ドリル・イェーガー #4(完結)

前半艦これが完全にどっか行った
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劉度 @arther456

◇◇◇◇◇◇◇ ←九十一式徹甲弾

2014-03-02 21:01:03
劉度 @arther456

【ドリル・イェーガー】#4

2014-03-02 21:01:23
劉度 @arther456

(これからSSを投下します。TLに長文が投下されますので、気になる方はリムーブ・ミュートなどお気軽にどうぞ。感想・実況などは #ryudo_ss を使用していただけると大変ありがたいです。リアルタイムで見なくても後でtogetterにまとめるのでご安心ください)

2014-03-02 21:01:38
劉度 @arther456

ベーリング海。流氷が浮かぶ海に、二体の巨人が立っている。一体は、全身にツララめいた棘を生やした、氷の巨人。もう一体は、力強くもスマートなフォルムの、鋼の巨人である。その巨人、すなわちジプシー・デンジャーの頭部コクピット内では、二人のパイロットが意識を同調させて操縦を行っていた。1

2014-03-02 21:02:49
劉度 @arther456

「マコ、システムの調子は!」パイロットのローリー・ベケットが、傍らのマコ・モリに聞く。「プラズマキャノンは右手が使用可能!正面装甲が少し損傷してるけど、駆動系は問題ないわ!」ビッグ・リ級を撃破したばかりだが、ジプシーはまだまだ戦える。頑丈な戦士なのだ。2

2014-03-02 21:06:05
劉度 @arther456

「よし、まずはハバクックを押し返して、船から離すぞ!」二人が左足を踏み出す。それに応えて、ジプシーも前に進む。助走をつけ、走り幅跳びのような跳躍で、ハバクックに飛びかかる!「おおおおッ!」空中で拳を振りかぶったジプシーは、ハバクックに殴られる前に先制のハンマーパンチを放った。3

2014-03-02 21:10:03
劉度 @arther456

派手な音を立てて氷と鋼が衝突、衝撃を受けたハバクックは、一気に後ろに押し返された。飛沫、というにはあまりに大量の海水を巻き上げながらも、ハバクックは踏みとどまる。無論、ジプシーもこの一撃で決まるとは思っていない。右の拳を握りしめ、ハバクックの顔を殴る!4

2014-03-02 21:12:56
劉度 @arther456

ガァン、と鈍い金属音が洋上に響き渡った!ハバクックが豪快にのけぞる。更に追撃の右ストレートを放つが、今度は逆にハバクックに拳を掴まれた。振りほどかれる前に、逆に膝蹴りを放つ!「ぐうっ……!」ダメージが、痛みとなってローリーたちにフィードバックされる。5

2014-03-02 21:16:14
劉度 @arther456

ハバクックがジプシーを殴るが、ジプシーはそれを受け止める。逆の手でジプシーがハバクックを殴ろうとするが、同じように受け止められる。プロレスのような力比べの光景。流石に大きい分有利なのか、ハバクックが押し込んでいる。更に押し込む。ジプシーは押し込まれ……否!6

2014-03-02 21:19:14
劉度 @arther456

突然、ジプシーの姿が消えた!正確には、横に回り込んのだが、押し込んでいたハバクックには消えたように見えたのだ。支えを失った巨体が海中に倒れる。柔よく剛を制す、あきつ丸の助言による改良が可能にさせた、イェーガー柔道である!バランスを崩したハバクックに、ジプシーは拳を振りかぶる。7

2014-03-02 21:23:17
劉度 @arther456

右、左、そして右!ヘビー級ボクサーめいた痛烈なコンビネーションだ!鋼の拳を受け、ハバクックの顔の氷が削れ飛ぶ!「やっちまえ、ジプシー!」鋼の巨人の勇姿を見た神宮司は、思わずイデオロギーを忘れて声援を送っていた。それに応えるかのように、ジプシーの腕がジェットの炎を吹き上げた。8

2014-03-02 21:27:01
劉度 @arther456

「エルボーロケット!」ローリーが叫ぶ。<OK, Elbow Rocket stand by...> 音声認識システムが、ジプシー・デンジャーの必殺武器の発動を了解した。<GO> システムボイスと共に、ジェットエンジンが全噴射。豪速の右ストレートが、ハバクックの顔を打ち砕いた。9

2014-03-02 21:30:46
劉度 @arther456

「ロケットパァァンチ!イヤッホゥ!」会心の一撃を見て、提督が歓喜の声を上げた。蔵王が歓声に包まれる。氷の破片がバラバラと海に落ちる。頭を砕かれたハバクックは、ゆっくりと倒れ――「ッ!ローリー!」「何ッ!?」倒れない。それどころが、砕けた顔が見る見るうちに再生していく!10

