原料屋　まとめ

十浦　圭 @ueto_rika

年に一度、冬になると街を訪れる原料屋。黒のテンパに和柄のお面、書生姿。腰に飾り紐のついた、まどみという名前の喋る山茶花の枝を差している。原料になる不思議な物を背中に背負ったつづらから出して商売する。物腰は柔らかいが商売は交渉系。　#原料屋　#空想の街

空想の街公式アカウント @humptyhumtpy

何処にもない､何処にでもある街｡空想の街｡時計塔の街での５日間｡はじめましての貴方も､おかえりなさいの貴方も､街は全てを受け入れます｡どうぞ､お楽しみください｡　#空想の街

空想の街公式アカウント @humptyhumtpy

おはようございます。霧雨がふるといつも花が咲けばいいのにと思います。べたべたして気持ちわるいし。この雨は１日降り続きそうです。楽しく過ごしましょう。いってらっしゃい。（情報窓口　佐々木類）　#空想の街

空想の街公式アカウント @humptyhumtpy

ただいま役所に情報が入りました！どうやら雲の中を、空魚の群れが飛んでいるそうです。霧雨に空魚の鱗が混じってふってくることがあるかもしれません。当たっても怪我はないですけど、一応気を付けて下さいね。空に光るものが見えたらきっと空魚です！　#空想の街

十浦　圭 @ueto_rika

「空魚の鱗、ねえ」ぴしゃり、とブーツが濡れた地面に鳴った。「一年ぶりだな」「なのに霧雨だなんて」「日頃の行いだろ」「なら悪いのはアンタね」腰の山茶花が鼻を鳴らし、原料屋は声を上げて笑った。「さあ、仕事の時間だ」窓也は足を踏み出した。　#空想の街　#原料屋

十浦　圭 @ueto_rika

「さあて、去年俺に原料を頼んでいたのは誰だったかな」ことり、と背中のつづらを揺すって窓也はぼやいた。　#原料屋　#空想の街　去年、今年を問わず、リプを頂ければその場へ窓也が原料をお届けに参ります。どうぞお気軽に絡んでくださいませ。

十浦　圭 @ueto_rika

霧雨にけぶる通りを歩く。「まるで海底だな」「どこがよ」「水のにおいだよ。感じないのか？」「私が山茶花だってこと、お忘れじゃないでしょうね？」「嗅覚なかったっけ？」「あるわよ」「あるんじゃねーか」わいわいと一人で騒ぎながら、人影は南区へと向かっていた。　#空想の街　#原料屋

十浦　圭 @ueto_rika

「こんちはぁ」きつね橋を渡って数分。がらり、と戸を開けて窓也はうどん屋を覗き込んだ。「大将、久しぶり。今年もえらく寒いな。あったかいやつを頼むよ」　@_urt #うどん屋　#空想の街　#原料屋

十浦　圭 @ueto_rika

「旨かったなあ」「同意を求めてるなら私に言わないで」「独り言だ」霧雨はまだ続いている。雨の霧をかき分けながら、窓也は南区を奥へぶらぶらと歩いている。　#空想の街　#原料屋

十浦　圭 @ueto_rika

通りの奥、雨以外は何もない小さな空間に、ふと窓也は足を止めた。「…ふむ」呟いて、背中のつづらを地面に降ろす。ごそごそとつづらを手が探った後、出てきた手には金に光る小さな筒が握られていた。　#空想の街　#原料屋

十浦　圭 @ueto_rika

「こうかな」「少し高いんじゃない」「そう？」筒に目を当てて、窓也は空を見上げる。雨の向こうに立ち込める雲の中に、ちかり、と何かが光った。「よっと」瞬間、筒に添えられた手が器用に動き、かちゃりと筒がひっくり返された。　#空想の街　#原料屋

