市川 大河氏『ごちそうさん』昭和初期編最終週呟きまとめ

【汁の棲み家】 (ついのすみか)
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市川大賀 @ArbUrtla

#ごちそうさん 悠太郎の仕事に妥協しない竹本も、悠太郎の浮気を許しきれていないめ以子も、強烈な順光の中で描かれる。心の中のストレスの描写。そんな中で正蔵は倒れる。症状はかつて銅山の罪を独りで背負って消えた過去を持つが、今度は何を背負ってどこへ去ろうとするのか。

2014-01-20 12:47:23
市川大賀 @ArbUrtla

#ごちそうさん オレンジの陽光が差し込む、奥行きのある部屋の構図の中で、正蔵の余命の在り方を聞く静とめ以子。「まぁっ三年の方やろ」で切り返しの静とめ以子のカットバック。正蔵の食べたかった物をコマディカルに聞き出そうとする静とめ以子。キーワードは?不安なめ以子と悠太郎と希子の煽り図

2014-01-20 12:50:32
市川大賀 @ArbUrtla

#ごちそうさん ぎりぎり灯の見えるところから、現れた静が正蔵に問いただす。人の正直さを隠す事は、繋がりが深ければ深い程不可能である。「柿の葉寿司」静の「なんの蟠りもない」と言いつつ、め以子に放り出して去る静。気遣う正蔵の声を勝男の「それおいしぃー!?」がかき消す人間模様が栄える。

2014-01-20 12:53:26
市川大賀 @ArbUrtla

#ごちそうさん 聞いた通りに必死に柿の葉寿司を作ってみせるめ以子。一方の希子の、ハレーション寸前のサイドライトの心理描写シーンを挟んで、め以子の柿の葉寿司の試食。「こんなもんや」微妙な空気が流れる。正直な希子の正直な感想。そしてお約束のめ以子の実験の繰り返し。科学の出番だろう。

2014-01-20 12:56:58
市川大賀 @ArbUrtla

#ごちそうさん 柿の葉寿司の難しさに値を上げてしまうめ以子。その想いに胸を詰まらせて頷くしかない正蔵。一方で同時進行で「ハレーションの中の希子」描写殿シーンの入れ替わりが「光を操る森下佳子」ドラマの真骨頂。自宅の前のオレンジの灯の前で表情を立て直す仕草も可愛い。

2014-01-20 12:59:31
市川大賀 @ArbUrtla

#ごちそうさん め以子が和枝の元に向かう。なんの解決策も持たないまま、共に愛した家族の最期に向けて、それだけがきっと自分と和枝との間にある蟠りを溶かしてくれるものだと信じて。信じる力が裏切られる先が描かれたとしても、め以子は「その先」を願うのだろう。物語は大きく動き出すだろう。

2014-01-20 13:02:03
市川大賀 @ArbUrtla

#ごちそうさん 山下家の全景からの視点誘導は、め以子の心情をシンクロさせるめ以子の煽り。声を掛けた相手が和枝。たった20秒で視聴者に、状況と環境と心理を伝える「脚本とコンテの力」そして映像の力。

2014-01-21 12:46:49
市川大賀 @ArbUrtla

#ごちそうさん 「心理効果抜きで『状況』を理解させる俯瞰」から」はじまるアヴァンの後。陽光の下で差し出される糠床。和枝の言動は全てそっけなく棘があるように見えるが、トーンと言葉遣いを抜かせば、め以子にとても気配っているというダイアローグ劇になっているのが分かる。

2014-01-21 12:49:06
市川大賀 @ArbUrtla

#ごちそうさん 予告にあった「め以子の顔をつまむ和枝」は、決して殺伐の流れの中で描かれるのではなく、和枝を含む心理劇が、しっかりと笑えてしまう描写へとシフトした上での描写。一方「オレンジの灯の下(め以子のホームグラウンド」で、川久保を連れてやってくる希子。微笑むめ以子がカットイン

2014-01-21 12:51:53
市川大賀 @ArbUrtla

#ごちそうさん 突然結婚を切りだす川久保。いつも語る「映像の心理の左右」でいえば、右に配置された川久保と紀子の話がまとまる構図。思い出を語り合う家族の中で、涙ぐむほど微笑むめ以子。「もう、わしは潰さんとってもえぇんやな?」正蔵を再び家族と繋ぎ合わせたのも、希子の心情だった。

2014-01-21 12:54:30
市川大賀 @ArbUrtla

#ごちそうさん かつて父が戦い、人生を賭した銅山から戻ってくる悠太郎。花嫁衣装を挟んで、陰影のコントラストの強い照明設計は、悠太郎の心理的な揺れをも表している。幸せへ、混迷へ、矛盾へ、笑顔へ、逃避へ。西門家の様々が同時進行して交錯する。「祝言を上げないと決めため以子」の葛藤。

2014-01-21 12:57:05
市川大賀 @ArbUrtla

#ごちそうさん 「なんも変わってなかったです」「そやけど、オヤジの生き方は少しわかったような気がします」「自然への償いなんでしょうね」やはりここに込められているのは、森下流「現代福島の問題提起」悠太郎が受け入れるか否かではない。個人の生き方を捻じ曲げては、背負わせてはいけない。

