2014年2月〜3月の「クリミア事変」について　《山崎雅弘》

山崎 雅弘 @mas__yamazaki

英文サイトで確認すると、ストリルコエとはStrilkoveで、クリミア半島の特徴的な「アラバト砂州」と呼ばれる細長いひも状の陸地にある街。ウクライナ側からクリミア半島に連絡できる数少ない通路だが、ロシア側は先手を打って塞いでしまった。 http://t.co/CjdZzxzvvK

拡大

山崎 雅弘 @mas__yamazaki

先にツイートしたグークルマップをよく見るとわかるように、アラバト砂州の北側はウクライナのヘルソン州に属しており、クリミア自治共和国の行政管轄下にはない。もしロシア軍（自称自警団）がここに居座り続けるなら、クリミアの国民投票とは関係なく「ウクライナの不法占拠」つまり侵略行為となる。

山崎 雅弘 @mas__yamazaki

六角堂出版のアマゾンKindle版電子書籍第36弾『クリミア侵攻作戦』発売中！　http://t.co/EmpNHHCvHD　第二次大戦期のクリミア半島とセヴァストポリ要塞攻略戦をドイツの名将マンシュタインの指揮を中心に解説。国際的に関心を集める #クリミア の戦略的重要性とは。

山崎 雅弘 @mas__yamazaki

プーチン大統領は１７日、住民投票でロシアへの編入を求める声が多数を占めたことを受け、クリミア自治共和国の独立を認める大統領令に署名（朝日）http://t.co/J7HcyhMDIA「ロシア黒海艦隊が本拠を置くセバストポリは、共和国の中で特別な地位を持つ都市として位置づける」

山崎 雅弘 @mas__yamazaki

ロシアのプーチン大統領は１８日、クリミア半島のロシア編入を決定し、議会に提案した。続いてクレムリンで上下両院議員を前に演説、クリミア編入条約の批准を議会に求めると共に、演説終了後直ちにクリミア自治共和国首相らと編入条約に調印した（時事）http://t.co/TsWSMtHM3z

山崎 雅弘 @mas__yamazaki

親ロシア勢力が議会などクリミアの2つの政府庁舎を占拠したのは2月27日。それから18日間、ロシア側は自治共和国の再編と並行して、ペレコプ地峡の軍事的な封鎖、ウクライナ海軍幹部の懐柔、ケルチ海峡両岸の支配権確立、アラバト砂州の封鎖など、戦略的に有効な方策を着実に1手ずつ打ってきた。

山崎 雅弘 @mas__yamazaki

ロシア側の動きと比べると、ウクライナ側は実質的に「後手」どころか何のリアクションも打てていないように見える。水面下の動きは不明だが、事実上キエフの新政権はクリミアのウクライナ系住民を完全に見捨てた形となった。この指導力の欠如は、ウクライナ東部のロシア系住民にも刺激を与えるだろう。

山崎 雅弘 @mas__yamazaki

ロシアのペスコフ大統領報道官は１９日、英ＢＢＣの番組に出演し、ウクライナ暫定政府が東部での状況の沈静化に手をこまねいていれば、「非常に悪い結果をもたらすだろう」と指摘。その場合、東部に住むロシア系住民を保護する目的で、「ロシアは国際法にのっとった合法的な手段であらゆる（続く）

山崎 雅弘 @mas__yamazaki

（続き）手を尽くす」と強調し、軍事介入の可能性にも含みを残した（読売）http://t.co/E9qZkrCZiG「戦い」を肯定する気はないが、キエフの新政府は形式的にでもロシアのクリミア侵攻と「本気で戦う姿勢」を内外に示さなければ、より大きな「戦争」を招く展開になるように思う。

山崎 雅弘 @mas__yamazaki

東西冷戦時代に西ベルリンで制作された、米英ソ仏の4国によるベルリン市の共同管理をモチーフにしたポストカード。中央で市街を南北に分断しているのが「ベルリンの壁（マウアー）」。ヨーロッパの冷戦と緊張は過去の話、になったかと思いきや。 http://t.co/1hp4iQwlLw

拡大

山崎 雅弘 @mas__yamazaki

ロシア国防省のユーリイ・ボリソフ次官は２０日、ロシア軍がクリミアでの駐留規模を拡大して、対外的な脅威から防衛する方針を明らかにした（イタル・タス通信／ロイター）http://t.co/W8nV5E5ZJJ　現ロシア政府にとってのクリミアは、重要な政治的威信のシンボルとなっている。

山崎 雅弘 @mas__yamazaki

現実には「外国の軍隊がクリミアに侵攻」する可能性は皆無だが、大規模な軍を駐留して「断固防衛する意志」を示すことで、指導者プーチンに対するロシア国民の支持を高め、周辺の「旧ソ連圏」の国々に住む「ロシア系住民」にも政治的シグナルを送っている。20世紀初頭型の民族主義が復活している。