十浦　圭 @ueto_rika

透明な糸に釣られたように、ひうん、と音を立てて、空から何かが降って来る。ちゃらちゃらと音を立て光るその数枚の鱗は、そこそこの速さで窓也の足元に落ちた。「空魚の鱗、ゲットー」筒をしまいながら窓也が小さく笑った。　#空想の街　#原料屋

十浦　圭 @ueto_rika

【遠目鏡：とおめがね】手のひら程度の大きさしかない金色の望遠鏡。普通に使えば遠くが見え、引っくり返せば見ていた対象を手元に”引き寄せる”が出来る。今回窓也が引き寄せたのは空中を舞っていた鱗だが、その気で使えば空魚本体を引き寄せるのも可能ではある。　#原料屋　#空想の街

十浦　圭 @ueto_rika

ふらりと、きつね橋からまっすぐ続く道を塔へ向かっている。たちこめる湿気で窓也の髪はくるくると跳ね回っているが、本人はそれを気にもとめずどこか浮かれた様子だ。ぴちゃん、とブーツが雨を弾いた。　#空想の街　#原料屋

十浦　圭 @ueto_rika

夜を支える支柱のように、ずっしりそびえる時計塔を見上げる。ふとそのまま目線を下げて、窓也はベンチに何かもこもこしたものが寝ているのに気が付いた。「…獏、か？」　@AnaiAkino #空想の街　#原料屋　#夢詠み獏の歌　時計塔のふもとで伏す動物の毛皮はどこか夜空にも似て

穴井秋乃 @AnaiAkino

@ueto_rika 視線を感じて目を開けると知らない人がそこにいました。獏は歌を詠みます。 夢ならば何でもいいよ食べちゃうよ悪夢も全部いただきますよ #原料屋 #空想の街 #夢詠み獏の歌

十浦　圭 @ueto_rika

夢を食べ歌に詠む獏。なるほど、と呟いて窓也は首を傾げた。「俺は夢を見ないからなあ…」そうだ、呟きながらしゃがんで獏の顔を覗き込む。「こういうのはどう？」　@AnaiAkino 空想の街　#原料屋　#夢詠み獏の歌　#夢はあげられないけれど原料はいかが？あなたの毛と引き換えに

穴井秋乃 @AnaiAkino

@ueto_rika 原料？夢の原料でしょうか。獏は少し考えてから歌を詠みます。 僕の毛で良ければどうぞ幾らでも生えてきますよほらほらほらね そうして毛を差し出しました。 #原料屋 #空想の街 #夢詠み獏の歌

十浦　圭 @ueto_rika

「ありがとう」毛を受け取って、窓也は少し笑った。「君は素直だね。人間以外の特徴なのか？」背中のつづらを探り、やがて一本の青いリボンを取り出す。　@AnaiAkino #空想の街　#原料屋　#夢詠み獏の歌　機織りが夢を紡いだものだからきっとあなたに役立つでしょう

穴井秋乃 @AnaiAkino

@ueto_rika 機織りが夢を紡いだという青いリボンを受け取ると獏は首にそっと結び、得意げに歌を詠みます。 機織がパタンパターン複雑なパターン紡ぐ青色の夢 #原料屋 #空想の街 #夢詠み獏の歌

十浦　圭 @ueto_rika

「上手いもんだなあ」歌に感心して、最後に一度、獏の背中を少し撫でてから窓也は広場を出た。振り返るとベンチの上のもこもこが見えて、くすりと窓也は笑った。「ほんとこの街は面白い」「全くね」窓也の腰でまどみも小さく笑った。　@AnaiAkino #空想の街　#原料屋　夢詠み獏の歌

十浦　圭 @ueto_rika

ぶらぶらと、和服の裾を翻し窓也は再び来た道を戻っていく。「また南区？なにしにわざわざ中央に来たのよ」「時計塔を拝んでおきたかったんだよ。今年の仕事の願掛けとして」「バカみたい」「願いを叶える側のお前がそれいうか？」「知らないわよ」　#空想の街　#原料屋