#twhihyo 【まとめ】 お気に入りTwitter小説作品集(Twitter小説まつり作品集寄稿者・自薦)

 2014.05.05開催の「Twitter小説まつり」開催記念作品集寄稿者各位に選択してもらった、自作Twitter小説のお気に入り作品集です。 他薦集はこちら http://togetter.com/li/661577 お気に入りTwitter小説作品集(自薦・他薦)まとめのまとめ 続きを読む
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ながしろ"ヌッヘッホ"ばんり @Banric

#twnovel 月見うどんにがっちり首を束縛されて見上げるのは曇天模様である。「月、出てないすけど」「もう一寸したら雲が切れるから、そうしたら見えるから」立春を過ぎたとはいえまだ冬の夜である。湯気を立てていたうどんもあっという間に冷めて首筋も凍てついてくる。鼻が痒くなってきた。

2014-02-18 23:23:20
ながしろ"ヌッヘッホ"ばんり @Banric

#twnovel 愛と勇気だけが友達、とはいうものの向こうはそう思っていなかったようで、其れ以上の関係を求めるべく互いの隙を突いてアンパンマンに迫るふたりであった。ずいぶんな修羅場刃傷沙汰もあったが、数年後、蝋の翼で大空に飛び立つイカロスによりそう勇気の姿が。勇気一つを友にして。

2011-09-21 13:27:47
ながしろ"ヌッヘッホ"ばんり @Banric

#twnovel 仲間内で頗る足の遅い兎がおったが、ある日、自分は兎ではなく亀なのだということに気がついた。なるほど。でも待てよ、では何故友達は自分を友達としてくれていただろう。昨日も4人で愉快に酒を酌み交わした。考えてみれば、おのおの兎などではなく、豚と犬と河童だった気がする。

2013-02-21 21:50:16
ながしろ"ヌッヘッホ"ばんり @Banric

#twnovel 魔法少女でいることと引換えに、10時間以内にクレープを摂取し続けねばならない坂爪ももる。「そもそもヒトならざる力を得ようと思ったことが罪なのよ」と、今日もクレープ屋からクレープ屋への遊動生活が続く。「単なるクレープ屋のステマじゃねえか」と憤る大きいお兄さんたち。

2012-03-17 15:47:50
ながしろ"ヌッヘッホ"ばんり @Banric

#twnovel 眠れないので窓の外を見ていると、向かいの駐車場に猫が集まっている。やおら二本足で立ち、いそいそと耳と尻尾を取り外す。つるりとした頭の生き物たちはマスゲームやらダンスやらと観客の私を飽きさせなかったが、見られていることに気がつくと角材を担いでこちらへ向かってきた。

2011-06-26 01:46:25
ひらばるまなぶ(平原学)@もの書き @chocolatesity

「誕生日おめでとう」「よせよ。もう75、老いぼれさ」「ふふっ、私たちとんだ歳の差カップルね」「お前は25だからな」「いつまで一緒にいられるのかしら、私たち」「心配無い。いつまでもさ」 #twnovel 「一人で何呟いてるの、お爺ちゃん?」「違うよ、今お婆ちゃんとお話しているんだ」

2013-08-24 09:31:50
ひらばるまなぶ(平原学)@もの書き @chocolatesity

魔法の力で永遠の若さを得た女がいた。ある日、老いを封じ込めた箱が満杯であるのに気づく。捨てるには自分に恋をした男へ手渡さねばならない。さもなければ、魔力が自分の元へ逆流する恐れがある。「という訳で、誰か目ぼしい男を連れて来い」「畏まりました乙姫様」海亀は答えた。 #twnovel

2012-05-29 21:25:03
ひらばるまなぶ(平原学)@もの書き @chocolatesity

ある朝目覚めると勇者になっていた。「俺は勇者だ」「寝惚け眼で何言ってるの。顔洗ってらっしゃい」「俺は今朝から勇者になったんだってば」「ニンジン残す勇者がどこにいるの」「ねぇ、本当に勇者に…」「さっさと鞄持って学校行ってらっしゃい」レベル1じゃオカンすら倒せない。 #twnovel

