2014年4月21日

古鷹青葉を見守る衣笠さんbot #20

更新二十回目のまとめです。 青葉と祥鳳の互いに言いたかったこと。鎮守府の小さな恋模様。そして第六戦隊、出撃。
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古鷹青葉を見守る衣笠さんbot改 @dairokusentai

「補給ちゃんとした?」 「ええ」 「飛行甲板の修復はできてる?」 「もちろんよ」 「艦載機の整備は?見てあげるからちょっと貸して!」 「あっ、ちょっと!もう心配性なんだから。さっきもチェックしてくれたじゃない」 「念には念を!彗星は整備がちゃんとできてるかで性能が違うんだから!」

2014-04-20 21:34:12
古鷹青葉を見守る衣笠さんbot改 @dairokusentai

その小柄な艦娘は、床に座って相手から取り上げた艦載機を分解し、手際よく整備していく。 「うーん、燃料噴射ポンプがちょっと不安だけど、まあいけるかな。でもちょっとでもおかしいなと思ったらすぐ帰投するのよ!?」 「はいはい、瑞鳳ったら細かいんだから」 「祥鳳が気にしなさすぎなの!」

2014-04-20 21:39:44
古鷹青葉を見守る衣笠さんbot改 @dairokusentai

両手を腰に当ててそれらしくお説教しようとしている瑞鳳の話を弓を携えた祥鳳はニコニコしながら聞いている。 「そんなに心配しなくても大丈夫よ。一緒に出撃する正規空母は加賀さんと大鳳ちゃんだもの。実力は瑞鳳もよく知ってるでしょ?それにうちの鎮守府でも指折りの練度の雷巡三隻も一緒だもの」

2014-04-20 21:45:19
古鷹青葉を見守る衣笠さんbot改 @dairokusentai

「そうだけど!祥鳳よわっちいじゃない!心配になるのも当たり前よ!」 「ひどいわねえ」 言葉とは裏腹に微笑みながら祥鳳さんが瑞鳳の頭に手を載せる。さっきまで威勢の良かった瑞鳳が、急におとなしくなって頭を撫でられている。祥鳳さんに引き寄せられてその胸に顔を埋める。

2014-04-20 21:51:01
古鷹青葉を見守る衣笠さんbot改 @dairokusentai

「昔の雪辱したいでしょって言ってもらえて、珊瑚諸島沖攻略のとどめに旗艦として出撃させてもらえるんだから、幸せよね」 祥鳳さんが瑞鳳の背中を撫でながら言う。瑞鳳の背中が震えている。 「でも……無事に帰ってきてくれなきゃやだよ……お姉ちゃん……」 ええとどうしよう。私非常に出づらい。

2014-04-20 21:56:33
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話しかけるに話しかけられない状況で母港の埠頭で抱き合う瑞鳳と祥鳳さんを眺めていると、気配に気づいた瑞鳳がばっとこちらを振り返った。その顔がみるみるうちに羞恥に染まる。 「ききき衣笠さん!?いつから見てたの!?」 「えっと、ごめんね。話しかけるタイミング失っちゃって最初から……」

2014-04-20 22:01:47
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「ひ、どい……!うわぁああん!」 顔を真っ赤にした瑞鳳が明後日の方向に逃げていった。祥鳳さんがその背中を残念そうに眺めている。 「あの、ごめん。邪魔する気はなかったんだけど……」 そう詫びると祥鳳さんがひらひらと手を振って言った。 「ううん。それより私になにかご用なんでしょ?」

2014-04-20 22:08:39
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ええ、と頷いて私は背後に向かって手招きした。物陰に隠れていた青葉がおずおずと近づいてくる。祥鳳さんがあら、という顔になる。 「青葉がね、祥鳳さんに会って話をしたいって言うのよ。悪いんだけどちょっと時間もらえる?」 「ええ、大丈夫よ。出撃までまだ時間はあるし。それで、お話って?」

2014-04-20 22:14:22
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祥鳳さんに目を向けられた青葉が、さっと顔を伏せた。その、とかあの、とか口の中でもごもご言っている。私は目顔で祥鳳さんにごめんね、ちょっと待ってやってと伝える。祥鳳さんも心得ました、と頷いてくれる。やがて青葉が口を開いた。 「祥鳳さん。……その……青葉のこと、恨んでますか?」

2014-04-20 22:19:44
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祥鳳さんが目を丸くした。青葉は下を向いたまま続ける。 「昔、青葉たちは祥鳳さんを守れなくて……祥鳳さんを戦争で最初に沈んだ空母にしてしまって……。しかも、乗組員もすぐには助けられなくて9時間も海の上で……だから青葉たちは――」 「ふふっ」 青葉の言葉をさえぎって祥鳳さんが笑った。

2014-04-20 22:28:19
古鷹青葉を見守る衣笠さんbot改 @dairokusentai

何事かと祥鳳さんを見ると、お腹を抱えて笑っていた。長いおさげが私たちの眼前でリズミカルに揺れる。 「深刻そうな顔して話って言うから何かと思ったら、何だそんなことなの?青葉がずっと昔のことを気にしてるって話は本当だったのね」 「でも、青葉たちが祥鳳さんを守れなかったのは事実で……」

