田中秀征の都知事選ウォッチ

田中秀征【都知事選ウォッチ】 @shusei_tanaka

都知事選が告示。私は渋谷と新宿に細川護煕候補の街頭演説を聴くために足を運んだ。応援は小泉純一郎元首相。脅威の支持率“８０％首相”の揃い踏みに駅前広場は埋め尽くされた。 周りの人たちに強く促され、私はこれから、都知事選の印象を日々みなさんにお伝えしようと思う。

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それに細川、小泉両氏との長い親交の中でのエピソードを、《細川・小泉こぼれ話》として紹介し、両氏に対するみなさんの理解を深めていただきたいと思っている。

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《細川・小泉こぼれ話》①【 肉声の首相】 ９３年９月、首相就任１ヶ月の細川さんは、国連総会での演説のため渡米。特別補佐であった私も同行した。ニューヨークのホテルの上の階には、ワシントンから来たクリントン新大統領一行が宿泊。初の日米首脳会談もそのホテルで行われた。

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会談の２、３時間前であったか、内線で細川さんから電話。「秀征さん、いますぐ来てください」とのこと。何が起きたのか、私は驚いて同じ階の細川さんの部屋に駆けつけた。 「まだ時間があるから急いで首脳会談での発言内容を書き直したい」というのである。

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それから、細川さんの言いたいことを二人で書き出し、想定問答を大幅に書き換えた。 そういえば訪米前の首相官邸で、外務省が作成した発言内容に彼はいかにも不満そうであった。その時からなんとか変えようと思っていたのだろう。

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いつも外務官僚が離れないのだが、きっと「時差ぼけだからちょっと休みたい」とでも言って追い出したのに違いない。

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もちろん、必要な部分はそのままにして、かなりの部分を書き直した。特に細川さんが「私は政治家というより革命家に近いと思われている」と発言したいと私に強調した。 会談で、実際彼がそういうと、クリントン大統領は身を乗り出してきたという。

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おそらく、「チェンジ」を掲げた大統領も、自分で自分をそう規定していたのだろう。その会談で両者はたちまち信頼できる友人となった。

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日本のメデイアはその時、「肉声で語る首相」として細川さんを高く評価。官僚の言いなりにならない細川さんの面目を躍如としたエピソードである。 もう一人の“８０％首相”の小泉さんも、勝るとも劣らない、肉声の首相だった。 　（①【 肉声の首相】了）

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24日、細川護熙候補は災害の視察を兼ねて伊豆大島に飛んだ。早速被害地域に足を運んで犠牲者に献花して手を合わせ、その後被災者の会の人たちと会ってその声を聞いた。その対話の中で自然エネルギーの普及に話が及び、細川さんにとって成果のある大島行きとなった。

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また、ポスターがまだ島に届いていないので、細川さん自ら最初のポスター１枚を貼ったという。彼がポスターを貼っている姿を見たいものだ。

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≪細川・小泉こぼれ話≫②「細川内閣には、なるべく長くやってほしい」 私が細川首相の特別補佐のとき、首相官邸の私の部屋に小泉純一郎さんは何度もふらりと訪れた。

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その後彼が首相になるとは誰一人思ってもみなかった頃である。小泉さんは普通の自民党政治家の忙しさとは無縁な人で、しかも野党になったのだから、彼は暇を持て余していたのだろう。

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彼が来ると口癖のように言ったのが、「細川内閣を長くやってくれ」、「細川さんには長くやってほしい」ということだった。

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最初私は自民党議員なのに何をいっているのかとふしぎであった。「どうして？」と私がきくと「自民党が新しく生まれかわるためにはそれが必要なんだ」と言う。「自民党の野党暮らしが長ければ、予算だけが目当ての団体が離れていく。利権漁りの政治家もいなくなっていく」そう言うのだ。

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当時、そんなことを言う自民党議員は彼一人で、大半の人は一日も早く細川内閣を潰すことに躍起となっていた。いわゆる「佐川問題」もその一つで、最近当事者だった人たちが口を揃えて証言している。

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小泉さんの政治的軌跡を辿ると、居場所がまったく変わっていない。自民党の清和会。福田赳夫元首相、安倍晋太郎元外相の流れから一度も逸れていない。見事なほどである。

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彼はいつも自民党の敷地の中にどっかりと座ってきたが、自民党の家が古くなったり、悪くなったりしたら、それを「ぶっ壊して建て直せばいい」と思ってきたのである。評判が悪くなったら飛び出して他の家に移るとか、自民党とは別の新しい家をつくるとか、そんなことは一瞬たりとも考えたことがない。

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「飛び出した人はみんなつぶれている」とも言ったが、自民党を離党して新党さきがけをつくった私には痛烈すぎる言葉だった。

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だから今回の「原発ゼロ」の言動も細川支援も、これによって自民党を変えたいという気持ちが彼のどこかにあるはずだ。実際細川さんが当選すれば、自民党が否応なく大転換せざるを得なくなる。 （②「細川内閣には、なるべく長くやってほしい」了）

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きょうの細川候補は立川まで足をのばした。立川駅は駅前の歩道橋まで多くの人が溢れたという。候補によると「２０年前の日本新党の時と同じような熱気で本当にありがたかった」とのこと。少しずつ「原発を離れたらむしろ日本経済は飛躍する」という主張が理解されてきたのだろう。

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早くも潮目が変わったか！？ 都知事選の潮目が変わるのは次の土日（2月１日、２日）あたりかと思っていたが、この土日の選挙戦の様相は早くも潮目が変わりつつあるような印象だ。

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土曜の立川演説についての小泉さん自身の感想は「スゴイ、ハンパじゃない、イケル」だったが、日曜の巣鴨、池袋東口はその上を行っていて、まるで最終日のような熱気だった。

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神奈川県相模原市からわざわざ来た中年男性は演説後私を見つけると「どうなっちゃったんですか。７、８千人はいましたね」と声を掛けてきた。ところがある大新聞記者は私に「３００人ぐらいですか」と言ったのである。これは子供でも間違いだと判ること。なぜそうなるのか、強い不信感を持った。

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私は公正に見て３０００人ぐらいかなと思っていたところ、四方を見渡せる遊説カーの上からの「小泉調べ」は私と同じ３０００人。正確に言えば「少なくとも３０００人」。もちろん動員なしの数字だから驚く。駅前を通行する人たちに迷惑をかけて申し訳なかったと細川候補も小泉さんも心配していた。