空想の街　冬の目覚め　四日目

七歩 @naholograph

花が摘まれたことを気づかぬうちに雪の着物の中へと移す。梅にクチナシ、山茶花、睡蓮。白といっても少しずつ違いがあるから喧嘩しないように花々を配置する。冷たい雪が花を枯らしてしまわぬように花に暗示をかけながら。@ChiKomiya #空想の街 #仕立屋 #鳥に纏わる掌編

七歩 @naholograph

花を配置するも雪も少し穏やかになる。お互いの立場を自然のものたちはよく知っている。さあできた。@ChiKomiya #空想の街 #仕立屋 #鳥に纏わる掌編　｢お願いね｣｢｢がってーん｣｣疾走するウサ耳姉妹。｢お届けに｣｢きた｣｢｢の！！｣｣

chi-suke @ChiKomiya

@naholograph おう、来たな。鳥屋は孔雀荘の二階から姉妹に手を振る。上がってきてくれ！ #空想の街 #仕立屋 #鳥に纏わる掌編 包みを解いて、出来上がった着物を広げる。鳥屋は感嘆の息を吐いた。こいつは――驚いた。その顔を少年と鳥がニヤニヤしながら見つめている。

七歩 @naholograph

ドヤ顔のウサ耳姉妹。二人は何よりこの瞬間が大好きだ。@ChiKomiya #空想の街 #仕立屋 #鳥に纏わる掌編 ｢それじゃ｣｢いくの！｣手を振って耳を倒して風を切って。

水揚兎波子 @dwarfairy

「気まぐれ屋さんですって」「へー、夜はバーになるのか」 @shino40 #気まぐれ屋 まずは昼間に行ってみたい気まぐれが欲しいと廉は足をぱたぱたさせる。カクテルは夜までとっておこう。 #ミズウサギ #空想の街 「こんにちは。気まぐれひとつくださいな」

水揚兎波子 @dwarfairy

楽しかった昨日の余韻、今日めいっぱい遊ぶ元気、明日の仕事が憂うつでなくなるような、そんな気まぐれありますか？ @shino40 #気まぐれ屋 廉の注文は僕向けらしい。仕事は嫌じゃない、廉と過ごせないのが寂しいだけだ。でも憂鬱が吹き飛ぶならありがたい。 #ミズウサギ #空想の街

ゆずる @yuzu5172

すん、、鼻を鳴らす。「潮の香りのお客人ぞ」#空想の街 ＃気まぐれ屋 #ミズウサギ@dwarfairy カランカラン。シンが呟くと同時に店の扉が開いた。そこには、確かに海を思わせる気まぐれを纏った男女が。「いらっしゃいませ。本日はどのような気まぐれを？」

ゆずる @yuzu5172

廉と優介と名乗ったその二人は、何やらとっても実用的な気まぐれをご所望のよう。#空想の街 #気まぐれ屋 #ミズウサギ @dwarfairy ただ、一生懸命注文する廉からは、一言発する度にふわわ、ふわわと海のような優しい気まぐれが溢れる。なるほどなるほど。そういうことですね？

ゆずる @yuzu5172

小瓶の詰まった棚に向かって考える。何にしようかしら。棚に指を滑らせていると、一本の小瓶がコトリ、と倒れた。≪鏡山蕗の雨露≫。雨あがりの朝、水たまりに映る山蕗から頂戴したものだった。儚くて危うげで、とても澄んだ気まぐれだ。@dwarfairy #空想の街 #気まぐれ屋 #ミズウサギ

ゆずる @yuzu5172

「そう、行きたいのね。」雨露の小瓶を手に取る。なんとなくこの気まぐれは廉が纏うものに似ているな、とリンは思った。#空想の街 #気まぐれ屋 それからヒヨコ豆を一粒。指先でイジめると、豆からヒヨコの気まぐれだけ出てくる。もちろん残ったのはただの豆。@dwarfairy #ミズウサギ

ゆずる @yuzu5172

豆は後から食べるとして、取り出したヒヨコ(の気まぐれ)を雨露の小瓶にグイグイ詰める。詰める。ちょっと窮屈そうだけど、お尻をつついてなんとか詰めることに成功。#空想の街 #気まぐれ屋 @dwarfairy #ミズウサギ その見えない気まぐれの調合を、廉と優介は興味深げに見ていた。

ゆずる @yuzu5172

リンは気恥ずかしくなったので、説明することにした。「これ、今は見えないんですけど、えーと、」「早くしないとヒヨコが逃げるぞ」「うぁ、…ハイ。」#空想の街 #気まぐれ屋 #ミズウサギ @dwarfairy そんなリンとシンの掛け合いに、廉と優介は顔を見合わせて笑ってくれた。

