“猫と排気と人間世界”

浅欺@TO THE TOP！！ @asagi01dog

仔猫は静かに夢を見る。上下する胸、寝息に揺れる柔らかなひげ、時折前足を動かしては母親のぬくもりを探すように、暖かな夢を見ている。

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人の歩みは忙しなく行き交う。点滅する信号、鳴り止まないｸﾗｸｼｮﾝ、排気ｶﾞｽを毎日吸い込んで、同じ料理を食べては隠し味が効いてると得意面して笑う。人はそうして幸せが欲しいと軽々しく嘆いた。

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兄弟たちはいつもじゃれあっていた。噛みついて、引っ掻いて、もみくちゃになって転んだら、母親の鳴き声一つで仲良しになる。互いを舐めあって、寄り添って眠る。毎日それを繰り返してはのんびりと人に擦りよるのだ。

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何が良いのか、何が悪いのか、もはや何も解らなくなった。暗い部屋、音もなく温度もなく、もちろん思い出なんてありはしない。項垂れた肩に寄り添う存在も。あぁだから、幸せについて考えはじめてしまう。幸せを妬んでしまう。

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猫は夢を見る、見続けてる。人は幸せを想う、思い続けてる。猫は分け与えるように寄り添う。人は譲るまいと離れる。出会うべきではなかった。

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ごめんね、ありがとう、大好き。大好きなの。