2013-04-12 00:35:02
ひらばるまなぶ(平原学)@もの書き @chocolatesity

「小説の主役になるとしても #twnovel の主役だけはゴメンだ」男は言った。「どうして?」「だって、たった140字の人生だろ。命短すぎだよ」「可哀想に」「何が?」「これ #twnovel よ」男は驚愕する。「そんな、嘘だろオイ!」そして男は字数制限に飲み込まれていく。「誰か助

2013-04-12 01:25:09
ひらばるまなぶ(平原学)@もの書き @chocolatesity

#twnovel 「もう一遍練り直せ、新人!」ビリビリに破られる原稿。一から執筆再開し、残業は深夜にまで及ぶ。ようやく書き終えたとき、昼間の上司が「お前、好きだろ」と僕に差し出したもの。アンパン、覚えて貰えたんだ。食べると思わず涙が零れる…ジャムの味がした。 #twnvday

2011-01-14 21:55:23
ほしおさなえ @hoshio_s

窓から校庭が見える。光と砂の混ざった匂いを思い出す。体育の途中で頭が痛くなり保健室で寝ていたのだ。校庭に白線がのび、飛行機雲のようだ。世界は広い。その中のひとにぎりの場所にしか僕は行けない。でも、いい。生きているのはいいことだと思う。手のひらをかざし、指の隙間から空を眺めている。

2012-10-14 14:46:05
ほしおさなえ @hoshio_s

波打ち際にしゃがんでいると海月がやってきて、こんばんは、と言った。こんばんは、と答えると、いい夜ですね、と言った。海月は透けていた。まん丸い月に照らされて海が生き物みたいに見えた。海と似てるのね。ええ、わたしは海の子どもですから。海月の身体がぼうっと光り、夢を形にしたようだった。

2013-01-10 20:23:15
ほしおさなえ @hoshio_s

やわらかいしずくのようなものになりたい。あわいかなしみのような、うすくとうめいないろの、なめらかなせんでできた、しずくのようなものになりたい。うみのなみのしずくのような、あめのいってきのような。そういってあなたはいきをつく。うみのにおいのかぜがふく、きらきらしたごごのことでした。

2013-06-04 15:27:17
ほしおさなえ @hoshio_s

本を読んでいると文章が意味を失い、文字たちが勝手に喋りだした。わたしたちはかつて草だったのです、と言う。草の亡霊が紙に住み着いている。だから言葉になって人の心にはいりこみ増えようとするのです。でもほんとうの望みは。するすると芽がのびる。本の上が一面の草原になり日に照らされている。

2013-10-21 22:27:11
ほしおさなえ @hoshio_s

青空を眺めている。宇宙は暗い。この青は空気の作った色だから地球でしか見られないんだ。僕たちは今日もこのちっぽけな星に乗って宇宙を回ってる。空はどうしてこんなにまぶしいの。光はなんでできているの。世界はわからないことばかり。僕の目にもこの青が溶けて、長くのびた飛行機雲が滲んでいる。

2014-03-29 10:14:59
犬吠埼一介⑨わさらー団 すてぃるあらいぶあらいさん @inbosk

貨幣経済の終焉、万歳。そんな日が来ることを切に願っています。世界の皆が窓を開けて、ありったけの金とレシートを投げ捨てる夢を見ました。空に、大地に、お金の雨が降る。でももう誰もそんなものを顧みないんだ。だって今日からお金を処分するにはお金以外のものを要求されるから #twnovel

2014-03-29 23:25:29
犬吠埼一介⑨わさらー団 すてぃるあらいぶあらいさん @inbosk

自販機がこれほど世界を変えるとは、誰が想像しただろうか。古代のバナナ自販機のあの発想がすべてだった。子猫も、彼女も、婚約者も。天職も、信念も、絶対の幸福も。投入口にコインを入れれば、すぐさま、がらりと転がり出てくるのだ。そして今、僕は苦悩の自販機にコインを入れる #twnovel