ゆずる @yuzu5172

小さな小瓶からの抜け出そうとするヒヨコ(の気まぐれ)を逃がさぬよう手で押さえながら、リンはカバンからもうひとつ小瓶を取り出す。先程集めた≪向日葵の追憶≫だ。そしてその向日葵の花びらを1枚、雨露ヒヨコの小瓶に落とした。#空想の街 #気まぐれ屋 #ミズウサギ @dwarfairy

ゆずる @yuzu5172

花の目覚めで開いた向日葵の花弁は、枯れ落ちた後も鮮やかな黄色を色濃く残していた。小さな花びらは小瓶の中へ入ると溶けるようにカタチを失い、サラサラと向日葵色の砂になった。#空想の街 #気まぐれ屋 #ミズウサギ @dwarfairy 砂は、ヒヨコに降り注ぐ。

穴井秋乃 @AnaiAkino

@riri_yanagawa 「そうだ、新しいお店に行ってみよう」 僕は獏夢をください夢の詩を書いてください瓶は水色 獏はポエムショップリリで詩を注文しました。 #空想の街 #ポエムショップリリ #夢詠み獏の歌

梁川梨里（やながわりり） @riri_yanagawa

【夢見る獏】 夢の水面に足を浸すと画像が折り重なり脈絡もなくこの世から更迭される 捻じれた時空で見知らぬ誰かの夢とリンクして獏はいつも漠然とそこにいて 遥か彼方へ飛ばされて目覚めれば、わたし。 @AnaiAkino #空想の街 #ポエムショップリリ #夢詠み獏の歌

梁川梨里（やながわりり） @riri_yanagawa

夢詠み獏さんへみずいろの瓶に詰めた詩を渡す。獏さん、食べちゃってもいいですよ、夢の詩ですから。獏さんに歌を詠んで欲しいのですけど、ぜひお願いします。お店の壁に貼る歌を探していたの。 @AnaiAkino #空想の街 #ポエムショップリリ #夢詠み獏の歌

穴井秋乃 @AnaiAkino

@riri_yanagawa 「わお、素敵！ 僕が出てきた！ もぐもぐ。美味しい！ 」 時空飛び夢を食べます漠然と獏はいつでも夢を求めて 獏はお礼に歌を詠みました。 #空想の街 #ポエムショップリリ #夢詠み獏の歌

梁川梨里（やながわりり） @riri_yanagawa

獏さんは早速瓶に詰めた「夢」を食べて空になった瓶を嬉しそうに抱えた。お礼に頂いた素敵な歌をお店に入ってすぐの壁に貼る。なんかお店が素敵に見える。「定型も非定型も好きなの」貼った短歌には獏さんの姿を描いた。 @AnaiAkino #空想の街 #ポエムショップリリ #夢詠み獏の歌

穴井秋乃 @AnaiAkino

@riri_yanagawa 「わお、僕の似顔絵！ 飾ってくれてありがとう！」 僕に似た白黒の獏壁にいる僕の似顔絵ニヤニヤしちゃう そう詠んで獏はスキップしながら店を後にしました。 #空想の街 #ポエムショップリリ #夢詠み獏の歌

ゆずる @yuzu5172

「お待たせいたしました、≪幸せの早咲き向日葵の露ヒヨコ添え≫です。」恭しく、まるでモーテルの支配人が出すメインディッシュのような振る舞いで、あえて注文者の廉ではなく、優介に手渡す。だって、これが必要なのは彼の方だから。@dwarfairy #空想の街 #気まぐれ屋 #ミズウサギ

ゆずる @yuzu5172

まさか直接自分宛てに渡されると思っていなかった優介は少々面食らいながらも、笑顔でその小瓶を受け取った。「露ヒヨコ添え？」廉が優介の手の中の小瓶を覗き込みながら問う。リンは待ってましたとばかりに小瓶の説明を始めた。@dwarfairy #空想の街 #ミズウサギ #気まぐれ屋

ゆずる @yuzu5172

「この黄色の砂が、花の目覚めで咲いた向日葵の記憶なの。そして、これ、」そっと小瓶の底を指差す。#空想の街 #気まぐれ屋 「ヒヨコの足跡があるでしょう？ここに入ってるの。これは食いしん坊ヒヨコよ。憂鬱な気持ちを食べてくれるわ。」@dwarfairy #ミズウサギ

ゆずる @yuzu5172

「なんだか不思議。」独り言のようにポツリと廉が零した言葉に、シンが応える。「気まぐれは見えないからな。見えないものは不思議なものさ。でも、」#空想の街 #気まぐれ屋 確かにそこにあるのを、感じるだろう？@dwarfairy #ミズウサギ

ゆずる @yuzu5172

「気に入っていただけました？」ちょっとだけ心配。でも、この二人にはぴったりな気まぐれだと思って。「ええ。」優介が柔らかく答え、隣の廉は大きく頷く。なんとか気に入ってもらえたようだった。#空想の街 #気まぐれ屋 @dwarfairy #ミズウサギ