったい、もともとのＢＢＣ版では、「サンダーバードー」のところはどういう歌詞になっているんだろう、と思っていた。やがて、原盤を見て、謎が解けた。もともとは、歌詞なんかなくて、ただ音楽だけだったのだ。そこを、ローカライズする時に、スタッフが歌詞つけた。good job!

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あほ（３）何しろ、当時はアポロが月に着陸した前後で、科学技術が素晴らしい未来の文明を開く、という期待がマックスの時だった。だから、「新作」として「サンダーバードを見る中で、登場するさまざまなガジェットに、胸を躍らせていたし、それが人類の未来なんだと素直に信じていた。

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あほ（４）そんな、サンダーバードラブMAXの小学校２年生のクリスマス・シーズンの新聞の折り込み広告に、「サンダーバード秘密基地」があった。あの、南の島に、サンダーバード１号、２号があって、発車台とかもそろっている。見た瞬間に、私の脳髄は衝撃を受けて、よろめいた。

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あほ（５）「この、秘密基地が欲しい！」あの時、私の脳裏に浮かんだ切ない願いの強烈なクオリアは、一生忘れることができない。このサンダーバード秘密基地を手に入れさえすれば、人生がすっかり変わってしまう。バラ色の日々が待っている。そんな夢と、私はすっかり一体化してしまった。

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あほ（６）当時は、トイザラスなんて無かったから、狙うとしたら町で一番大きなおもちゃ屋しかなかった。サンタを頼りにしていると危ういから、そのおもちゃ屋に、とにかく行ってしまうことだ、と思った。それで、自転車で家から１０分くらいのその店に、冬休みに入ってすぐ、駆けつけたと思いねえ。

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あほ（７）サンダーバードの秘密基地、サンダーバードの秘密基地、と念仏を唱えるように繰り返しながら、そのおもちゃ屋（今思うと、それほど大きな店でもないのだが）に行った。ところが、ガーン！　私のように目をつけていた子どもたちが多かったのか、秘密基地、売り切れていたのだ！！

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あほ（８）そんなバナナチップ！　あの時の落胆は、今でも思い出すと胸が苦しくなる。サンダーバードの秘密基地を手に入れることで、始まるはずだった私の素晴らしい新生活が、泡となって消えてしまったのだ。友だちが、秘密基地を首尾良く入手したという話を聞くと、身もだえするほどうらやましかった

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あほ（９）新年早々、なぜ「サンダーバードの秘密基地」の話をしているかと言えば、新年の誓いとか目標とかそういうことよりも、必要なのは、あの時のような、身もだえするような憧れだと感じるからだ。きっと、実際に手にとったらがっかりするのだろうけれども、あこがれへの旅だけが、人生だからね。

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以上、連続ツイート第１１３２回「あこがれが、欲しいよね」でした。