女装提督と山城さん

MIB＠C103土曜日(1日目) 東ユ61a @MIBkai

思いつき。女装提督と山城さんとか書いてみるか。

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「余興？」 「ええ。転任する皆様向けに色々とやろうと思いまして」 そう、目の前の女性は言う。一幅の絵からまろびでてきたような長い黒髪の美女ではあるが、ただの女性ではない。戦艦「扶桑」と同じ名をいただく彼女は、ある意味でそれと同じである。 #女装提督と山城さん

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「ふむ、それでは兵学校仕込みの……」 「ダメです」 「えっ」 「ダメです。女の子ばかりだってこと、忘れていませんか？提督」 それを聞いて、持ちネタのファイアーダンスは使えないな、と提督は頭の中でバツをつけた。 #女装提督と山城さん

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「じゃ、何をやればいい」 むっとしながらも、提督は聞く。扶桑は、笑顔で答えた。 「定番の女装とかどうでしょう」 「えっ」 「女装です。ああ、カミソリは用意しましたから、ムダ毛の処理、お願いしますね」 「あの、扶桑さん？」 「やってください」 「はい」 #女装提督と山城さん

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「……で、どんな格好すればいいんだ？」 「私の艤装をお貸しします。あとはウィッグとかも。背格好は同じくらいでしょう？」 「あの、扶桑さん？」 「着付け、しますから着てくださいね。提督」 「すみません、目が怖いです」 #女装提督と山城さん

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哀れなるかな。提督は兵学校舞鶴分校をブービーで卒業したアレな男であるが、顔に関していえば比較的女顔であった。男にモテる、それも僚友とかそっちではない方向でモテる類であった。 扶桑は、実に楽しんでいた。意外と女装させるのは、楽しいものである。 #女装提督と山城さん

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「……あらまあ」 「も、もう……許してください……」 化粧をまだしていない為、男がただ扶桑の艤装を身につけている、というアレというのも憚られる光景であったが、しかし。 「すみません、提督。別件がありますので、化粧は別の人に頼むことにしますね」 #女装提督と山城さん

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おい、待て。という間もなく、扶桑は執務室から姿を消す。おい、見られたら身の破滅じゃないか、と慌てながら、左へ、右へ、とうろうろしているうち、ノックの音がした。 「はいりま……げっ」 「げっ……」 同時に上げたうめき声。 #女装提督と山城さん

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入ってきたのは、扶桑と似た艤装を着用した娘である「山城」であった。髪は扶桑と比べれば短く、肩口のあたりで切りそろえてある。 その顔に浮かぶのは、哀れな生物を見る類の侮蔑のアレであった。 「まて、これには事情がだな」 「……姉さまから伺っております」 #女装提督と山城さん

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奇妙な時間であった。鏡の前でメイクをされ、別人の顔に変わっていくのを眺めていると、提督はああ、なんか引き返せないのね、これ。というあきらめがついた。だが、顔をしかめていた山城は、時々眉をひょい、と上げて、一瞬表情をゆるめ、またしかめている。 #女装提督と山城さん

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「……姉さま？」 唇にぴとっと指を当て、紅をつける段になって、山城の声が耳に届いた。 「……うん？」 「……なんでもありません！……不幸だわ……」 おかしなやつだ。と思いながら、ウィッグをつける。 「どうだ？」 鏡を見れば、そこには目つきの若干悪い扶桑が居た #女装提督と山城さん

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なお、扶桑はタレ目で、提督は切れ長の目であるため、どうにもこればかりは変わらなかったらしい。 「……男には見えませんね」 「それはそれでどうもな……」 「で、本当にそれで宴会に出るんですか？」 「……お前、俺の芸見たいか？」 「セクハラで訴えますよ」 #女装提督と山城さん

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ともあれ、一応の準備は整った。ということで、衣装を脱ごうかと思ったのだが、あ、と山城が声を上げた。 「提督、トランクスはちょっと……」 「……お、女物の下着をつけろってのは嫌だぞ！」 「そんなこと誰も言いません！……不幸だわ……」 #女装提督と山城さん

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宴会の当日。畳敷きの宴会場で化粧を山城、着付けを扶桑がやり、司会として場を取り仕切る。扶桑さんが二人いる、とひと騒ぎになった段階で、ネタばらしをした。それはそれで楽しくはあったのだが、別の何かである。 事件は、その宴会が多いに乱れた時に、起こった。 #女装提督と山城さん

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「やあ、終わったな、山城……」 そう提督が女装したまま声をかけると、山城はとろん、とした目で振り向いた。 「なんれすか？ねーさま。声が野太いれすよ」 あ、これはいかん。と思った瞬間、ビール瓶から、ぐいっと酒が注がれた。 「喉が悪いんれすね！さあぐいっと！」 #女装提督と山城さん

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「えっ、あっ、はい」 あらやだこの子絡み酒だわ。大丈夫？山城。真っ赤よ？と提督は脳内で扶桑が言うのを聞いた。飲み干すと、またもう一杯注がれる。 「あー、あー？」 酒臭い真っ赤な顔を、ほとんど唇が触れんばかりの距離にまで近づけながら、山城はしげしげと顔を見た。 #女装提督と山城さん

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「あー、あー！」 山城は大声を出す。会場中の注目が集まりそうな勢いの、大声だ。 にっと笑って、山城は提督のスカートをめくる。 「膨らんでる！ねーさま！」 「お、おいやめんか！」 「あ、そーだ、提督だ！」 けたけたと笑いながら、とんでもないことを山城は始めた。 #女装提督と山城さん

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むにっ。という擬音をさせながら、女装した提督の例のなんかを、山城はつかんだ。 「ねーさまだ！おちんちんがあるねーさまら！」 山城はきゃたきゃたと笑いながら、提督の肩を叩く。 「なんでついてるんれすか？ねーしゃま」 私が知るか。と提督はよっぽど言いたかった。 #女装提督と山城さん

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「あー。ねーさまトイレ……」 「えっ、おい」 「連れてってくらさい！といれ！」 首にかじりつきながら、さあ、抱えてください、と山城は目で訴える。 提督が周りを見たらば、一斉に目をそらした。なお、青葉のカメラのシャッター音が大きく響く。 #女装提督と山城さん

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お姫さまだっこだー、だとか笑いながら言う山城。笑いをこらえて死にそうな顔をしている扶桑。やけくそを通り越して清々しい表情をする提督。 ところで、何の宴会だったのだろうか。これは。 「主賓は大和さんだったのに……」 「もういいのよ……」 #女装提督と山城さん

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余談 「ひっ！」 山城は、鎮守府の新聞を見て小さい悲鳴を上げた。扶桑姉さま……いや、女装した抱きかかえられた自分がでかでかと写っているのである。 「お、どうした？」 提督が、山城の方に向かって歩いてくる。山城は、訳のわからないことを言って逃げ出した。 #女装提督と山城さん

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#女装提督と山城さん おわり ※なお、R-18なシーンも考えてましたが、ツイッタアーでは載せられないので。イイね？