マイケル・サンデルが劇場版魔法少女まどか☆マギカの監督だったならば

Luna Tamer @Mimyou0712

私はTV版魔法少女まどか☆マギカを見終えた後、このアニメについて宮台真司が言及するだろうと踏んでいた。それ故、定期的に「魔法少女まどか☆マギカ　宮台」と検索した。初めヒットしたものの中から宮台のまどマギに言及したものは全く見つからなかったが、根気よく検索し続けた。

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暫く後、いくつか宮台が言及したものが見つかるようになってきた。その中の一つが以下のサイトだ。 『SPA!』の『魔法少女まどか☆マギカ』特集について（１）―宮台真司・宮崎哲弥の評論を読んで - 新・怖いくらいに青い空 http://t.co/aVuK2cvCGu

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宮台の論評は新鮮な驚きこそないけれども、一定の水準を保った彼らしい論評だ。 しかし、私が驚いたのは、宮崎哲弥の論評だ。彼がコミュニタリアンで仏教徒であることは一般人は知らないだろうが、宮台（宮崎哲弥の間違いではない。私は誤表記が多いのであえて注釈をつけた）をウォッチしてきたならば

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当然知っていることだ。しかし、それを知っていても、彼がコミュニタリアニズムの代表的論客であるマイケル・サンデルがまどマギを見たら、という発想をしたことはかなり突飛なことだ。サンデルはまどマギなんか見ないっつーの！、というツッコミは野暮だ。あくまで反実仮想として述べているのであり、

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また、例えば、アニメに全く興味がなかったお笑いコンビのおぎやはぎの片割れが何かの間違いでまどマギを見てしまい、完全にハマってしまったという事例もある。そして、宮崎のこの論評がある。コミュニタリアン達がまどマギを今頃興味深い作品として楽しんでいるかもしれないｗｗｗ

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さて、以前、私は劇場版の前編・後編でTV版や漫画版にあったあのシーンが省かれている！と言った趣旨のことをTwitter上でツイートした。しかし、劇場版、TV版、漫画版をきちんと把握していなかったので、間違いがあった。

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それは置いといて、TV版全12話に新しいシーンを加え、なおかつ、映画2作品の時間に収めるにはTV版にあったシーンを幾つか省かなければならない。

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しかしそれには優先順位というものがある。このシーンを入れておいてなぜあのシーンは省かれたのか？との思いはファンならば一層強くなる。そこで、私は面白いことを考えついた。サンデルが劇場版前編・後編の監督だったならばと夢想することだ。あくまで私の独断と偏見が加わっていることをお忘れなく

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基本的なことを説明しよう。魔法少女になれば、どんな願いでも1つ叶えることができるのだが、魔女と戦う使命を課される。

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美樹さやかが想い人である元ヴァイオリニストで交通事故で現在病院に入院している上条恭介の体を直してあげられたらいいなあ、と思い、既に魔法少女であった巴マミに、他人の望みも叶えることができるのか？、と問う。そこで、巴マミはさやかにこう言う。

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「美樹さん、あなたはその人の夢を叶えたいの？それとも夢を叶えた恩人になりたいの？」

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このシーンを劇場版で外すなんてあり得ない！コミュニタリアンと対立していたリベラリストもそう思うであろう。例えば、リベラリズムの論客であり、「ケインズ政策」と呼ばれる政府による富の再分配を提唱したケインズなら、同意するのではないか？

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富の再分配が、金持ちからの施しか？、それとも、政府による公正な再分配か？これは決定的に重要なシーンである。

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次に、魔法少女となったさやかの身を案じて、まどかがほむらに「あ・・・あのね、さやかちゃんとね、仲良くしてあげてほしいの！」と、切り出す。

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そして、「あの子はね、すぐ誰かとケンカしちゃったりするけど、本当はすっごくいい子なんだよ。優しくて勇気があって誰かの為と思えば、いつも必死で・・・」と述べる。

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それに対してほむらは「魔法少女としては致命的ね。度を越した優しさなら甘さにつながるし蛮勇は油断になる。そしてどんな献身にも見返りがない。」（中略）「悪いけど彼女のことは諦めて」と告げる。これはさやかがコミュニタリアンでほむらが現在コミュニタリアンと対立するリバタリアニストのようだ

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日本で自己責任論を説くネトウヨ連中が好みそうなのが、ほむらのようなリバタリアニストの言説だ。だが、いくら頑張っても、我々はほむらのように強くなれない。我々はいつまでたっても美樹さやかだ。サンデルならそう言うであろう。

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実際、ほむらもあることに限っては冷静に判断できない美樹さやかと同じような人間であることが後半で明らかになる。

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そして、さやかと杏子が戦った後、まどかはさやかにこう言う。「昨日の子と一度話し合っておくべきなんじゃないかな。でないとまた会った時にケンカになっちゃうよ？」。すると、さやかはまどかにこう告げる。

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「まどかにはゆうべのアレがケンカに見えたの？」まどか「え・・・」さやか「あれは正真正銘の殺し合いだったよ。」。

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ハーバード白熱教室で、「制御を失ったトロッコに何人かが乗っている。そのうち、誰かが犠牲にならなければならない。誰を犠牲にするか？」といった問いを持ちかけるサンデルならば、命の重みについては、特に重要視しているはずだ。ならば、このシーンは外さなかったと思う。

Luna Tamer @Mimyou0712

他にも重要なのに外されたシーンは多々ある。だが、全部書く訳にはいかない。優先順位からいって、以上に述べた3つのシーンは絶対に外すべきではなかったと思う。