【小話まとめ】ひふみ

荻ノ目(@ogi_no_me)が気まぐれに続けているシリーズ、獏の三兄弟「ひふみ」の呟きをまとめました。
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おぎのめはいません。 @ogi_no_me

二人は夜の空の高いところへかかっている半分の月を、焦がれるように見上げていました。 だから私はなんにも言えないのです。 あの月の半分はなくなったわけじゃなくって、ただ、光を受けていないだけだよ、なんて。 とてもとても、言えないのでした。 #おぎのめも #ひふみ

2014-05-07 22:00:47
おぎのめはいません。 @ogi_no_me

ねえ、あのお魚の夢は食べられないの? ふぅくんが言いました。お空を見上げながら言いました。 黒色と赤色と青色のお魚が、びゅうびゅう強い風になびいて、空を泳いでいます。 お魚の口元は、白い紐で、そばの棒にくくりつけられているようでした。 #おぎのめも #ひふみ

2014-05-12 12:33:51
おぎのめはいません。 @ogi_no_me

あれは、人が空へ泳がせている布のお魚だよ。だから夢はみないんだよ。 そうなの? 私がそう説明すると、ふぅくんは小さな目を目一杯まで見開いて、お魚を見上げました。風が止まないので、お魚も泳いでいるままです。 本当に、夢を見ないのかなあ。 ふぅくんが呟きます。 #おぎのめも #ひふみ

2014-05-12 12:37:00
おぎのめはいません。 @ogi_no_me

私はそれへこくこくうなずきます。 だって、あの布のお魚は、生きてないもの。生きてるものだけが、夢を見るんだよ。 けれどもふぅくんは、まだ納得がいかない様子で、じっと、布のお魚を見上げています。 きっとたくさん、おいしい夢を見てると思ったのになあ。 #おぎのめも #ひふみ

2014-05-12 12:40:26
おぎのめはいません。 @ogi_no_me

残念そうな声でした。 だからせめて一緒に、お魚を見上げていることにしました。 びゅうびゅうと強い風になびいて、お魚は空を泳ぎ続けています。 #おぎのめも #ひふみ

2014-05-12 12:42:35