悪い男に騙されない榛名 外伝『霧が晴れたら』 U-2501編
- husou_kankore
- 1025
- 0
- 0
- 0
(あらすじ)硫黄島と佐世保に侵攻してきているという、新たな敵"霧の艦隊"。 この脅威に対抗するため、五十鈴、そして木曾は、さらなる改造のため佐世保へと訓練に赴く。 武蔵の指導、かつての艦長との邂逅を経て、二人は新たな姿へと生まれ変わった……! #霧が晴れたら
2014-05-05 16:35:46改造を受けた、翌日。 雲一つない青空が広がっていた。 「絶好の演習日和ってとこかしら」 んー、と伸びをし、私が呟く。 「あぁ、あいつに一泡吹かせるには最適な天気だ」 木曾が右拳を左の掌にぶつけ、不敵な笑みを浮かべる。 改造後は許可を貰い、消灯まで策を練っていた。 #霧が晴れたら
2014-05-05 16:43:49「おはよう2人とも。どうだ、調子は?」 武蔵さんが不敵な笑みを浮かべて歩いてくる。 「あぁ、最高だよ。もうすぐあんたにも分かると思うぜ」 「ほほう、それは楽しみだ。私もありきたりな報告など書きたくはないからな?」 木曾と武蔵さんの間に闘気が沸き起こる。 #霧が晴れたら
2014-05-05 16:49:10「……ふふ、演習が楽しみだな。では朝食を食べたら、すぐに……」 その時。 「た、大変たいへーん!!」 私達の前に、一人の駆逐艦娘が飛び込んできた。 足で急ブレーキをかけたところを、武蔵さんが支えて完全に止める。 「島風か。そんなに慌ててどうした?」 #霧が晴れたら
2014-05-05 16:54:14島風ちゃんは、いつも一緒の連装砲ちゃん達すら連れていない。 後ろをよく見ると、後から必死に追ってくる連装砲ちゃん達。 あの子らを振り切る程のトップスピードで来たということか。武蔵さんもただならぬ様子を察し真顔になる。 #霧が晴れたら
2014-05-05 16:56:55「き、"霧"が……"霧"の大部隊が!!」 「何だと……!?」 武蔵さんの顔がみるみる険しくなったかと思うと、島風ちゃんが来た方向へ走り出した。私達も慌てて後を追う。 #霧が晴れたら
2014-05-05 16:59:43佐世保鎮守府のブリーフィングルーム。 そこに、鎮守府にいたほぼ全ての艦娘が集結していた。 「これが、現在我々が確認した戦力よ」 プロジェクターから佐世保近海の地図が投影される。そこに記されている、おびただしい数の三角形のマーカー。 #霧が晴れたら
2014-05-05 17:03:57数個の青を取り囲むように、扇状に展開される無数の赤のマーカー。 「敵の主力はナガラ級、及びカ級・ヨ級を中心とした水雷戦隊。こちらは警戒に当たっていた陸奥さんや足柄さん達が応戦していますが、戦況は芳しくありません」 鳥海さんが見てわかる状況を告げる。 #霧が晴れたら
2014-05-05 17:11:58「援軍は?」武蔵さんが問う。ここまでの戦力差で、全員ここで黙って集まっていても仕方がない。 「準備が出来た艦から随時出て貰っています。ただ、空母の方は対潜装備への換装がありますので若干遅れが」鳥海さんが苦い表情で告げる。 #霧が晴れたら
2014-05-05 17:19:15「く、まさか潜水艦が来るとは思わなかったからな……」 武蔵さんも"してやられた"という表情だ。 これまでの戦闘では、敵はナガラ級をメインとする水上艦のみだった。そのため装備も対艦に重きを置いていたのだという。 完全に裏をかかれたわけだ。 #霧が晴れたら
2014-05-05 17:22:37大鳳さんが手を挙げる。武蔵さんが眉を上げた。 「その意気は買うがな大鳳、お前が先陣を切るには今回は正直、酷だ。お前が五十鈴や翔鶴と共に出て練度も身に付いているのは知っている。……しかし、それを鑑みても、コレは荷が重い」 #霧が晴れたら
2014-05-05 17:42:54@isuzu_kankore ここで指を咥えていて、何か一つでも好転する事があるのでしょうか。 荷が重いのは承知です。だからこそ…行かせて下さい!
2014-05-05 17:47:52武蔵さんが大鳳さんを睨む。大鳳さんがその目を真っ直ぐに見つめ返す。 …ややあって、武蔵さんが頷いた。 「…分かった、どの道今回は誰で行っても似たようなものだからな。最新鋭の装甲空母たるお前に賭けることにしよう。 ただし、翔鶴と一緒での出撃だ。これは守ってもらう」 #霧が晴れたら
2014-05-05 17:52:44@m6873446057 @isuzu_kankore 分かりました。この翔鶴、大鳳さんと共に先陣を切らせて頂きます。 ……またよろしくね、大鳳さん。 #霧が晴れたら
2014-05-05 17:58:13翔鶴さんが大鳳さんに微笑む。 武蔵さんの判断は適切だ。ベテランである翔鶴さんは、先日までの出撃で大鳳さんの癖や呼吸を熟知している。 ……恐らくは、最初から2人を出すつもりだったのではないだろうか。 #霧が晴れたら
2014-05-05 18:01:00「よし、では最初の支援艦隊は装備を整えてーーー」 「待ってください」 指示を下そうとする武蔵さんに、鳥海さんが割り込んだ。 「敵の主力についてなんですが……中心部分に一隻、気になる艦がいます」 「気になる艦……新型か?」 「あなた達にとっては……そうかもね」 #霧が晴れたら
2014-05-05 18:06:40最初に一言発してプロジェクターを操作したきり、後を鳥海さんに任せて何かを解析していたらしいヒュウガさんが立ち上がった。 「私達にとっては?……どういう事だ、ヒュウガ」 「"私"がここにいる以上、可能性はあったけど……認めたくはなかったわね。でもこれは事実」 #霧が晴れたら
2014-05-05 18:08:48プロジェクターに繋がっているパソコンを操作しながら、ヒュウガさんが続ける。 「霞ちゃんがソナーで拾ってくれた音を解析したわ。深海棲艦やナガラ級のものを除いた結果……残ったのは、この艦」 中心の、一際大きい赤い三角。そこから線が引かれ、名前がその上に表示された。 #霧が晴れたら
2014-05-05 18:11:33「私の世界の"霧"と、こちらに転移してきた"霧"は、少し性質が違っていると気付いたのは、こちらであいつらと交戦してすぐだったわ」 先程より広くなったブリーフィングルーム。 ほとんどの艦娘は、U-2501の特徴のみを先に聞き、支援に出て行った。 #霧が晴れたら
2014-05-05 18:17:13