パズドラ乞食小説「勇者降臨！」

架神恭介/作家・ゲームデザイナー @cagamiincage

「べリアル……。べリアル……」「ん、んん……」　目を覚ました時ーー、我はバカ女の膝の上で寝ていた。「くっ……」　慌てて起き上がろうとするが、体が動かない。「まだいいよ。寝てて」　千代女が我を押さえつける。「無理もないよ。あんな強烈な一撃を食らったんだから」

架神恭介/作家・ゲームデザイナー @cagamiincage

向こうでは、正座させられたハイランダー、ベルセルクの前でマスターが恫喝を繰り返す姿が見えた。戦いに敗れた魔の者は公衆の面前で尻から卵を産むことを強制される。卵が孵り、ハイランダーとなりベルセルクとなり、経緯を知らずに育てられた彼らはマスターを親のように敬愛するのだ。

架神恭介/作家・ゲームデザイナー @cagamiincage

「あのガラクタ、帰りは役に立ちそうじゃない？」　バカ女が我のチャリオットを見ながら言う。「どういう……意味だ……」「帰りは押してってあげるわよ。アンタ、まだ当分動けないでしょ」　やれやれ、どういう風の吹き回しだ。

架神恭介/作家・ゲームデザイナー @cagamiincage

「正直言ってね。アンタ、カッコ良かったよ。みんなが諦めてる中、アンタは一人、最後まで戦いを諦めなかった。万年倉庫番の穀潰しだって、ここまでできるんだ、って……。アンタの姿を見てると、リーダーだとか、スタメンだとか、そんなのにこだわってる自分がバカらしくなってきちゃった」

架神恭介/作家・ゲームデザイナー @cagamiincage

それからバカ女は、千代女は、勇者二人の方を見ながら照れくさそうに笑って言った。「あいつら勇者って言われてるけどさ、私に言わせれば……。べリアル、アンタの方がよっぽど勇者だったよ……。倉庫番の、穀潰しの、産廃の勇者……」「ハッ！」　女の戯言を鼻で笑ってやった。我は大魔王ぞ！　だが、

架神恭介/作家・ゲームデザイナー @cagamiincage

そう言われて悪い気がしないのも事実だ。「大魔王ベリアル……勇者ベリアル……大魔王ベリアル……勇者ベリアル……」　二つの響きを比べて確かめてみる。そんな我の姿に千代女がクスッと無邪気に笑い、女の膝の上で我も釣られて苦笑した。

架神恭介/作家・ゲームデザイナー @cagamiincage

「勇者降臨！」〈完〉

架神恭介/作家・ゲームデザイナー @cagamiincage

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架神恭介/作家・ゲームデザイナー @cagamiincage

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架神恭介/作家・ゲームデザイナー @cagamiincage

こ、これは、良い子の教訓物語だからね！　 RT @nater_gamer 最後合成されるオチじゃないんですか！

架神恭介/作家・ゲームデザイナー @cagamiincage

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