京の一目惚れ

東山散策記
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洲央@土曜西“は”45a @laurassuoh

清水から八坂神社に向かう途中、江戸時代に描かれた絵を売る(模写、値段表示なしの時価)お店にふらりと立ち寄った。 書院造で6畳ほどの店内に人影はなく、2畳の会計側の畳にも誰もいない。私はゆっくり絵画を鑑賞できると思い店内を回ると、動体センサーが反応してベルが鳴った。 #京の一目惚れ

2014-02-22 03:23:42
洲央@土曜西“は”45a @laurassuoh

「いらっしゃいませ」 店の奥から出てきたのは黒髪を肩の高さで切り揃えた大和撫子の体現のような女性。年齢は見たところ私と同じか少し上、畳の上に正座する姿は実に美しかった。 「日本人は年齢が分からない」と言われるが、この女性は18~30歳まで、どの年齢にも見えた。 #京の一目惚れ

2014-02-22 03:26:36
洲央@土曜西“は”45a @laurassuoh

私は肌の若さから同年代だと決めつけ、絵の解説を戴いた。柔らかな京言葉が実に心地よかった。 夢のような時間はあっという間に過ぎ去り、私は店を出ることにした。 もっと話していたい。この人のことをもっと知りたい。そう思っている自分に驚いた。 #京の一目惚れ

2014-02-22 03:28:57
洲央@土曜西“は”45a @laurassuoh

だが、東山のこの隠れ家は、決して俗世間の興味に晒されてはならぬ神聖な場所に思えた。 私はもう一度だけその人の顔を見た。 新幹線の窓を隔てているように、私と彼女の目が合うことはなかった。私は彼女にとって流れゆく車両の一部だ。過ぎ去る一日の一コマでしかない。 #京の一目惚れ

2014-02-22 03:32:20
洲央@土曜西“は”45a @laurassuoh

これでいい。 私はそう納得した。彼女はきっと年を取らない。私が東山に行けばいつだってあの場所で絵を売っている。山裾に咲く撫子のように、気高く静かに美しく。 そして、私はあの場所に望んで行くことも二度とない。いつかきっと、また偶然に訪れることはあっても。 #京の一目惚れ

2014-02-22 03:36:50
洲央@土曜西“は”45a @laurassuoh

#京の一目惚れ このタグで投下したのは全て事実であり、東山のどこかにこの店は実在します。京(今日)は一目惚れが多い街ですね。物にも人にも。 地主神社に行って榛名との縁を祈って来た私でしたが、「一目惚れです」って金持ち黒髪大和撫子お嬢様に告白されないかしら。

2014-02-22 03:41:06