2014-03-29 23:25:54
犬吠埼一介⑨わさらー団 すてぃるあらいぶあらいさん @inbosk

太古より小さな生物種が巨大なそれを打倒するのは珍しくない。繁栄する鋼鉄の文明の裏で、緑の叡智を持つ野生の民が増殖する。戦火に街を追われる人間たち。最後の砦を取り囲む猫の津波。今、革命軍代表の一人の猫が、彼女をこよなく愛した、大統領という名の一匹の人間に鈴をつけた #twnovel

2014-03-29 23:27:43
犬吠埼一介⑨わさらー団 すてぃるあらいぶあらいさん @inbosk

革命とは昨日の不可能を今日の可能ならしめるということだよ。古代のゆで卵を立たせた話のようにね。この卵はうまいな。殻を散らし剥く僕を見て男も一つ取ると、すっ、と殻の表面を撫で、少年の顔で笑った。確かにうまい。その異国人が残した殻は、割れていないのに中身がカラだった #twnovel

2014-03-29 23:29:10
犬吠埼一介⑨わさらー団 すてぃるあらいぶあらいさん @inbosk

一匹の蜘蛛が、地を這う。哀しいことに人は最初、気付かなかった。偉大な可能性を持った蜘蛛だったのだ。蜘蛛は這い続けた。糸を伸ばし。信じて、信じて、信じて信じ続けた。やがて繋がるようになった。蜘蛛は這い続けた。雲になった一匹の蜘蛛が世界を覆った時、世界は不滅になった #twnovel

2014-03-29 23:29:40
添嶋譲 @literaryace

祭りですくった金魚、あなたと私二人でわけて、ゆらり揺れる姿をお互いだと思って育てる。赤い尾びれはあなた、黒い尾びれは私。好きな服、似合う色。時々は思い出してね。忘れないでね。離れ離れでもいつも一緒、約束だからね。指で鉢をつつくと鼻先を合わせてなあに?笑うように。 #twnovel

2013-11-17 19:57:03
添嶋譲 @literaryace

#全滅亡祭 朝起きておはよう。夜眠るときはおやすみ。誰もいない世界へと挨拶をする。彼がいなくなれば人類は絶滅する。最後の個体として保護されていたがもう時間の問題だろう。彼を飼う生物はため息をつく。いくら美味いからといって乱獲しすぎたのだ。彼は何も知らずに歌う。 #twnovel

2013-10-11 18:52:07
添嶋譲 @literaryace

僕たちの恋は内緒だから、混んだ駅の中でも微妙な距離で手もふれるかふれないか。別々の電車に乗る直前、一度だけぎゅっと手を握って、なにも言わずにまた明日。後でメールするね。ずっと好きでいてね。するりと二人の手が離れていく。それはたぶんスローモーションのようで。 #twnovel

2011-01-19 22:52:50
添嶋譲 @literaryace

天文研究会といっても部員はぼく一人。毎日のようにプラネタリウムに通い、晴れた夜はベランダで望遠鏡をのぞく。たまに写真を撮ったり、レポート書いたり誰に見せるでもなく活動している。この前、文化祭で先生に言われるがまま写真を掲示した。小さく小さく「部員募集」と書いて。 #twnovel

2011-10-31 22:36:44
添嶋譲 @literaryace

ターンテーブルの埃を払い、電源を入れる。インジケータが33rpmを示し、レーベルが軽やかに回転を始める。昔取った杵柄。鼻で笑うように針を落とす。逆転音を立て頭出しとビートの調節。エイトカウントで手を離す。スライダを右へ。キレイにつながる。君は何も気づかずに鼻歌。 #twnovel

2012-05-19 22:07:03