【twitter小説】猫の管理人#1【ファンタジー】

街に猫が増え続けている…清掃ギルドの青年は猫をなんとかしようとするが、そのとき夢に現れたのは猫の魔法使いだった。小説アカウント@decay_world で公開したファンタジー小説です。この話は#4まで続きます
減衰世界 Twitter小説
rikumo 656view 1コメント
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  • 減衰世界 @decay_world 2014-03-17 17:21:48
     ナィレンの衛星都市であるギウン市は、ナィレン崩壊後もその繁栄をしばらく続けた旧都で、街のあちこちでかつての栄華の面影を見ることができる。街中に色とりどりの紐が渡され、万国旗のように赤や黄色の三角布で紐を飾りつけていた。 1
  • 減衰世界 @decay_world 2014-03-17 17:25:22
     ギウン市の清掃ギルドの組員であるレウンは、その日も街の清掃に勤しんでいた。ギウン市は有名な観光地であり、観光客を歓迎するため街はギルドの手によって綺麗に清掃されているのだ。レウンは水色の清掃服に白いエプロンをつけて蒸気式掃除機で歩道を清掃していた。 2
  • 減衰世界 @decay_world 2014-03-17 17:32:37
     するとレウンの目前を猫が二匹横切った。どういうことだか最近猫をよく見る。野良猫は駆除対象だ。しかし規律はそれほど厳しくなく、レウンや他のギルド員も野良猫は苦情が来るまで放置することが多かった。しかし最近の猫の数は異常だ。 3
  • 減衰世界 @decay_world 2014-03-17 17:36:11
    「こりゃ臨時会議あるかな……」  レウンは若い青年であり、恋人がいた。今日は仕事の後に会う約束だったのだ。街のランドマークである巨大遺跡の公園でのデートの約束。しかし悪い予感は的中した。 4
  • 減衰世界 @decay_world 2014-03-17 17:40:38
     カチカチと緊急電信が鳴り響く。そのリズムは緊急招集を告げるものだった。ああ……レウンはため息をつくと、街の郵便局へ立ち寄り恋人に向けて電信を打った。 『きょうは いけない ごめん うめあわせ かならず』 5
  • 減衰世界 @decay_world 2014-03-17 17:45:43
     その後急いでギルド支部へ向かった。支部の前にはすでに同僚がたむろしている。 「おお、レウン。やっと来たか。これから会議だぞ」  同僚は玄関近くの喫煙スペースで煙草を吸って会議までの時間を潰しているようだった。レウンは裏手に回り掃除機を収納する。 6
  • 減衰世界 @decay_world 2014-03-17 17:49:34
     それから同僚と共に会議室へと入った。中には上司がすでに待っていた。生真面目な独身の男だ。黒板に議題を描いている。それを見てやはりとレウンは思った。猫が……爆発的に増えているのだ。 「来たか、お前ら。これから会議を始める。カンのいい奴はもう気づいているだろう」 7
  • 減衰世界 @decay_world 2014-03-17 17:53:21
     黒板には色々なデータが描かれていた。ギウン市の野良猫が推定で千匹に増えているという。それほどだとはレウンも思わなかった。人目につかない所に大量に群れている所が確認されたのだ。上司はゆゆしき事態だという。 8
  • 減衰世界 @decay_world 2014-03-17 17:58:29
     清掃は行き届いており、猫が増えた所で観光客が喜ぶだけだろう。だが問題は、この増えた猫たちが他の地域から大量に流入している点だという。何故かギウン市に様々な場所から猫が結集しているのだ。これは伝染病などの伝播の危険性があるという。 9
  • 減衰世界 @decay_world 2014-03-17 18:01:37
    「何故かはわからない……ただ、これ以上猫の流入を許すわけにはいかない。我々ノールトリア衛生局ギルドのギウン支部一丸となって公衆衛生を死守せねばならないのだ。猫を大量駆除せねばなるまい……」 10
  • 減衰世界 @decay_world 2014-03-20 16:10:59
