葉推詩選:2014年、春。

0
葉月野 @hadukino_tc

恋の病に毒を塗る細い指。春の匂いで惑わして誘う。唇に触れたら口づけを交わす。あるいは嘘を。瞼に触れたら幻惑を見る。それとも伴侶を。胸に触れたらどうなるだろう。何も触れなかったら? 別の指先には解毒剤。でもどの指かは秘密。秘密が増幅する効果にも期待して。君に手を振る。 #書き出し

2014-03-01 00:01:36
葉月野 @hadukino_tc

通りを彩る店の看板は夜に映え 人の顔はぼんやりとしている これ見よがしな大声の会話 同僚の愚痴 酒の向こうの表情もまた、見えない 帰りが遅くなる言い訳を考えたが 怒った顔しか眼に浮かばない わたしもまた同じように あいまいになることに決めた #twpoem

2014-03-08 02:42:20
葉月野 @hadukino_tc

当たり障りのない退勤前の会話 お疲れ様と労わる優しさ 張りを失くした声が 張りのない肌に沁み込む 癒しを求める相手の願望には 気づかないふりをした 心のケアを促す 車内広告のキャッチコピー ほろりとする人 反発する人 これでもよかったか 週明けにでも聞いてみよう #twpoem

2014-03-08 03:14:11
葉月野 @hadukino_tc

のぞんだ生活を守るために おそろしい選択をしようとしている レトリックな社会に慣れきって いつの間にか歪んでしまった人間関係 しらないうちに染められていいの? ずっと気持ちいいのはただそれだけ むずかしい方を続ける先に豊かさがある #twpoem

2014-03-09 07:53:48
葉月野 @hadukino_tc

本の上に ネット上に 降った言の葉が 土となり 育てる 心と 次の言葉を #10秒で書く詩

2014-03-09 08:38:55
葉月野 @hadukino_tc

鍵を持ってないと 家に入れないよ それは悲しいことだよと 母が言う 不機嫌な顔をして 子どもが行ってきますと かぶせるように 出て行った 母は気にする 子どもの幸せと 買い物のタイミングを #twpoem

2014-03-09 08:59:01
葉月野 @hadukino_tc

情に訴える姿を遠巻きにして 報いを受けるのを巧妙に避ける 過剰反応と笑うくせに 多数の人間が互いの顔色を窺う ノーリスク・ハイリターンの甘い夢 取れるところは取れるだけ 捨てるところを見極る 選別に疲れ途方に暮れて 択一の解決にすがるんだ、結局ね #twpoem

2014-03-09 20:35:00
葉月野 @hadukino_tc

桜の枝に 蕾が並ぶ 生まれ 恋し 散り つなぐ 別れと 出会いを #10秒で書く詩

2014-03-10 08:30:26
葉月野 @hadukino_tc

責任を追求する人々が 拠り所にする絶対的な正義は 簡単に形を変えてゆくが 唱える者の本質は 何故か不変のままだ いま立っている場所が ずっと安全とも限らないだろうに #twpoem

2014-03-11 06:57:17
葉月野 @hadukino_tc

排水口が詰まったら業者に頼むか自分でやるか 外に流れていかないととにかく不便 主な判断基準はお金と時間と処理能力 義理人情は不要というけど助っ人はやはり有難い 反り返って流しの下から漏れてないか覗いてみて 対処が適切か確かめたら水を流して終わりにしよう #twpoem

2014-03-11 22:12:37
葉月野 @hadukino_tc

ああ、あの人はまだそこにいた。相変わらず私の知らない誰かにずっと話しかけていたよ。

2014-03-11 22:22:00
葉月野 @hadukino_tc

いち にの さん で、眠れないから よんで おはなし 眠りにつくまで #10秒で書く詩

2014-03-11 22:47:29
葉月野 @hadukino_tc

共感と反感の境界線を、胸中の振り子が行き来している 土台が傾けば、容易に揺らいでしまう 身のない意見に押し流されてしまう 傷つけるつもりなんてないのに 雄弁は銀、沈黙は金なら 欲しいのはプラチナの真理 誰もが満足するような無い物ねだりを続けている #twpoem

2014-03-12 06:44:03
葉月野 @hadukino_tc

カフェラテの柔らかな口当たりが朝の活力 ミルクティーが午後の気持ちを切り替える 優しさは補給するものではない と、わかってはいるけれど #twpoem

2014-03-12 07:10:33
葉月野 @hadukino_tc

しぼり出した優しさに 混じった苦みを気づかれてしまう 渋茶の良さもあるよね、と 茶飲み友達のようなやりとりで和む #10秒で書く詩

2014-03-13 21:39:06
葉月野 @hadukino_tc

だいている と いだいている いいなとおもう なんとなくね #10秒で書く詩

2014-03-15 12:40:45
葉月野 @hadukino_tc

宮尾節子さん( @sechanco )の詩「わたしはだいじにする」を読んで、心奥に湧いてくるものがあったので即興詩書いてしまった。『わたしはしりたい』 http://t.co/UsxsM6dAfn

2014-03-15 20:29:51
葉月野 @hadukino_tc

少し悲しい気持ちで日曜の朝に目覚めても 楽しい気持ちがまだ起き出してこないだけ ゆっくり休ませてあげるといい #10秒で書く詩

2014-03-16 11:37:27
葉月野 @hadukino_tc

小さな月にこもった人の思いが 霞む夜空ににじめばにじむほど 暖かな色を帯びて誰かを癒やす #10秒で書く詩

2014-03-17 20:58:46
葉月野 @hadukino_tc

餌を求めて川辺に集まる鳩達 鳩に囲まれて餌を与える老婆 朝の陽射しがつくる道の 果てにはやがて訪れる未来 水面の照り返しが撒き散らす 光の一粒一粒は遠い記憶 目の前の光景だけが 永遠を幻想させる #twpoem

2014-03-18 07:48:25
葉月野 @hadukino_tc

連絡先はこちら 休日もやってますというので にぶる体を鍛えようかと考えた やまいは気から るりの光も磨きがら ことばにするのは簡単だけど トレーニングがそもそも好きじゃないんだな なしくずしに決めたのは、だから いえでごろごろしていようという事 #twpoem #折句

2014-03-21 00:28:31
葉月野 @hadukino_tc

「いつまでもこまかいことを」という君が逃げたがってる負い目があるよ #tanka

2014-03-21 18:19:10
葉月野 @hadukino_tc

春分は冬のようなお天気も路面電車は花と賑わう #tanka

2014-03-21 18:25:16
葉月野 @hadukino_tc

春色の路面電車は五十年前二十三の若者たちで賑わっている 分点月と近点月と恒星月の差から日月蝕を割り出す話に花を咲かせる ノードの高い会話に無関心な乗客と興味をひかれた乗客の昇交点 日の出から日の入りまで温める旧く長い交わりにそっと触れる一時 #twpoem #折句

2014-03-21 19:21:12
葉月野 @hadukino_tc

昨日生きた証を形に残すには その上に今日を乗せるといい 自分のにでも、他人のにでも #10秒で書く詩

2014-03-22 02:02:22