山崎 雅弘 @mas__yamazaki

沿ドニエストル最高会議はロシア連邦議会下院に対して、連邦構成主体として編入するよう要請した（ロシアの声）http://t.co/ZMEuIrLzkP「沿ドニエストル・モルドワ共和国は1990年に独立を宣言したが、国連加盟国で主権を認める国はなく、ロシア連邦への編入を求めていた」

山崎 雅弘 @mas__yamazaki

沿ドニエストル・モルドバ共和国は、国際的にはモルドバ共和国の一部とみなされ、主権国家として承認されていないが、モルドバ政府の実効統治は及んでおらず、事実上の独立状態にある（Wikipedia）http://t.co/38flw65CVJ　多数派ではないロシア系住民の発言力が強い。

山崎 雅弘 @mas__yamazaki

先週の上京時に内藤陽介さんと東新宿のロシア料理店「スンガリー」で会食したが、メニューの内容は今のロシアだけでなく「モルドバ風」「ベラルーシ風」「グルジア風」等の「旧ソ連圏料理」だった。「旧ソ連圏」に居住するロシア系住民が、当該国の不安定要因になる時代に入りつつあるのかもしれない。

山崎 雅弘 @mas__yamazaki

米TIME誌最新号の表紙。「この土地は俺の土地だ」「古い世界秩序への回帰（Return to the old World Order）」http://t.co/452seANd9N http://t.co/hBTicFrhmS　等高線入り地図をあしらったデザインが秀逸。

拡大

山崎 雅弘 @mas__yamazaki

ロシアとEUが共にウクライナを「緩衝国家」にすることを望んでいるなら、冷戦初期のドイツや朝鮮半島のように「（ガリツィア系ウクライナ人が主導権を握る）西ウクライナ」と「（親露）東ウクライナ」に分断される可能性も否定できないと思う。クリミア半島は「永久に帝国（ロシア）の領土」となる。

山崎 雅弘 @mas__yamazaki

プーチンは演説で必ず「クリミアとセヴァストポリ」と両者を並立にしているが、これは行政区分の問題だけでなく、セヴァストポリという名が持つ、民族意識を揺さぶる力を意識しての行動だろう。またクリミア併合を「民族自決」という論理で正当化する手法も巧妙だと思う。国連体制の弱点を突いている。

山崎 雅弘 @mas__yamazaki

第二次世界大戦後の「連合国（国連）体制」における世界秩序（ワールド・オーダー）のルールは「武力による国境変更の禁止」と「民族自決の原則」の二つで、米と西欧が前者の論理でロシアを批判するのに対し、プーチンは後者を援用して反論しているので、前者の批判は決定的な決め手にはなっていない。

山崎 雅弘 @mas__yamazaki

ウクライナ国防省は20日、クリミアのセバストポリ港に足止めされているウクライナの軍艦「テルノーピリ」が、約20人の武装集団に占拠されたと発表した（AFP）http://t.co/4J571UnmwS「武装集団」強いな。20人で軍艦乗っ取りとは。コックのセガールを呼び戻すしかない。

山崎 雅弘 @mas__yamazaki

左の図は2010年の大統領選挙におけるティモシェンコ氏優勢地域（赤系）と親ロシアのヤヌコヴィッチ氏優勢地域（青系）。右の図はロシア語を話す住民の割合の違い。境界が同じ。（BBC News）http://t.co/4EoBRxL752 http://t.co/clqLU3pql5

拡大

山崎 雅弘 @mas__yamazaki

ちなみにロシアへの編入を求める「沿ドニエストル・モルドバ共和国」は、青系／中間黄色系の左下から2番目の地域に隣接している。同国の路上には「我々はモルドバではない！」という看板が（BBC）http://t.co/miBN9hwDts 　http://t.co/gLqdPdUxDv

拡大

山崎 雅弘 @mas__yamazaki

水源の山脈がないクリミア半島の北部と東部の水は、ドニエプル川からペレコプ地峡経由で引っ張っている。ロシア領クリミアの長期的な安定は「ウクライナ東部の親露状況」が鍵となる。（BBC News）http://t.co/4EoBRxL752 http://t.co/x5HrEHEg7K

拡大

山崎 雅弘 @mas__yamazaki

ロシアが併合したクリミア半島で、北部のチョンガルはウクライナとの新たな“国境”となった（産経）http://t.co/vhgUriOB0W　チョンガルはペレコプ地峡のすぐ東にある小さな海峡部で、第二次世界大戦以前からウクライナ東部とクリミアを結ぶ鉄道線の鉄橋があった戦略的な要所。

山崎 雅弘 @mas__yamazaki

2014年2月27日に「数十人の武装勢力が議会など2つの政府庁舎を占拠」したのが「クリミア事変」の事実上の始まりで、3月18日（19日後）には露政府がクリミア半島のロシア編入を決定、独立国として承認したクリミアと編入条約に調印し、3月21日（22日後）には条約の批准書に署名した。