     レウンはその日は帰宅を命じられた。終業時間も近いので、実施は明日からということになったのだ。会議が長引いてすっかり遅くなってしまった。恋人には悪いことをしてしまったがしょうがない。家に帰ると電信が届いていた。恋人からだ。 11
  • 減衰世界 @decay_world 2014-03-20 16:16:52
    『ざんねん つぎは たのしみにしてる』  そんなに怒ってはいないようで安心した。ひとまず今日は寝よう。しかしレウンはその日奇妙な夢を見た。 12
  • 減衰世界 @decay_world 2014-03-20 16:19:57
     レウンは夢の中で宇宙に浮かんでいた。手足をばたばたさせるが、宙を泳げるわけではない。星の代わりに宇宙に浮かぶのはたくさんの猫だ。四方八方から猫の声がニャーニャーと響いてくる。流星のように尾を引いて猫が猛スピードで駆け廻っている。 13
  • 減衰世界 @decay_world 2014-03-20 16:24:44
     しまった、猫の駆除なんて話をしてきたから、猫に呪われたか……しかし危害が加えられているわけではない。やがて誰かがスーッとこちらに近づいてくる。マントに身を包んだ直立不動の紳士だ。しかしやはりその顔は猫だ。 14
  • 減衰世界 @decay_world 2014-03-20 16:28:21
    「こんにちにゃー、レウン様」  その猫の紳士はレウンの直前で止まると、挨拶をした。マントから覗く服は詰襟のようだった。帝国式魔法使いの装いだ。レウンは猫の紳士に挨拶を返す。 15
  • 減衰世界 @decay_world 2014-03-20 16:34:05
    「猫にも魔法使いはいるのか……?」 「さようでございますにゃー。僕のことは管理人と読んでほしいにゃー」  猫が語尾にやたらとにゃーにゃーとつけるのはいささか滑稽だったが、口には出さず話を合わせる。 16
  • 減衰世界 @decay_world 2014-03-20 16:38:30
     魔法使いは絶対的な力を持つ。通常の人間など相手にならないだろう。この夢もきっと魔法の作用なのだ。自分の身柄は完全に掌握されていると言っていいだろう。まさか、駆除を前にして逆に駆除しにきたか? レウンは震えあがった。 17
  • 減衰世界 @decay_world 2014-03-20 16:41:14
    「そう怯えなくていいにゃー。僕はあなたたちにお願いをしにきたのだにゃー」  管理人はそう言って笑った。彼の言うことには、猫たちは一時的にこの街に集結しているが、やがて目的とする場所に一斉に旅立つというのだ。 18
  • 減衰世界 @decay_world 2014-03-20 16:49:20
     だから駆除の心配は必要ない。もう少しだけ駆除を後回しにしてほしい……そう言ってきたのだ。1週間たって猫の数が減らなかったら、駆除してもいい。でもその前に街の猫をみんな連れていくと。 19
  • 減衰世界 @decay_world 2014-03-20 16:54:51
     気づいたら、朝になっていた。管理人とはいったい何者なのだろうか。しかし、これはいい話であった。駆除には大変な労力と費用がかかる。その猫がみんな去っていくというのだ。しかし猫の魔法使いとはいえ、そんなことが出来るのであろうか。 20
  • 減衰世界 @decay_world 2014-03-20 16:59:18
     とりあえずその日は出勤して上司に夢のことを話すことにした。すると、驚くべきことを上司は口にしたのだ! 21
  • 減衰世界 @decay_world 2014-03-26 20:06:17
     レウンは上司に猫の管理人が出てきた夢のことを話した。すると、上司は思いがけないことを口にした。なんと、上司も同じような夢を見たというのだ! これは偶然ではないだろう。管理人は確かに存在するのだ。 22
  • 減衰世界 @decay_world 2014-03-26 20:09:30
    「どうしましょうね、駆除のこと……」 「延期するしかないだろう。彼らが自分から去るというのだ。彼らの好きにさせてやろう」  そういうことに纏まった。上司は集まった部下たちに駆除の延期を通達した。 23

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