2014-01-21 12:59:27
市川大賀 @ArbUrtla

#ごちそうさん 希子の祝言の在り方で、和枝を迎え入れるフラグを立たせようとするめ以子。柿の葉寿司の問題はまだまだ全く未解決ではあるが、父と悠太郎の共有した「毒の現状」を含めて、そろそろ協奏曲が見えてきた。人物個別に解決するのではなく「全てが一つに集約される」『あまちゃん』と同じ。

2014-01-21 13:01:28
市川大賀 @ArbUrtla

#ごちそうさん フラットな照明の下で、西門家の祝言のメニューを語る正蔵。「丸」に拘る西門家。「丸さ」への拘りを正蔵が語る。「機転が効くのか効かないのか、才覚が問われる」ここで初めて照明は(初めて)め以子の顔に陰影がつけられる。相変わらずのこの照明仕事のこまやかさが特徴。

2014-01-22 12:48:04
市川大賀 @ArbUrtla

#ごちそうさん 「酒粕にあう魚探し」希子の祝言の為に必死に頭をひねる。自分があげてもらえなかった祝言。しかし大切な希子の為に走るめ以子の姿こそ、市川森一氏が言っていた「『自己愛』の『自分探し』ではなく、誰かの幸せと共に『幸せ探し』をする主人公」の姿だろう。

2014-01-22 12:50:47
市川大賀 @ArbUrtla

#ごちそうさん 食事を振る舞う事=何を伝えたいのか これも一つのテーマだろう。いつまで持ちこたえられるか分からない正蔵を挟んで、希子が和枝に向き合う。「雲の上のお母ちゃんも喜びはるんちゃうん?」太陽の光に照らされ輝き、和枝に迫る希子。しかしここでも和枝ボンバーが炸裂する!

2014-01-22 12:53:29
市川大賀 @ArbUrtla

#ごちそうさん 和枝ボンバー(め以子を追い出せ)に対して、静も悠太郎も希子も気を遣うようになるまでの、ここまでの構図に至る蓄積が見事だったからこそ(「お兄ちゃんは黙ってて」を含めて)「め以子を外す」ことで合議する一同。今週が最後なのだ。希子の幸せ。和枝が戻れる機会。「最後の一葉」

2014-01-22 12:56:43
市川大賀 @ArbUrtla

#ごちそうさん 和枝への最後のきっかけを失ってしまっては「一生物」の心残り、後悔になってしまう。和枝さえ来れば。正蔵が壊してしまい、静が意固地の中で凄し、希子が押し黙っているしかなかった「西門家」がレスキュー出来る。時をこえ「次の物語」へと翔べるのだ。和枝からの届は柿の葉寿司。

2014-01-22 12:59:59
市川大賀 @ArbUrtla

#ごちそうさん NHKで映画版『変態仮面』の1シーンが見られるとは(笑) #nhk

2014-01-22 13:44:50
市川大賀 @ArbUrtla

#ごちそうさん 花嫁衣装の希子の前に、和枝を筆頭に姉方が揃う。落ちなかった柿の葉。オレンジのライトがフィルターを通し、いつもより柔らかくなって希子の笑顔を照らし出す。ライティングの演出。全編を包み込む「光」もまた登場人物であり、物語を彩る。

2014-01-23 12:47:15
市川大賀 @ArbUrtla

#ごちそうさん ふ久を映し出すクレーンが上昇すると、西門家の姉達を写すクレーンにモンタージュして、それがゆっくりと下がるコンティニュティ。そして横並びフィックスのめ以子が勤しむ台所。希子の挨拶もゆっくりとした上下移動。カメラワークが揺れる心理を演出した後、希子の宣言を固定で写す。

2014-01-23 12:50:09
市川大賀 @ArbUrtla

#ごちそうさん 希子が和枝に詰め寄る。ロー速度のズーミングが、希子、和枝、め以子それぞれを圧縮して映し出す。希子の言葉に、視線を合わさないまま固まった和枝の表情だけをカメラは固定バストショットで映し出す。「うちはちぃ姉ちゃんに人生をもらった」そう語る希子をスローズーミングで写す

2014-01-23 12:53:02
市川大賀 @ArbUrtla

#ごちそうさん 自分の祝言の席でめ以子の為に土下座する希子。倉田も静もふ久までもが土下座する。「昭和いうんはこういうご時世なんだすなぁ」この台詞の森下節の巧さの真骨頂。僕達は「そんな昭和」を「懐かしい、暖かい時代だ」と胸に刻んで生きてきた。しかし震災も銅山も戦争もあった時代だった

2014-01-23 12:56:07
市川大賀 @ArbUrtla

#ごちそうさん 一つのエピローグ。娘のふ久に「お母ちゃん、綺麗やなぁ」と言われて、ずっと夢見たままであった結婚式姿を披露するめ以子。泣くしかない。人が生きていく中で、喜べる時も人は泣くしかない。悠太郎の挨拶「これは、皆様からのごちそうやと」全てのテーマを呑みこんで、ごちそうさん。

2014-01-23 12:59:09
市川大賀 @ArbUrtla

#ごちそうさん 人が努力だけでそれを成したのではない。フィクションだからハッピーエンドが用意されていたのでもない。誰だって自分が幸せになりたくて、その「自分の幸せ」の条件の中には絶対的に「大切な誰かの笑顔」が含まれていて、それが交錯するからこそ、誰かの笑顔が自分の幸せになるのだ。

2014-01-23 13:01:09