2014-03-02 21:34:30
劉度 @arther456

『ローリー、マコ、聞こえるか!』アンカレッジの管制塔から通信が入った。『胸のところに、ハバクックの本体がいる。そいつにダメージを与えないと倒せないぞ!』「胸だって!?どうしろっていうんだ!」ローリーが見たところ、胸の氷は顔より厚い。しかも、ヒビを入れてもすぐに再生してしまう。11

2014-03-02 21:38:01
劉度 @arther456

ハバクックが、近くの水面に浮かんでいた巨大イ級の死体を掴んだ。そして石を持った原始人のように殴りかかる!ガァン、と鈍い音が響いた。「うおおっ!」「くっ!」ジプシーのコクピットに衝撃が襲い掛かる。「チェーンソードじゃだめだ。もっと貫通力のある武器があれば……」12

2014-03-02 21:41:36
劉度 @arther456

『レンジャー諸君!』通信機に声。管制官の声ではない。『貫通と申したか!』「誰だ!?」『轟天号艦長・神宮司だ!それより、右手後方に氷山が見えるな!?』イ級を防ぎつつ首を後ろに向ければ、確かに大きな氷山が浮いている。『そこに武器がある、使ってくれ!』13

2014-03-02 21:45:17
劉度 @arther456

「武器!?何があるって……うおあっ!」イ級のフルスイングが、ジプシーの胴体を直撃した。二、三歩後ろによろめいてしまう。「仕方ない……とにかく行くぞ、マコ!」「ええ!」バーニアをふかし、氷山に接近する。後ろに回り込んだジプシーは、そこで思わぬものを見た。14

2014-03-02 21:48:54
劉度 @arther456

「こいつは……ドリルか!?」氷山には、巨大なドリルが突き刺さっていた。轟天号から引きちぎられたドリルが、そのまま残っていたのだ。ジプシーがドリルに手を伸ばす。ドリルはまるで初めからそう造られていたかのように、ぴたりと腕にはまった。ギュイィィン、と鋼の衝角が唸りを上げる。15

2014-03-02 21:52:34
劉度 @arther456

かつて、イェーガーの武器としてドリルをもたせるプロジェクトが存在した。ローリーたちが、ましてや神宮司が知るはずもない。貫通力のあるドリルでカイジュウの内蔵を破壊しようとしたその武器は、カイジュウ・ブルーという強力な毒性のある体液の存在により頓挫した。16

2014-03-02 21:56:00
劉度 @arther456

そもそもカイジュウ・ブルーを撒き散らさないために、格闘とプラズマ兵器で戦うイェーガーが造られたのだ。体を抉るドリルを持たせるなど本末転倒。しかし、数十年の時を経て、この極北の地において、ドリル・イェーガーは現実のものとなったのだ!17

2014-03-02 21:59:26
劉度 @arther456

ハバクックがイ級を振り上げ、突っ込んでくる。「でええりゃあああ!」振り下ろされた残骸に対して、ドリルを突き出す。回転する鉄の錐は、イ級の残骸をやすやすと打ち砕いた。驚くハバクックの顔面を、ドリルの側面で殴りつける。パンチよりも更に重量の乗った一撃が、氷の巨人を打ち倒す!18

2014-03-02 22:01:25
劉度 @arther456

起き上がる氷の巨人から、何かが飛び立った。深海棲艦の艦載機だ。巨大なものと通常サイズ、両方共ある。「まずいっ!」ジプシーに次々と爆弾が降り注ぐ。「左腕第二ブースター被弾!」マコが叫ぶ。このままでは近づけない。イェーガーに対空兵装など装備されていないのだ。19

2014-03-02 22:04:54
劉度 @arther456

「一か八か、このまま突っ切って……」言いかけたローリーの声を、巨大な爆発音が遮った。驚いて見上げれば、ハバクックの艦載機たちが次々と落とされていく。氷山空母から飛び立った編隊に立ち向かったのは、鳩のシンボルマークを掲げた戦闘機隊と、緑色に塗装された零戦の式神である!20

2014-03-02 22:08:11
劉度 @arther456

『こちら連合艦隊空母・赤城所属、本多隊!これよりジプシー・デンジャーの援護に回ります!』『ピジョン1よりジプシー・デンジャーへ!同じく援護に回る!そのデカブツをヤツに叩き込んでやれ!』爆撃のカーテンに穴が開いた。ジプシーがドリルを水平に構える。21

2014-03-02 22:11:53
劉度 @arther456

「ブースト全開!行けえええええっ!」背中のバーニアを全噴射し、ジプシーが突撃!ハバクックは右腕で防ごうとするが、一瞬で砕かれる!まさに鎧袖一触!ドリルの先端はハバクックの胸に命中、胸の氷を抉り始める!「まだだ……腕のブースターもくれてやる!」ドリルが更に加速!22

2014-03-02 22:15:11