空想の街 2014 花の目覚め・海の目覚め編
- amenohakoniwa
- 1523
- 0
- 0
- 0
何処にもない、何処にでもある街。空想の街。時計塔の街での5日間。はじめましての貴方も、おかえりなさいの貴方も、街は全てを受け入れます。どうぞ、お楽しみください。 #空想の街
2014-01-23 00:00:49一日目
最寄り駅はミゼンの中央区外れの地下にある硝子工房。光に弱い体質の為に夜中にひっそり、ひとりで原料から硝子を作ったりステンドグラスや硝子細工を作っているハコ。 作ったものは時計塔の西側にある店「時計座-Horologium-」で扱われている。 #空想の街 #地下の硝子屋 #時計座
2014-01-23 19:52:34時計座の店主は入り口脇の喫煙室のソファに座り、煙草に火を点けた。窓の外は霧雨。部屋の中央にあるストーブの青い炎がゆらりと動いた。「…寒いな。」夕方にしか動かないあの少女はこの時間になれば大抵ここに来ている筈だが、今の季節だけは更に行動が鈍るのだ。 #空想の街 #時計座
2014-01-23 22:18:08「うう…さむい…。」寒いと言って起きた。地下にある工房に住むハコは出身が温暖な気候の場所であるためか、寒いこの季節が如何せん苦手だ。さむいし、おなかすいた。あと納品。長い葛藤の末、寒いが勝りそうになったのをぐっと堪えて注文の品を納めに時計座に向かう。 #空想の街 #地下の硝子屋
2014-01-23 22:27:26「さむい、おじさん、こんばんは。」耳までマフラーでぐるぐる巻きになったハコは時計座に着くなり寒いのひとことを発して店主は思わず苦笑いした。「蜂蜜酒、あるよ。温めて飲もうかね。」「うん。あと、注文の。」ハコは寒さでか喋り方も片言だ。 #空想の街 #地下の硝子屋 #時計座
2014-01-23 23:08:38一日目 初雪硝子
注文の品。雪に思い入れのある方から新築のお家の窓に嵌める為にと注文頂いた雪の舞う板硝子。 緩やかに変色する硝子のなかに雪の結晶が舞い続ける。発色剤は初雪の完璧な結晶形のみを凝縮したもの。 #空想の街 #地下の硝子屋 #時計座 http://t.co/91Dmo2uHnf
2014-01-23 23:20:49いろいろ見つける
2日目は鋏屋さんに道具を研いでもらいに行こう。場所はどこだろ。 3日目か4日目に仕立屋さんに耐熱グローブの修繕を頼みたいな。仕立屋さんは呟けば兎耳の子たちが来てくれるんだっけ。悶えるな。 *空想の街
2014-01-23 19:35:08時計座からの帰り道、霧雨はいつの間にか雪に変わっていた。やっぱりさむい、けれど、うつくしい雪。立ち止まり空を仰いだ。依頼主が「雪を見ていたいのです」と、記憶を呼び覚ますように話してくれたことを思いながら。うつくしく、せつない、誰かの記憶。 #空想の街 #地下の硝子屋 #時計座
2014-01-24 00:54:00二日目
中央区外れの地下工房。太陽光に弱い体質の為、夜になれば火を灯し仕事を始める。特別な材料を発色剤として様々な硝子細工を作る。うごめく煙を閉じ込めたランプ。雪の降り続ける硝子窓。 命を吹き込む訳じゃない。 命が有るかのように見せかけて作る訳じゃない。 #空想の街 #地下の硝子屋
2014-01-24 01:14:46