孫泰蔵さん 安藤忠雄「夢支える『チーム』をふやせ」を読んで考えたまとめ

taizoson.eth @TaizoSon

瀬戸内の島々を舞台にして７月に始まった「瀬戸内国際芸術祭」が今月末、盛況のまま幕を閉じようとしている。主催者の予想を超えるペースで全国から来場者が押し寄せ、既に50万人を超えたそうだ。 http://setouchi-artfest.jp/

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私もこの夏訪れたが、刺激的で前衛的な現代アート作品と瀬戸内の島々の素朴でなんだか愛らしい風景のコントラストが、風変わりだけどでとても面白くてとても素敵な、記憶に残る素晴らしい祭典だった。

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メインの会場となる直島に行くには、香川県の高松から50分、岡山県の宇野からでも20分、船に揺られなければならない。便数も1時間に1本ほどだ。近隣の島に移動する手段も船しかなく、さらに便数が少ない。

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そんな不便な場所になぜわざわざ国内外から多くの人が集まったのか。直島にあるランドマーク、ベネッセハウスおよび地中美術館は、オープン当初年間2万人しか入場者がいなかったのだが、今では30万人を超えるまでに発展した。いったいなぜなのか。

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プロジェクトのキーパーソン、建築家の安藤忠雄氏は語る。「瀬戸内国際芸術祭につながる一連のプロジェクトは、情熱をもつリーダーと意欲的なチーム構成員が時にぶつかり、意見を戦わせながら作り上げたものだ。単に現代アートが並んでいるのでなく、多くの人のエネルギーが渦巻くイベントになった。」

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安藤忠雄氏「こうした『元気なチーム』は、以前と比べて減っている。そしてそれが、日本の国際的な存在感の低下につながっているのではないか。挑戦して失敗することを恐れる今の日本人が、リーダーの情熱を受け止めるチームの一員になれるとは思えない。」

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安藤忠雄氏「暴論だが、誰かが『バカ』なことをしなければ、世の中は大きく動かない。それを『バカ』だと冷めた目線で見るのではなく、一緒に面白がることが今の日本には必要だ。」

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安藤忠雄氏「人を感動させるには、まず自分が感動しなければならない。瀬戸内国際芸術祭が成功したのは、リーダーと島民が一体となって楽しんだからだ。そうしたチームを増やすことが、日本の活性化への必須条件だ。」

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実際に瀬戸内国際芸術祭を訪れた人は実感しただろうが、瀬戸内の島々ではいい意味でかなり「バカ」なことが行なわれていた。アーティストの、島の人々の、そして訪れた人たちの熱い想い、すなわち人間の情熱やエネルギーをこんなにも感じることはなかなかない「異空間」だった。

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派手な演出はないし、すごいリゾートがあるわけでもない。ただあるのは島の美しい自然と、かなり異質だが不思議と調和している現代アートの作品、それと人々のあたたかいおもてなしだけだ。なのに、なぜこんなに心引き寄せられ、清々しい気持ちになれたのだろう。答えはおのずとわかっている。

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直島や豊島、犬島を訪れたときTwitterに逐一写真を撮ってアップした過去の自分のツイートをいま見返してみると、なんだか異様に興奮していたことがわかる。

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その理由には、現代を切れ味鋭く表現したアート作品それぞれに刺激をもらったこともあるだろうが、何よりも芸術祭全体が創造性と起業家精神に満ちあふれ、一人の人間の夢に始まった「バカ」なチャレンジが素晴らしい成果に結実しているのを体感したからだとあらためてわかった。

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こういうのって、ほんとかっこいい。マジパない。マジでマジパねえ（意味不明（笑）） 安藤忠雄「夢支える『チーム』をふやせ」（日経ビジネス2010年10月18日号106ページ「直言極言」）を読んで、今朝はそんなふうに興奮した。