孫泰蔵さん、「死ぬまでに聴きたいアルバム1001枚」を読んで考えた事まとめ
「これは、繊細でありながら攻撃的、無防備でありながら大胆、内省的でありながら社会に目を向けた男の自画像である。タイトル曲をとってみても、驚くほどシンプルでありながら、今後の新しい世代の人々を感動させる永遠の名作となった。」
2010-11-02 08:43:32これはIgnacio Juliaという音楽評論家がJohn Lennonの "Imagine"(1971)というアルバムを評しての言葉だ。Johnという人間のアンビバレントな魅力をよく表していて素敵だと思う。
2010-11-02 08:43:39「彼女はBessie Smithのようないわゆる当時の一流のブルースシンガーではないが、しかし、永遠の一流のシンガーだ。遺作としてリリースされたこのアルバムはチャートのトップとなり、彼女の伝説を永遠ものにした。」
2010-11-02 08:43:44これはJanis Joplinのアルバム『Pearl』(1971)についてのコメント。Janisの、彼女にしか表せないという意味で個性的で普遍的な魅力をこれほどうまく言い表した言葉はないかもしれない。
2010-11-02 08:43:50ところで僕は、これまで二十数年のあいだ、ロックの歴史に燦然と名を残すアーティストたちの珠玉のアルバムを何度も何度も聴いてきたわけだが、ただリスナーとして聴いてきただけでその感動や作品の良さを言葉で表現したことなど当然一度もない。ふと、もし自分だったらどう評するだろうかと思った。
2010-11-02 08:43:56「すごい」とか「かっこいい」とか「泣ける」などの言葉を使わずに、あの素晴らしい作品やアーティストたちになにか美しい言葉を捧げるとしたら、いったい自分は何て言えるだろう、と考えてみたところ、アイデアの貧弱さと語彙の少なさとに自分自身がっかりしてしまった。
2010-11-02 08:44:03その点、ドイツの詩人ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ(ここはぜひフルネームで書きたい!)は、やはりすさまじく素晴らしい!ゲーテはベートーベンの交響曲第5番(通称「運命」)を聴いて、次のように評している。
2010-11-02 08:44:09なんてスケールの大きく、豊かなイメージ!なんてユニークなアイデア!ベートーベンの非凡さをこれほど短い言葉で的確に表現した賛辞は世の中に未来永劫存在しないのではないかと思う。ベートーベンもさることながらゲーテの非凡さもここから十分伝わってくる。
2010-11-02 08:44:25誰かの素晴らしい偉業を賛辞するとき、もしこんな素敵な言葉を贈ることができたら、相手も自分もどんなに幸せな気分になれるだろう。Robert Dimery総編集「死ぬまでに聴きたいアルバム1001枚」(ソフトバンククリエイティブ)を読んでこれからは評論の勉強もしようと思った。
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