2014-04-20 22:33:08
古鷹青葉を見守る衣笠さんbot改 @dairokusentai

まだ申し訳なさそうにしている青葉に、まあいまだに珊瑚は嫌いだけどねと言いおいてから祥鳳さんが続けた。 「でも、珊瑚海海戦は仕方なかったわよ。味方の機動部隊に向かうはずだった敵の主力が、全部私に集中しちゃったんだもの。元々ミッドウェー作戦を控えて無理のある戦力で挑んだ戦いだったし」

2014-04-20 22:39:57
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ポートモレスビー攻略に向かう陸軍船団を支援するために、瑞鶴翔鶴を中心とするMO機動部隊と祥鳳さんと私たち第六戦隊、それに駆逐艦漣からなるMO攻略部隊が組織された珊瑚海海戦。私たちは輪形陣をとって祥鳳さんを護衛したが、敵艦載機の猛攻にあえなく祥鳳さんを撃沈されている。

2014-04-20 22:45:38
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味方の艦載機も奮闘し敵の空母の一隻を撃沈、もう一隻を大破に追い込んだけれど、翔鶴も大破したため作戦は中止。ポートモレスビー攻略は果たせずに終わっている。 「乗組員の救助だって、いつまた敵の攻撃があるかわからない状況だったじゃない。あなたたちまで沈んでたら目も当てられなかったわ」

2014-04-20 22:50:53
古鷹青葉を見守る衣笠さんbot改 @dairokusentai

青葉が祥鳳さんの言葉を文字通り受け取っていいものか迷っているような顔をしていると、それより、と態度を改めて祥鳳さんが言った。 「私の方も、あなたたちに言いたいことがあったのよ」 それを聞いて、青葉が体を固くしたのが分かった。私も居住まいを正して祥鳳さんの言葉を待つ。

2014-04-20 22:56:48
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息を吸って、顔を引き締めた祥鳳さんが口を開いた。 「あなたたちの放った索敵機が敵を見つけてくれたおかげで、私を沈めた敵の空母を撃沈できたと艦娘になってから聞きました。仇をとってくれて、ありがとう。お礼を言わせてください」 祥鳳さんが深々と頭を下げる。青葉は呆然とそれを見ていた。

2014-04-20 23:03:21
古鷹青葉を見守る衣笠さんbot改 @dairokusentai

まさか昔の仲間に礼を言われるなんて夢にも思っていなかったのだろう。青葉が何も言えないでいるうちに祥鳳さんが顔を上げた。ふふっ、と苦笑する。 「もう、お礼の言い甲斐もないわね。とにかく、青葉は私たちに恨まれてるかもしれないとかそういうこと気にしなくていいのよ。いい?」

2014-04-20 23:09:11
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青葉に諭すように言う祥鳳さんに、青葉がためらいがちに頷く。私の方を見て微笑んだ祥鳳さんに、私も頷き返す。その時、別の埠頭から祥鳳さんを呼ぶ声がした。 「あら、出撃の時間だわ。行かなきゃ。あと、青葉?」 「は、はい!」 「見事勝って帰ってきたら、私のことも記事に書いてね?」

2014-04-20 23:16:41
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そう言い残した祥鳳さんが、水面に足を踏み出して海の上を走り、他の出撃メンバーと合流する。青葉が口の中で「必ず」と呟いたのを私は聞き逃さなかった。 「遅いよー。皆準備できてるよ?」 「ごめんなさい。では、艦隊、出撃しますね!」 北上さんに答えた祥鳳さんが片袖をはだけて言い放った。

2014-04-20 23:22:08
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珊瑚諸島沖攻略部隊が祥鳳さんを先頭に木曾北上さん大井さん大鳳ちゃん加賀さんの順に出撃していく。 「お姉ちゃ……しょーほーっ!がんばってーっ!」 いつのまにか埠頭に戻ってきていた瑞鳳が叫び、手もちぎれんばかりに手を振っている。祥鳳さんが振り返って笑い、それに手を振り返す。

2014-04-20 23:27:16
古鷹青葉を見守る衣笠さんbot改 @dairokusentai

横を見ると、青葉はメモ帳に何事か書き記している最中だった。記事のために出撃前の情景を書き残しているのだろう。再び出撃していく艦隊に目を向ける。今はもう大丈夫なようだけど、青葉の件で辛いことを思い出させた北上さんにも謝らなきゃと思っていると、不意に北上さんがこちらを振り返った。

2014-04-20 23:33:42
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すぐ後ろを行く大井さんの肩を叩き、振り返らせた上で北上さんがこちらを指さしてきた。ああ、と微笑んだ大井さんがこちらに手を振ってくる。一瞬私たちに手を振っているのかと思ったけれどよく見ると私たちとは微妙に違う場所に目を向けている。その方向に目を向けると、コンテナの陰に人影があった。

2014-04-20 23:40:32
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その人影は、母港に積み上げられたコンテナの陰に隠れながら大井さんに手を振り返している。興味を惹かれて近づいてみると、私に気付いた人影がさっとコンテナの列の奥の方に逃げ出した。けれど確かここの列は行き止まりになっていたはず。そう思いながら覗き込むと立ち往生した駆逐艦娘の姿が見えた。

2014-04-20 23:47:27
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「ななななんだよ!あたしになんか用!?」 行き止まりに背を預けて真っ赤な顔でこちらを見返してくるのは、綾波型駆逐艦娘の敷波だった。 「用って訳じゃないんだけど、敷波ちゃん、大井さんに手を振ってたの?」 「わ、悪い!?別に大井さんが心配だったとかそういうわけじゃないよ!?」

2014-04-20 23:53:58
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